.153『或いは月の沈く聖域で』:8va rima

あなたはいったい なにをしていたのだろう

長年ながねんなかった音沙汰おとさた お父様とうさまはもういない

あなたはいったい なにをしているのだろう

ながらく錯乱さくらんした御体おからだ お母様かあさまはもういない

あなたはいったい なにをしたいのだろう

ながめるにわわら花園はなぞの あなたの姿すがたはない

何度なんど一緒いっしょえがいたあなたの笑顔えがおさが

何度なんど一緒いっしょうたったあなたの歌声うたごえさが


何故なぜあのねらったのか つきらす

あの御使みつかいなどではない 可哀想かわいそう少女しょうじょでしょう

何故なぜそこにくのか うてもつきおくらす

あなたのおうちはそこではない このしろ王城おうじょうでしょう

ぜるかぜすさ歌声かせい せぬひかり明日あす

かげ月影つきかげ かぶかね あせちかいが十六夜いざよ

あののあなたとのおも微睡まどろみたい

あのころのあなたのこころさえもうからない


あなたのはねしてぶためのはねなんかではない

だけれどあなたの姿態したいなによりうつくしいでしょう

あなたのあねしてやさしいあねなんかではない

だけれどあなたはしたあいしてくれたでしょう

あんなにたのしかった あのにわ未来みらい

あんなにやさしかった あなたととも理想りそう

たたかうだけの血腥ちなまぐさいものではなかったはずでしょう

唯一人ただひとり あいするひとがいれば目映まばゆかったでしょう


夜気やきへぼやきつきへといきちいさく呻吟さまよ

はるかなひかりれられぬへだたりでほころやす

約束やくそくたそう いつまでもともにいよう

はなれないはなさない 今度こんどこそまもたす

あなたがなにのぞもうとすべめよう

あなたへつながる夜空よぞらへとしろやりらす

あらたなほしきず疆域きょういきかならおう

あるいはつきしず聖域せいいきでまたうたおう

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