1205 もぉ、ホント、この人だけは……

 緊張する眞子をリラックスさせる為に、風呂場で、あれやこれやと気を使ってくれる崇秀。

そしてその続きで、洗面所に出てからも崇秀は【眞子が自分を振り返る様な質問】をしてくるのだが……その一発目が。


***


 此処最近、崇秀さんを呼び捨てにしなくなった理由ですか?


えぇっと、それはですね。

真相を言ってしまえば『真菜ちゃんが言ってて良い感じだったから』なんて、ただそれだけの理由なんだけど。

それじゃあ、あまりにも拍子抜けな回答になっちゃうから、ちょっとそこから捻って回答してみようかな。



「いや、なんでって言われても。いつまでも子供じゃないんだから、自分の大事な彼氏の事を『崇秀』なんて呼び捨てにしてるのも、どうかなぁって思いましてね。だから、大人みたいに『崇秀さん』って呼ぶ事にしてるの。……ひょっとして、嫌だったとか言う?」

「いや、別に。ただ、なんでなのかなって思ってよ」

「あぁ、そぉ。じゃあ、別に良いんだ」

「構わねぇよ」


今の質問は、なんだったんだろ?

なんか意図がイマイチ読めない、不可解な質問だったなぁ。


あぁでも、人の呼び方って、案外気になるものだから、その辺を加味した上での質問だったのかな?


もしそうだったらイケナイから、他になんか気に成る事が無いか確認しとこ。



「あの、因みにですけど。他に質問とか有りますかね?」

「質問?あぁ、そう言えば。もぅ一点あるなぁ」

「えっ?なにそれ?」

「いや、オマエさぁ。これは以前からずっと気に成ってたんだがな」

「ふむふむ」

「なんで俺と、他の奴との接し方が違うんだ?なんかスゲェギャップを感じるんだけど」

「えっ?そりゃあだってさぁ。崇秀さんは、私の本性を見せてもOKな人だけど。他の人には本性を見せたくないからだけど」

「あぁ、そうなんだな。なるほどなぁ。まぁ、言い得て妙だな」


うにゃあ?なんだこりゃあ?


当たり前の事を聞いてくるから。

当たり前の様に答えたら、当たり前の様に納得する。


なんじゃね、この現象は?


・・・・・・


あっ、でも、あれかぁ。

考えてもみたら、さっきの風呂場でも、崇秀さんが、私をリラックスさせる為に色々質問したりしてくれてたから、その延長線上で、こういう質問をしてくれてるのかもしれないね。


ホンの些細な事であっても。

この会話の中には、私の崇秀さんに対する「特別な好きが詰まってる」訳だしね。


(*´σー`)エヘヘ



「あの……崇秀さん」

「はい、お疲れさん。いつも通りパイナップル頭の完成。今回は特別に、全部綺麗に房分けまでしといたぞ」


なぬ?


今、なんとおっしゃいましたか?



「にゃあ~~~!!またやられたぁ~~~!!ってか、さっきから、なんかおかしな質問ばっかりして、なにをしてるのかと思ったら。また、そんなロクデモナイ事を真剣にしてたのかね?最悪だよ。しかも妙にリアルな感じにされてるし」


うぅ……崇秀さんとの会話に夢中に成ってたのかして、知らぬ間に、またこの髪形にされてしまった。


……ってか、さっきの質問も、こんな事がしたかっただけの為なのかね?

もしそうなら、この謎の問答の意味を一生懸命考えてた、私の時間を返せぇ~~~!!



「だろ。だから、いつもより良い感じに仕上がってるだろ」

「全然良くないから。そういうのイラナイから……って言うか!!こんなの、これから初Hに望もうとする頭じゃないよぉ!!ちゃんと、いつも髪型にして!!」

「いつもの髪形じゃん」

「違うから!!」

「なんでだよ?これ……風呂上りの、オマエのいつもの髪形じゃん」


ぐっ!!なんでそんな事まで知ってるのよ?


確かに、風呂上りでは楽だから、よく実家ではこのパイナップル頭をやってるけど。

崇秀さんの前では、一度もやった記憶が無いんだけどなぁ。


……っとなるとですよ。

この重大な情報を崇秀さんに流した犯人は、飯綱ちゃんだね。


若しくは、何処かで、この情報をキャッチした奈緒ネェだね。


まったくもぉ。



「嫌だ嫌だ。いつもの可愛い髪型が良い。こんな果汁みたいな髪型は嫌だぁ~~~」

「大丈夫だ。安心しろ」

「なにがぁ?なにが大丈夫なのよ?全然大丈夫じゃないし、こんな頭じゃ、なに1つとして安心出来ないんだけど」

「俺は、そんなオマエでも好きだから、心から安心しろ」

「やかましいわ!!幾ら私でも、そんな言葉では誤魔化されないんだからね。騙されませんよ!!」

「チッ……変に知恵付けやがったか」


ってか、騙されるかぁ!!

いつもいつも、そう易々と騙されて堪るかい!!


まぁ、そう言いつつも、今回も見事なまでに騙されている訳ですけどね。

流石に今回だけは、この髪形は嫌です。


これからより深く愛されると言うのに、このパイナップルみたいな髪形では愛されたくはないですからね。



「だから、戻して」

「しゃあねぇなぁ。折角、一房一房丹精込めて作ったから、時間掛かってるのによぉ。これじゃあ俺の苦労が台無しだな」

「うん……そう言う無駄な労力は、今後一切使わなくて良いからね。って言うかヤメレ」

「……ったく、なにが不満なんだかねぇ」


なんて文句をブツブツ言いながら、房分けしてた髪の輪ゴムを外していき。

全部外し終わった後、その後、ものの2分程で、いつもの髪型にしてくれた。


いや、寧ろ、そんな短時間にも拘らず、いつも以上に綺麗に仕上げてくれた。


(´Д`)ハァ…



「あの、崇秀さん」

「なんだよ?」

「あの……出来ればなんですがね。最初から、こうしてくれた方が嬉しかったんだけど」

「面白いから、ヤダね」

「この髪フェチめ」


仕事で疲れてるクセに、いつもいつも無駄な事バッカリしたからに。


アホちゃうか。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


普段通りの2人のやり取りがあって、眞子も初Hに対する緊張感が大分薄れてきてますね。

っと言いますか。

ほぼ普段通りの眞子に成っちゃってる感じですね(笑)


まぁ流石に、本人も忘れてる訳ではないんですが。

これ位リラックスした状態であれば、案外、崇秀を、自分の身に受け入れる事も出来るかもしれません。


崇秀ナイスです!!


さてさて、そんな中。

次回は、とうとう部屋に移動して、初Hに向かって行く訳なのですが。

果たして眞子は、このリラックスした状態をキープして、崇秀を迎い入れる事が出来るのか?


その辺の事情を書いて行きたいとおみますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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