あの頃

 久々に会った学生時代の同級生たち。みんな結婚し、子供ができ、仕事では役職について部下ができ、あの頃とは全く違う道を歩んでいた。でも3軒もまわった居酒屋での会話はあの頃と何ら変わらなかった。

 そんなことを思いながら最寄駅の改札を抜ける。元々利用者が多い駅ではないため、駅前の商店街も終電の時間帯では閑散として、シャッターが降りていた。

 商店街を抜け、街灯が少ない夜道を酔いがまわった足取りで家へと向かう。

 アパートの階段を登り家のドアに鍵を差し込む。

「ただいま」

 真っ暗な家の中。もちろんそれが当たり前。誰もいないのだから。さっきまでの店での騒がしさが自分の中で反芻していた。

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