Section 2: 基本世界設定#2

●航宙艦(Starship/SS)と戦闘航宙艦(Strikerstarship/3S):

 この世界の航宙艦は大きく、非戦闘用の航宙艦SSと戦闘専門の航宙艦3Sの二種に分けられる。

 この二種は明確に区別されるべき存在であり、この世界においては「民間の非戦闘艦を戦闘用に改修」などということは起こり得ない(あってもかなり機能が制限されてしまう)。

 一般のSS型航宙艦がワープ、ジャンプ航法を持つだけの鈍足の輸送船なのに対して、戦闘用の3S型航宙艦はほとんど大型の宇宙戦闘機の如き高機動性能を持ち、格闘戦でお互いの雌雄を決するのが一般的となっている。

 艦の大きさに関しては、SS型航宙艦が輸送を主目的とする関係上全長200mを超える艦艇もざらにあるのに対し、3S型航宙艦は全長200mを超えない小型高性能艦艇が多い傾向にある。

 そもそも3S型航宙艦においては、大型化による機能増加が戦闘におけるアドバンテージにはなりにくいという話もあり、小型高性能こそが3S型航宙艦の基本であると見なされている。


●管理体(Administrator)について:

 【管理体】とは航宙艦においてその各種機能を一手に統括する【エレメンタル】のことである。

 航宙艦は、それ自体がエレメンタルの体そのものであり、一人のエレメンタルがその管理を行う形を取る(複数人による統合管理は種族特性としてできない)。

 戦闘航宙艦は、特に複雑な管理システムを持ちエレメンタル一人で管理しきれるものではなく、補佐としての「航法士」「砲術士」「機関士」「索敵士」「通信士」の五つの要員と、そしてそれらを監督する「艦長」を必要とする。

 逆に言うと、巨大な航宙艦でも、これらの要員が揃っていれば運用が可能ということであり、他のスペースオペラ作品と比べてもかなり少ない要員で大型艦を運用することが可能になっている。

 この管理体に有用な【OPRクラス】は【Operator】であり、【Operator++】まで来ると通常の1.5倍の機能上昇を見込むことが出来る。


●超光速航行について:

 すべての航宙艦は、光速の25%を最高速度とする通常航行、光輪超波動航行(ワープ)、亜空間軌道航行(ジャンプ)の三種類の航行機能を持つ。

 すべての航行技術はE=B(イーベルト=ボーテック)機関を基盤としている。この機関はこの世界の各種技術の根幹となる存在であり、それ自体が半無限動力機関でもある。

 この世界の各種機械類の動力は、すべてE=B機関によって賄われており、その反応触媒としてエネラス(安価量産品)を必要とする以外は特に特別な燃料を必要とはしない。

 光輪超波動航行はワープと呼ばれ、光輪を伴ったワープコクーンを纏って光速の数倍~数百倍に加速する航行方式である。これは時空波動に乗って移動する方式であり、ワープコクーンの性質上、宇宙空間に少なくない影響を与えてしまう航法でもある。

 そのためワープ係数10(光速の1000倍)を超える航行はリミッターによって制限されている。

 亜空間軌道航行はジャンプと呼ばれ、目標地点までの亜空間軌道を生み出して、それにシフトして一度宇宙空間から離れて移動する方式である。

 原理上、ワープよりも遥かに長距離を短時間で航行することが可能であるが、E=B機関の機能を最大限に使用する関係上、少なくない準備時間と冷却時間を必要とする。

 少なくともジャンプ直後に戦闘行為を行うのは不可能に近く、あくまでもワープでは到達しにくい遠距離を結ぶための手段という意味合いが強い。

 あと、惑星重力などの影響も受けやすく、ジャンプポイントと呼ばれる地点からしか航行はできない。


●武装について:

 航宙艦の武装は、「凝集光砲(レーザー)」「粒子砲(ビーム)」「重力波砲(グラビトン)」「軌道砲(ドランダー)」「攻性機雷(アタックドローン)」の五つが基本となっている。

 凝集光砲はレーザービームの照射によって目標を焼き切る昔ながらの兵器である。主にデブリ掃除などに使用されるもので、戦闘ではそれほど使われることはない。

 粒子砲は各種粒子ビームを投射する方式の兵器であり、最も代表的な航宙艦搭載武装である。一つの艦艇に無数に搭載されており、空間湾曲場によって湾曲されながら目標へと発射される。

 ただ粒子砲は艦艇の防御機能に防がれやすく、数を撃って防御を掻い潜った数撃で損傷を増やしてゆく、という運用がなされるものであり、決定打にはなり得ない武装です。

 重力波砲は近距離戦における切り札とも呼べる武装である。粒子砲はその性質上艦艇の防御機能によって防がれやすいのだが、重力波砲は近接打撃式限定ではあるもののその各防御を掻い潜って目標を打撃できる。

 軌道砲は、重力波レールガンで投射される、重力泡を纏った実体弾を撃ち出す武装であり、艦艇に装備される長射程砲において最強を誇る兵器である。

 ただ、これを扱うにはある程度の設備が必要であり、目標へ一直線に向かう性質上、他の兵器に比べ遠距離では命中させ辛いという欠点を持つ。

 攻性機雷は、自己判断機能を持つ、現代におけるミサイルの発展型と言える兵器である。それ自体が敵艦艇の防御機能をキャンセルしつつ接触し、物理的な爆発によって相手の機能を破壊するというものである。

 別の世界における宇宙戦闘機的な運用がなされる(特攻機ですが)。


●防御機能について:

 この時代の航宙艦においては、対抗する兵器の性能上、防御区画や装甲自体での防御はほぼ無意味になっている。

 このため、こういった航宙艦に搭載される防御機能は、「防護領域(Function_Release Field=FRF防御帯)」と呼ばれるシステムが使用されている。

 航宙艦の周囲に展開されるこの領域は、正確には時空監視領域と呼べるものであり、その領域内に入った破壊的な現象を崩壊させ無効化することで防御とする。

 レーザーであれば光線を偏光し、粒子ビームであればプラズマ化したエネルギー放射を分散させ威力を軽減し、実体弾やデブリであれば重力場によって運動エネルギーを相殺することが可能である。

 重力波砲は旧型(長射程型)であれば無効化されるが、現在の主力である近接打撃砲は「FRF防御帯」を攻撃に転用したものであり、航宙艦の性能差にもよるが、FRF防御帯を貫通しうる武装なのである。

 なお軌道砲に関しては、対処のために必要なエネルギーがE=B機関の限界値を超えるために、威力を70%前後に軽減することしかできない。

 そして、この領域を明確にかいくぐれるのは、それ自体にFRF防御帯無効化機能を持つ「攻性機雷」だけである。あと、粒子ビームによる飽和攻撃でも一応は損傷を与えることはできる。

 このため、この宇宙における航宙艦同士の戦闘は、比較的近距離によるドッグファイトが多くなるわけである。

 こうした「防護領域」の性能は、管理体であるエレメンタルの「OPRクラス」の影響を受ける。エレメンタルなら誰でも管理体にはなれるが、戦闘においては専門のOPRクラスを持つ者の独壇場となる。


●主な戦闘艦種:

 主に「戦列砲艦(Starship of the line=SL)」「高速砲艦(BattleCruiser=BC)」「突撃艦(AssaultCruiser=AC)」「駆逐艦(Destroyer=DD)」の四種に分けられる。

★「戦列砲艦」:

 戦列砲艦は遠距離からの砲撃支援を目的とした大型艦艇である。いわゆる一般的な宇宙戦艦というイメージ。

 極めて鈍足であり、このため中近距離戦闘にはめっぽう弱いが、その巨大な艦艇に装備された各種装備による飽和砲撃は一定の効果を持つ。

 唯一、一般航宙艦からの改装艦が存在する艦種でもある。巨体に似合った防護領域を誇るが、中近距離からの攻撃を避ける手段がなく、それ故に結構簡単に撃沈する。

 大抵の場合、大きな居住区画が存在しており、航宙艦の中では比較的ゆったりと過ごすことが出来る。

 現代兵器で言うところの自走砲や野戦砲のような立ち位置の艦艇である。


★「高速砲艦」:

 高速砲艦は機動性を高めて、戦況に合わせた能動的戦術を展開するべく生まれた大型~中型艦艇である。

 その機動性は小型の艦艇にすら匹敵するものであり、戦闘機の如き独特の形状が特徴になっている。

 その代わり防護領域は艦艇規模の基準値に比べて薄く、高機動によって砲撃を直接回避することを前提とした設計となっている。

 火砲に関しては戦列砲艦との差はそれほど見られず。軌道砲を複数装備しかつそれを扱いやすい特性も相まって極めて強力な戦闘航宙艦と言える。

 その機動性と重武装を活かして、戦列砲艦へと迫る中小型艦を迎撃する役割も持っている。

 現代兵器で言うところの攻撃機の立ち位置を持つ艦艇である。


★「突撃艦」:

 突撃艦は近接格闘戦(ドッグファイト)を基本戦術とする中型~小型艦艇であり、変形機構を持つ「2C3S型航宙艦」もここに含まれる。

 武装は近接攻撃用武装に偏った構成になっている。遠距離火砲は限定的なものしか搭載されていない。

 常に最前衛に居座ることを前提に設計された戦闘航宙艦であり、その機動性能は全艦種最高を常に維持している。

 防護領域は艦艇規模に合わせた適正な値であり、高い機動性から来る回避性能も相まって、かなり沈みにくい艦艇であると言える。

 現代兵器で言うところの戦闘機の立ち位置にある艦艇である。


★「駆逐艦」:

 駆逐艦は中距離からの砲戦に特化された艦種であり、必ず軌道砲一門以上と、攻性機雷を装備している小型高速艦艇である。

 要するにこの艦艇自体が、自走できる対艦火砲というイメージで生み出された存在であり。居住区なども最低限のものしかなく、長距離航行に適した艦艇とはいい難い。

 防護領域も最低限のものであり、極めて低防御であるが、そのかわりに機動性は高く、突撃艦に次ぐ超高速戦闘を可能にしている。

 現代兵器で言うところの攻撃ヘリの立ち位置にある艦艇である。


●2C3S型航宙艦(襲撃型突撃艦):

 近接格闘形態への変形機構を持つ戦闘航宙艦。特にこの艦艇を指して「Raiderstarship」と称されることも多い。

 そのサイズは様々であるが、大抵の場合エレメンタルの特殊外装としての機能を持つか、オーガヒュームのPSIデバイスとしての機能をもっている。

 とりあえず戦闘能力の面では、前者より後者のほうが遥かに高い戦闘能力を発揮することが可能であるが、後者には船体が人型に限定されるという欠点がある。

 とりあえずモンスターの如き外見ならエレメンタル用、人型ならオーガヒューム用と考えれば間違いはない。

 エレメンタル用は特殊艦艇の域を越えないが、オーガヒューム用は現状における最強を誇る艦種である。


●「砲艦等級」:

 「粒子砲」は艦側面左右の「砲列甲板(Gun deck)」に10門以上並べて搭載される。

 「戦列砲艦」「高速砲艦」の二種は「砲列甲板」の構造と粒子砲門数、そして投射弾量によって等級が存在している。

★「二層甲板艦(Two decker)」:

 五、六等級に相当する、同口径の粒子砲40門以下による構成。軽装であり戦闘以外の目的を有する特設砲艦が多い。「砲艦」でない艦種は便宜上ここに分類される。

★「三層甲板艦(Three decker)」:

 三、四等級に相当する、大小二種口径の粒子砲60~40門による構成。比較的軽装であるが、投射弾量によっては上位等級と同じ攻撃力をもつ場合もある。

★「四層甲板艦(Four decker)」:

 二、三等級に相当する、大小二種口径、又は大中小三種口径の粒子砲80~60門による構成。通例として大口径砲は中心線下方部に装備される。

★「五層甲板艦(Five decker)」:

 一、二等級に相当する、大中小三種口径の粒子砲80門以上による構成。場合によっては120門を超える場合もある。


●「旋回砲塔」:

 「重力波砲」は艦の上下部に格納されている旋回砲塔に装備されて運用される。

 このため、一般的な宇宙戦艦の砲に見えるのが「重力波砲」である。砲艦等級はこの砲門数の影響を受けない。

 粒子砲に比べて搭載砲門数が少なく、多くても三連装砲塔が三基(計9門)等の10門以下の構成になっている。


●「艦首砲門」:

 「軌道砲」は艦首に搭載される砲である。要するに目標を狙撃するには、艦首を向ける必要があるわけである。

 砲艦等級はこの砲門数の影響を受けない。多くても4~6門辺りが最大となる。

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