観光地に住む

 学生時代、日本で有数の観光地に住んだことがある。人によっては遠足や修学旅行で訪れる場所。

 僕も中学校の時に修学旅行で訪れた。それ以来だ。入試の日は緊張で観光なんてする余裕もなく、試験が終われば終わったで不安と開放感のまま地元に帰ってしまった。合格が決まり、引っ越してから生活を始めた地域。

 修学旅行で訪れた時は、かなり遠くまで来たと思わされた地域。だが住んでみると、観光スポットへ自転車で簡単に行ける。

 大学の課題が終わらない時、研究発表で教授に詰められて凹んだ時、就職活動がうまくいかず何十社も落とされ続けた時、何もかもが嫌になって、突然お昼頃に観光スポットへ出かける。午後のたった3時間ほどでも十分に楽しむことができ、現実逃避できる。そして夜にはしっかり家に着いていた。

 観光地に住む。現実を忘れさせてくれる空間に気軽に行ける。そんなメリットがあったなと今になって思う。もちろん普段から人が多いから、近場の買い物の時も混んでいて困ったことはあったけどね。 

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