タイガーアイ1
気が付くと、マティアスは自宅のベッドに寝かされていた。
「マティアス様……良かった……」
マティアスの顔を覗き込んだガブリエラが、涙ぐんで言った。
「……生きてる……」
「はい、マティアス様は生きてます」
「……あの出血量でよく生きてたな……撃った俺が言うのもなんだけど」
「ラウルとアンジェリカを捕まえる際、ベルナルド様がラウルを無理やり出血させたと言いますか、何と言いますか……とにかく、ラウルの血を飲んだので、マティアス様は無事でいられたんです」
職務規定違反になりそうなので、ベルナルドの行動を詳しく言えないのだろう。
「……心配掛けたな」
「はい、心配しました。マティアス様、十日間も意識が無かったので。……でも、無事だったので良かったです」
ガブリエラの話によると、ラウルとアンジェリカは無事逮捕され、それぞれ収監されているらしい。また脱獄されないように、警備は今まで以上に厳重になっているとの事。
そして、ガブリエラは既に薬師になる修業を再開しているようだ。
「今日は『ジーリオ』に行かなくていいのか?」
マティアスは、上半身を起こしながら言った。時計を見ると、今は午前十時。
「はい、今日はお休みです」
「そうか」
「……マティアス様、まだ血が足りないんじゃないですか?」
確かに、まだ頭がクラクラする。
「ああ……まだ調子が悪い」
「私の血を吸って下さい」
ガブリエラが、ベッドの傍らに腰かけた。
「……ありがとう」
そう言うと、マティアスはガブリエラの肩に手を置き、首筋に牙を食い込ませた。
血を吸い終わると、ガブリエラは言った。
「マティアス様に血を吸われるのは、久しぶりですね」
「……そうだな」
そして、二人は笑い合った。
しばらくして二人がリビングに降りると、リディオが掃除をしていた。
「バルト伯爵、お目覚めになられたのですね。ご無事でなによりです」
リディオが微笑んだ。
「心配掛けたな」
マティアスも優しい笑みを浮かべた。
三人で話していると、玄関のドアが叩かれる音がした。玄関に出たリディオは、リビングに戻るとマティアスに告げた。
「バルト伯爵、デルフィーナ嬢がいらしています」
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