Geo Fleet~星砕く拳聖と滅びの龍姫~

武無由乃

Chapter -1

Section 1: 基本世界設定#1

●年代:西暦3300年以降

 地球帝国から独立状態にあるジオ星系では西暦が廃れて、すでに西暦何年であるかはわからなくなっている。

 とりあえず、それぞれの支配領域ごとに年を数える方法はあるし、原子時計によって時間の進む速度も統一されている……が、惑星ごとに昼夜が違い、統一できるものでもないので、ほぼ宇宙にいる人類だけが年数を気にするだけになっている。

 そもそも、このジオ星系は統一された星系国家ではないために、そこら辺はかなり適当になってしまっている。実際の自分の年齢を知らない人間もかなり多く、過去の慣習に従って約360日に一つ歳をとる……としている所も多い。



●種族:オーガヒュームとエレメンタル

★「Orgahume=オーガヒューム」:

 かつての人間。有機炭素人類。戦士系人類。生まれつきPSI能力を持ち、その強さによってPSIランクが決まっている。

 「PSIデバイス」を仲介することで凄まじい運動能力・戦闘能力を得られ、物理戦闘においては「エレメンタル」を遥かに越えている。

 はっきり言うと、高いPSIランクの「オーガヒューム」に対しては銃器は役に立たないので、彼ら自身も近接武器(刀剣類)を主武器として扱っている。


★「Elemental=エレメンタル」:

 人工知能を祖とする新人類。電子情報人類。魔法使い系人類。有機機械の肉体を持ち、自由に改造したり乗り換えることすら出来る。

 機械の体によって、ある程度の戦闘能力を持つが、PSIランクの高い「オーガヒューム」に対抗することはできない。

 自身が持つ情報特性「OPRクラス」に沿った機械制御機能を使って、ファンタジー世界における魔法使いのような電子魔術を扱うことが出来る。



●国家:五大海賊による分割支配

 現在のジオ星系は五つの宇宙海賊艦隊が、それそれの宙域の惑星群を支配下においている状態である。

 ある程度の法――、主に宇宙の航行や交易に関すること、は海賊団が決めているが、それぞれの惑星ごとにある程度の自由な自治がなされている。

 大抵の宇宙海賊は、宇宙空間で自分たちに逆らうことがない限り、どのようなトラブルも惑星の自治に任せている。

 唯一、ヴェロニアは苛烈と言えるほど、強権を振るって強引な支配を惑星郡に敷いている。

 この星系で言う五大海賊とは、「海賊王アーチボルド」「女帝エルヴィラ」「女狂王ヴェロニア」「群狼王グラントリー」「隻眼剣神アンネリース」の五人の海賊首領の事を指す。

★「海賊王アーチボルド」

本名:Archibald・C・Hamilton

解説:

 最も広大な宙域を支配する、五大海賊の中でも最強格の一人。口髭を蓄えた老紳士という外見をしているオーガヒュームの男。

 最も政治に長けた人物であり、彼らの宙域は最も文明的に発展している。物理的戦闘でも最強格と言われている。

 元地球軍将校であり、海賊女王レヴィアの右腕と呼ばれた人物。領域主星は星系主星でもある惑星ジオである。


★「女帝エルヴィラ」

本名:Elvira・Northmore

解説:

 別名・処女帝。オーガヒュームの壮年の女性で、周囲には女性だけを集めている、優しい微笑みを絶やさない女海賊。

 別に男を差別しているわけではなく、彼女の過去から来るトラウマを刺激するからだと言われている。

 その通り、彼女もまた違法奴隷売買の被害者であった……らしい。

 領域主星は水の惑星カノンである。


★「女狂王ヴェロニア」

本名:Veronia・Gerhardt

解説:

 ある意味最も海賊らしいオーガヒュームの女海賊。狂気じみた暴力性で有名であり、その宙域支配もかなり過激である。

 逆らうものには絶滅をもたらす暴力の権化であり、惑星一つを焼き滅ぼすことも厭わない。

 かつての海賊女王レヴィアを信仰している。

 領域主星は希鉱石惑星エルツである。


★「群狼王グラントリー」

本名:Grantly・D・Wolfwood

解説:

 新進気鋭の若き青年海賊。オーガヒューム。父親である「群狼王マーク」の二つ名を受け継いだ男。

 とにかく海賊を宇宙のヒーローと解釈している子供じみた思考を持つ人物であり、何かと周囲の他海賊とトラブルを起こす。

 それでも海賊らしい部分はあり、いざとなると非情で冷徹なことも辞さない。

 領域主星は森の惑星ケルティクである。


★「隻眼剣神アンネリース」

本名:Annelies・Germain

解説:

 突撃殲滅戦法を得意とする隻眼の女海賊。オーガヒュームでかなり若い。支配領域は最も小さい。

 姉御肌で部下に慕われている、決める時は決めるがいつもはポンコツなお人好し。

 常に海賊たらんとしているが、元の人の良さが行動に出てしまう。

 領域主星は交易惑星パレンテースである。



●その他国家:地球帝国、ゲヌスウトピア絶対領域皇国、パシオン星系共和国

★「地球帝国=地球統一政府と周辺星系群」

 正式には帝国ではない。地球圏の統一政府を中心とした超星系国家。

 複数の星系を支配しているが、統一政府の腐敗がすすんで支配が弱くなって、遠い星系から独立が進みつつある。

 何かと地球軍を送り込んで嫌がらせしてくるが、実際それで星系の支配権を取り戻そうとしているわけでもなく、その状況も含めて彼らにとっては政治的な意味のある行動であるらしい。

 今はそういった自分の優雅な生活のみを望む者が中心になって政府が運営されているが、独立状態にある他星系の再支配を望む強硬派がいないわけではなく、裏でかなりの陰謀が動いているようである。


★「ゲヌスウトピア絶対領域皇国=メルヒオール星系エタニア絶対女皇支配圏」

 エタニア絶対女皇による統一星間国家。支配者であるエタニア・ダンフォード絶対女皇はエレメンタルの預言者としてメルヒオール星系に現れ、全人類圏の破滅の未来を語って旅をした人物である。

 陰謀論を拡散する犯罪者として地球軍に追われることになった彼女は、旅の仲間と共に地球軍と戦い信徒を増やしてゆき、その大教団をもって地球軍を星系より追放することになった。

 後に星系の安定のためにメルヒオール星系の指導者として立った彼女は、最終的には星間国家である【ゲヌスウトピア絶対領域皇国】を建てることになった。

 ある意味かなり前時代的な国家ではあるが、その予言はメルヒオール星系の常識として広まっており、信徒を中心とした大宇宙艦隊【絶対女皇艦隊】の統治下でかなり安定した星間国家となっている。


★「パシオン星系共和国」

 パシオン星系の地球型惑星群を統治する共和制の星間国家である。

 各星間国家において最も安定し、発展した文化を持つ星間国家であり、その統治のための共和国艦隊も最新の航宙艦を揃えています。

 ゲヌスウトピア絶対領域皇国とは同盟関係にあり、協力してエタニア絶対女皇の予言の調査も行っている。

 明らかに荒唐無稽である予言を信じて調査している経緯は不明であり、その事情を知る者は政府の上層部に限られている。



●歴史:海賊女王による地球軍追放戦争

 地球帝国の支配下にあったかつてのジオ星系では、最も古い開拓星系であった故に地球からの独立意識が強かった。

 何らかのトラブルが起こるたびに出張ってくる地球軍の高圧的な考えや、ただ資源を奪ってゆくだけのその行動に嫌気のさした星系の人々は、当時星系内に蔓延りつつあった海賊群、その首領の一人である【レヴィア】に資金提供して、地球軍を追い出すという行動に出る。

 レヴィアははじめこそ勝利を収めていたが、地球軍が本腰を上げてジオ星系に進軍を開始すると次第に押され始める。しかし、地球軍将校である【アーチボルド】の艦隊を撃破しそれを仲間に引き入れたときから、状況は大きく変化を遂げる。

 後の五大海賊達(そしてその親)を仲間に加えて次第に大きくなってゆくレヴィアの海賊団は、ジオ星系全土を支配に収めて地球軍を敗走させることに成功する。

 かくして【海賊女王レヴィア】のもとで統一されたジオ星系だが、ある日レヴィアは歴史の表舞台から姿を消す。それは、地球軍を追い出した後に邪魔になったレヴィアを、ジオ星系の人々が恐れて暗殺を実行したからであると言われている。

 その後、レヴィアを失った海賊団はその統一性を失って瓦解、五人の海賊首領によって分割されて現在に至る。



●技術:万能兵器【Binder=バインダー】

 【バインダー】とは、人がその中に搭乗して扱う全長4~5mの兵器である。

 搭乗するのはオーガヒュームでもエレメンタルでも、どちらでも構わないが、その種族ごとに明確に異なる機能を持たされるのが普通である。

 オーガヒューム用の【バインダー】は最強の万能兵器である。これ自体にPSIデバイスとしての機能が備わっており、通常のPSIデバイスを超える能力拡張を行って、陸海空宇宙全領域で最強の戦闘能力を発揮する。

 エレメンタル用の【バインダー】は各種ドローンを搭載し、その拡張性によって戦闘をサポートし、いざという時は自身を守る鎧として機能する拡張装備である。

 オーガヒューム用の【バインダー】は完全な人型が主流であり、エレメンタル用の【バインダー】はドラゴン等の幻想動物を参考に機体構造が作られている。

 一応、【バインダー】以外にも昔ながらの陸戦兵器等は存在するが、オーガヒューム搭乗の【バインダー】の相手にはなり得ないので、ほぼ廃れてしまっている。

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