1181 そんなん無理!!
リハに参加するっと言う前提までは良かったのだが。
なにやら奈緒さんとエリアスさんが、眞子に対して「ある事」の相談があるらしい。
果たして、その「ある事」とは一体?
***
「あの~~~。その、さっきから言われている『あの件』って言うのは、なんですかね?なんか非常に気になるキーワードなんですけど」
「あぁ大丈夫、大丈夫。眞子が、そんな身構える様な話じゃないから、心配ないよ」
「そうなんですか?本当ですか?」
「ホントだよ。だって、明日、此処で発表する新曲が、どうにも物足りなさを感じるから『鞍馬なら、どうアレンジする?』ってだけの相談だから」
うん、なにを言うのかと思えば。
十分な程に身構える様な話でしかないんですけど。
……ってかね。
天下の【奈緒グリ】の曲を、私如き一般人に、どうアレンジしろって言うんですか?
思いっ切り、責任重大じゃないですか!!
しかも、明日発表の新曲って……
どれだけ、全世界の多くのファンが、その新曲を、待ち侘びてると思ってるんですか?
無茶な注文をしないで下さいよ。
「それは無理ですね。頑張って下さい。……帰ります。さようなら。探さないで下さい」
「ちょ、ちょっと鞍馬!!この間、宣戦布告したからって、そんな冷たい態度をとらなくても良いじゃない。ちょっとぐらい手を貸してよ」
「いや、あの、エリアスさん。これって、そう言うレベルの問題じゃないですよね?」
「えっ?なにが?そう言うレベルの問題なんじゃないの?その程度の問題でしょ」
「もぉ、全然違いますよぉ。私なんかじゃ、手に負えるレベルの話じゃないじゃないですよぉ」
もぉ、本当にシッカリして下さいよぉ。
こんなの素人の私に頼むレベルの話じゃないですよ。
それに私……下手なアレンジをして、奈緒グリのファンの方達にタコ殴りにされるのとかは、絶対に嫌ですからね。
だから、そう言うレベルの問題じゃないんです。
ダメです。
責任負えません。
「あぁ……アンタ、ひょっとして、ウチの曲だからって、余計な心配してるんじゃないの?」
「流石、奈緒ネェですね。その通りですよ。そう言う事です」
「ふ~~~ん。そうなんだ。だったら、馬鹿じゃないのアンタ?」
「えっ?そんなに馬鹿じゃないですよ。適度な、お馬鹿ちゃんですから」
「はぁ、もぉ、アンタは……あのねぇ、眞子。曲のアレンジを頼んでるのは、私達なんだから、もっと自由に考えて、いつもみたいに気楽な感じでチョチョイってやれば良いじゃない」
「そう言う事だよ、鞍馬。気楽に行こうよ、気楽に」
「そうだな。いつもみたいに、気楽にバァ~~っとやってしまえば良いじゃないか。君なら出来るだろ」
出来るかぁ!!
そんなね。
気楽気楽って、みんなして軽々しく言ってくれますけどね。
私は【奈緒グリ】のメンバーじゃなくて、ただの一般人なんですよ!!
そんな事を軽々しく承諾出来ますかっての!!
あぁそれはそうと、ディックさん、本当にドラムの位置からピクリとも動かないね。
こう言う音楽関係の話に関しては、普段は一番うるさい人なんだけどなぁ。
ひょっとして、疲れて寝てるのかなぁ?
まぁ良いけど。
「無理ですね。……今から崇秀さんとの食事がありますので、これで帰りますね。探さないで下さい。さようなら」
「眞子、どうしたんだ?君らしくもない。なんで今日に限っては、そんなに駄々を捏ねているんだ?それと出来れば、仲居間さんとの食事は少々待って貰えないだろうか?」
この朴念仁ペンギンは……
「いや、あの、ホランドさん」
「なんだ?食事は、後にして貰えるのか?」
「あぁ、はい。それは、一向に構いませんけど。アレンジの件は、もぉ勘弁して下さいよぉ。私になんて度台無理な話ですよ」
「異な事を言うな。何故だ眞子?眞子は、今までも沢山の曲をアレンジして来たんじゃないのか?私は、そんな君が、一番アレンジを熟知しているものだと言う認識で、今回の話をしているんだが」
「そうだよ鞍馬。【奈緒グリ】以前の奈緒の曲をアレンジしたのは、他の誰でもない君だって噂じゃないか。だったら、いつも通り、自信を持ってやれば良いんじゃないの」
まぁ、確かにですね。
『噂』っと言いますか、奈緒ネェの曲を色々弄らせて貰ってたのは事実なんですけど。
それは正直言って、世間での奈緒ネェの知名度が、まだまだ薄かったマイナーな時代の話であって、今現在とは圧倒的に状況が違うんですよ。
私のつまらないミスで、曲が駄作になって【奈緒グリ】の栄光に傷を付けるかも知れないと思うと……とてもとても。
だから無理です、無理なのです。
そんな訳なのでアレンジの件は、崇秀さんか、フリーになったミラーさんに頼んで下さい。
あぁ、それと付け加えて言うなら。
本当の意味で奈緒ネェの曲をアレンジしたのは……私じゃなくて、真琴ちゃんですからね。
「いや、あの、本当に無理ですよ。リハでの演奏の手伝いをするだけならまだしも、曲を弄る様な真似は下手に出来無ません。だから無理です」
「そっかぁ。鞍馬は、そこまで責任が重大だと思ってるんだ」
「あぁ、はい。逃げ腰になって、非常に申し訳ないんですけど。そこまで自信過剰ではないですね」
「うんうん。そっか、そっか。じゃあ良いや」
「えっ?ちょっと奈緒。それじゃあ……」
あっ……エリアスさんは、まだみたいだけど。
奈緒ネェは、どうやら私の置かれている状況を理解してくれた様ですね。
あぁ因みにですが、今回に限っては、絶対に挑発には乗りませんよ。
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【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
奈緒さんとエリアスさん……っと言うか。
奈緒グリ全体で眞子に相談したかった事と言うのは、どうやら新曲のアレンジの様ですね(笑)
まぁ確かにこれは、責任重大な話なので、眞子にしたら、そう易々と受けれる代物ではないのですが、実は眞子は、此処で1つ見落としてる点があったりします。
さてさて、それは、一体、なんなのか?
次回はその辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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