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.042『グラン・ギニョールの人形劇』：Sestina

封鎖（ふうさ）されし劇場（げきじょう）の　幕（まく）が今（いま）上（あ）がる

古（ふる）ぶ舞台（ぶたい）に立（た）つのは愛（は）しき影人形（かげにんぎょう）

注視（ちゅうし）する唯（ただ）一人（ひとり）の客（きゃく）へ笑（わら）い掛（か）けた

くるくると揮（ふる）う芝居（しばい）がかった鉤爪（かぎづめ）

醜悪（しゅうあく）な戯曲（ぎきょく）　最低（さいてい）な芝居（しばい）織（お）る人形（ドール）

狂（くる）い咲（さ）いて戯（おど）けて踊（おど）れ無明の劇場（グラン・ギニョール）

恨（うら）み辛（つら）み喰（く）らい歌（うた）う　無明の劇場（グラン・ギニョール）

暗（くら）い舞台（ぶたい）　影達（かげたち）が語（かた）り沸（わ）き上（あ）がる

列（つら）らに踊（おど）る人形（ドール）　徘徊（たもとお）る人形（ドール）

不埒（ふらち）な御涙（おなみだ）を配（くば）り出（だ）す御人形（おにんぎょう）

触（ふ）らばう刺激（しげき）で孵卵（ふらん）す悲劇（ひげき）見詰（みつ）め

群（む）らめかす人形（にんぎょう）へ　少女（しょうじょ）は嗾（けしか）けた

風車（ふうしゃ）撫（な）でし撃壌（げきじょう）を落雷（らくらい）が駆（か）けた

潤（うる）む舞台（ぶたい）懐（いだ）くのは　無明の劇場（グラン・ギニョール）

諷示（ふうし）する赫（あか）い鳥（とり）と初音（はつね）囃（はや）した爪（つめ）

緩々（ゆるゆる）と震（ふる）う死骸（しがい）が真（ま）っ赤（か）に揚（あ）がる

重厄（じゅうやく）蠱（まじこ）る　雷霆（らいてい）指（さ）した生（い）き人形（にんぎょう）

連（つる）み朶頤（だい）へ戯（おど）けて踊（おど）れ至高（しこう）の人形（ドール）

昏（くら）い番（つが）い　歌（うた）い歪（ゆが）む　腐爛（ふらん）す人形（ドール）

怨（うら）み眩（くら）み　影達（かげたち）は燥（はしゃ）ぎ夜気（やき）駆（か）けた

暗闇（くらやみ）踊（おど）る人形（ドール）等（ら）を呪（のろ）う御人形（おにんぎょう）

冥（くら）き蒼（あお）抱（だ）き煽（あお）る偉大（いだい）な指人形（ギニョール）

群（むら）がる詭激（きげき）で　俯瞰（ふかん）す紫（し）で気上（きあ）がる

揺（ゆ）らめかす咽頭（いんとう）で少女（しょうじょ）が急（せ）いた詰（つ）め

暗（くら）らかな劇場（げきじょう）へ喰（く）らった怨（うら）み敷（し）き詰（つ）め

心（うら）悲（がな）しき調（しら）べと共（とも）に　最高潮（さいこうちょう）は熱（ほと）おる

不乱（ふらん）に酔（よ）う影達（かげたち）へ　口際（くちぎわ）吊（つ）り上（あ）がる

頬杖（つらづえ）を突（つ）いた少女（しょうじょ）の　御目（おめ）に掛（か）けた

苦楽（くらく）等（ら）に興（きょう）ずる　異形（いぎょう）の無明の劇場（グラン・ギニョール）

暗（くら）す世界（せかい）を　跳（と）べ踊（おど）れ舞（ま）え　影人形（かげにんぎょう）

暗（くら）い昏（くら）い首座（しゅざ）にうらぐ　浮泛（ふはん）す人形（にんぎょう）

くらりくらり　影達（かげたち）は酸漿（かがち）掻（か）き集（あつ）め

列（つら）なり尚（なお）踊（おど）る人形（ドール）　無明の劇場（グラン・ギニョール）

冥（くら）き八百会（やおあ）い辿（たど）る　光（ひかり）無（な）き人形（ドール）

揺（ゆ）らかす軌跡（きせき）で　侮慢（ぶまん）す詩劇（しげき）駆（か）けた

群（む）らめかす輪唱（りんしょう）で少女（しょうじょ）は迫（せ）り上（あ）がる

暗（くら）い舞台（ぶたい）へ上（あ）がる　少女（しょうじょ）を囲（かこ）う影人形（かげにんぎょう）

昏（くら）い簀（す）の子（こ）に掛（か）けた偽（いつわ）りの神（かみ）と見詰（みつ）め

冥（くら）き少女（しょうじょ）と踊（おど）る人形（ドール）を撚（よ）る無明の劇場（グラン・ギニョール）