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.105『彼女が悪魔と交わした約定』:Sestina

あなたの髪（かみ）を　編（あ）みながら　鏡（かがみ）の中（なか）を

耀（かがよ）う笑顔（えがお）へ微笑（ほほえ）む　揺（ゆ）らめく炎（ほのお）は溢（あふ）れ

絡（から）まる闇（やみ）　顕（あらわ）れる　赫（あか）い三日月（みかづき）の　呼（よ）びかけ

可愛（かわい）らしい愛（いと）しい仔（こ）　あなたに逢（あ）いたかった

嗤（わら）う災禍（さいか）　払（はら）う対価（たいか）　媒介（ばいかい）に沸（わ）く悪魔（あくま）の抱擁（ほうよう）

儘（まま）　駆（か）け巡（めぐ）る衝動（しょうどう）　この子（こ）に灼（あら）たな夜明（よあ）けを

軀（からだ）が　沸（わ）き立（た）ち　約定（やくじょう）の数（かず）だけを

守（まも）って纏（まと）めて灼（や）き尽（つ）くす紅蓮（ぐれん）の貌（かお）

腫（は）らす瞼（まぶた）もやがては赫（あか）い世界（せかい）へ酔（よ）う

摩耗（まもう）し惑（まど）う心（こころ）さえ盛（さか）る炎（ほのお）に狂（ふ）れ溢（あふ）れ

嗄（か）らした本能（ほんのう）の儘（まま）に腥（なまぐさ）い四肢（しし）を駆（か）った

守（まも）らう炎（ほのお）　心（しん）の臓（ぞう）　増悪（ぞうあく）する光（ひかり）へ駆（か）け

数多（あまた）の夜気（やき）を灼（や）きながら　明（あ）かりを目掛（めが）け

耀（かがよ）う寝顔（ねがお）へ微笑（ほほえ）む　列（つら）ねる夜々（よよ）を夜更（よふ）けを

瞬（またた）く間（ま）に和（やわ）らげる　あなたに近付（ちかづ）き誓（ちか）った

可愛（かわい）らしい愛（いと）しい子（こ）　あなたに目映（まばゆ）い赫（あか）を

飾（かざ）る凱歌（がいか）　混（ま）ざる罪過（ざいか）　徘徊（はいかい）に幕間（まくあい）に狂（ふ）れ

唯（ただ）　駆（か）け巡（めぐ）る衝動（しょうどう）　この子（こ）に全（すべ）て捧（ささ）げよう

まだまだ足（た）りない　約定（やくじょう）を数（かぞ）え彷徨（さまよ）う

囲（かこ）って纏（まと）めて　灼（や）き尽（つ）くす紅蓮（ぐれん）と駆（か）け

騒立（さだ）つ悪罵（あくば）もやがては赫（あか）い世界（せかい）へ触（ふ）れ

跛行（はこう）し倒（たお）る　朧（おぼろ）な目（め）　戯（たわ）る炎（ほのお）の欲気（よくけ）を

翳（かざ）した本能（ほんのう）と　赫（あか）い瞼（まなぶた）に　軋（きし）めいた貌（かお）

憧（あこが）る炎（ほのお）　心（しん）の臓（ぞう）　交錯（こうさく）した火（ひ）が光（ひか）った

あなたを上手（じょうず）に　丈夫（じょうぶ）に　産（う）めなかった

母（はは）を赦（ゆる）して欲（ほ）しいと　抜（ぬ）かす舌（した）すら赫（かがよ）う

愛（かな）しいほどに赫（あか）い炎（ほのお）の先（さき）　黄金（こがね）色（いろ）の笑顔（えがお）

叶（かな）えよう　捧（ささ）げよう　赫（あか）い赫（あか）い夜（よる）を駆（か）け

目映（まばゆ）い　朝（あさ）の光（ひかり）を　赫（かがや）く灼（あら）たな夜明（よあ）けを

あなたへ　捧（ささ）げよう　約束（やくそく）の光（ひかり）満（み）ち溢（あふ）れ

嗚呼（ああ）　まだ足（た）りない　約定（やくじょう）の数（かず）を葬（はぶ）れ

纏（まと）って纏（まと）めて灼（や）き尽（つ）くす紅蓮（ぐれん）に誓（ちか）った

赤（あか）る悪魔（あくま）も讃（たた）えた　赫（あか）い願（ねが）い夜明（よあ）けを

数（かぞ）う死（し）なぞる心（こころ）さえ　戯（あざ）る炎（ほのお）に唯（ただ）酔（よ）う

零（あや）した本能（ほんのう）の儘（まま）に　腥（なまぐさ）い　四肢（しし）と駆（か）け

守（まも）らう炎（ほのお）　心（しん）の臓（ぞう）　夜降（よぐた）つ光（ひかり）へ歪（いが）む貌（かお）

愛（かな）しい寝顔（ねがお）　その頬（ほほ）にそっと触（ふ）れ

あなたへ微笑（ほほえ）みかけ小（ちい）さく誓（ちか）った

必（かなら）ず　捧（ささ）げよう　黄金（こがね）の夜明（よあ）けを