仮面舞踏会1
ガブリエラがバルト邸で過ごすようになって、約二か月が経っていた。そんなある日の夜、マティアスとリディオは書斎で話していた。
「バルト伯爵、ダリオ・アッカルド子爵について、少しわかりましたよ」
「聞かせてくれ」
「アッカルド子爵は、最近、麻薬の密売について調査していたようです」
リディオが裏の世界の知り合いに話を聞いたところによると、ダリオは殺害される一か月くらい前から、麻薬の取り引きに使われるような妖しい店に入り浸っていたらしい。かといって麻薬を買うわけでもなく、店の客と仲良くなり、人脈を広げていたらしい。
「そうか……彼が殺害された理由と関係あるのかわからないが、気になるな」
「はい。それと、もう一つ情報を手に入れたのですが、近々、ある劇場で仮面舞踏会が催されるそうです。その舞踏会は定期的に催されているようなのですが、どうやら麻薬の売買の温床になっているらしく……。もしかしたら、アッカルド子爵について何かわかるかもしれません」
「……舞踏会の会場に潜入して調査したい所だが、それは可能なのか?」
「招待状なしで潜入するのはまず無理です。小規模な舞踏会にも関わらず、警備が厳しいとの事ですから。……なので、貴族から招待状を二通買い取りました」
リディオは優秀だ。
「招待された人物に成りすますわけか。何か掴めるといいな」
マティアスは、万年筆を手で弄びながら言った。
そして舞踏会当日の夕方、マティアスとリディオは、正装して屋敷の玄関を出ようとしていた。二人共、黒い礼服が似合っている。
「お気を付けて」
玄関まで見送りに来たガブリエラが言った。
「お前も気を付けろよ。護衛が二人いるとはいえ、何が起きるかわからないからな」
「はい」
ガブリエラの側には、ベルナルドとプリシッラがいる。万が一刺客が来た時の為に、二人に来てもらったのだ。
「ガブリエラの事は私達に任せてくれ」
「もし刺客が来たら、私の銃で撃退しますー」
そんな二人の声を聞きながら、マティアスとリディオは屋敷を後にした。
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