L×R

.128『売文鳥ビブルバブル』:8va rima

飽（あ）きの来（こ）ない味（あじ）と共（とも）に　秋空（あきぞら）へと旅（たび）立（だ）った

安（やす）い紫煙（しえん）　燻（くゆ）らせ馳（は）せる　汗（あせ）と矜恃（きょうじ）の結晶（けっしょう）

書（か）き上（あ）げて黙（だま）って　刻（きざ）んだ端末（たんまつ）を見張（みは）った

射（さ）す陽射（ひざ）し　増（ま）す痛（いた）み　誰（だれ）も読（よ）まねえ畜生（ちくしょう）

焼（や）き直（なお）しの詩（し）で稼（かせ）げるほど甘（あま）くはなかった

ますます増（ま）す痛（いた）み　腹（はら）は鳴（な）り　吭（ふえ）も呻吟（さまよ）う

宥（なだ）めても駄目（だめ）だ煩（うるせ）え　このままでいいのか

唯（ただ）のしがねえ金（かね）がねえ　落伍者（らくごしゃ）でいいのか

頭（あたま）が懐（ふところ）が　痛（いた）もうが　廻（めぐ）り返（かえ）し　茹（うだ）る七日（なのか）

兼（か）ね兼（が）ね　金（かね）がねえ　理由（わけ）さえわからねえ

温（あたた）かな灰（はい）を揺（ゆ）らす　点（とぼ）す真赤（まあか）も呆（あき）れたのか

可燃性（かねんせい）の舌（した）の根（ね）へ寄（よ）る　なんてくだらねえ

恰（あたか）も酔客（よっぱらい）のような　脳（のう）が来（きた）した能（のう）書（が）きとか

かねてから思（おも）ってたがよ　本当（ほんとう）に救（すく）えねえ

滓（かす）のような一生（いっしょう）　微（かす）かな望（のぞ）みは　この詩草（しそう）

明日（あす）が　夜明（よあ）けが怖（こわ）くて　逃（に）げ続（つづ）けた吟醸（ぎんじょう）

明（あ）くる日（ひ）　日々（ひび）の日課（にっか）に　飛（と）び込（こ）んできた断章（だんしょう）

最近（さいきん）の大火災（だいかさい）は　赫（あか）い悪魔（あくま）による　厄災（やくさい）だった

悪魔（あくま）？　ギャグか　阿呆（あほう）か　御薬（ヤク）が過剰（かじょう）な模様（もよう）

はいはい　面白（おもしろ）いね　閉（と）じかけた指（ゆび）が止（と）まった

益（やく）も無（な）い悪文（あくぶん）でも　何故（なぜ）読（よ）む奴（やつ）がいるのだろう

妬（や）いたのは刹那（せつな）　稲妻（いなずま）が魔（ま）が差（さ）し誇（ほこ）りを奪（うば）った

真似（まね）ろ　駆（か）けろ　金蔓（かねづる）が絡（から）み付（つ）く世界樹（せかいじゅ）の根（ね）へ

金（かね）のため　書（か）け　善（よ）がれ　誰（だれ）に構（かま）うこともねえ

種（たね）は蒔（ま）いてすぐに発芽（はつが）し　枝葉（えだは）を伸（の）ばし更（さら）に上（うえ）へ

なんだよみんな　こんな与太話（よたばなし）なんかでいいのか

跳（は）ね回（まわ）る有能（ゆうのう）な右脳（うのう）が　躍（おど）りながら届（とど）ける戯（おど）け絵（え）

甲高（かんだか）い文体（ぶんたい）で盛（も）って煽（あお）れ　蒼（あお）い悪魔（あくま）とかなんとか

加熱（かねつ）する度（たび）　過熱（かねつ）し金（かね）を積（つ）み重（かさ）ねる　たまらねえ

算段（さんだん）騒立（さだ）つ性（さが）が燥（はしゃ）ぐ　こんなんやめられるものか

撒（ま）き散（ち）らせ　嘘（うそ）を尽（つ）くせ　悪銭（あくせん）の成（な）る木（き）で生（な）った

飽（あ）きの来（こ）ない果実（かじつ）を齧（かじ）れ　遠（とお）くで誰（だれ）かが　笑（わら）った