1180 このペンギンバンドだけは……

 漸く、東京ドームで明日の本番に向けてリハをする奈緒グリメンバーと合流。

そして奈緒さんが、メンバーに眞子の到着を伝えたら……


***


「ハイハイ、みんな、お疲れ様。漸く、眞子が来たわよ」

「オッ、これは思っていたよりも、少し早い到着だな」

「ホント、早いね。それ、どんな魔法を使ったんだい?」


ライブのリハ中だから少し遠目ではあるんだけど。

結構な汗を掻きながらホランドさんと、エディさんのお2人さんが、そう言って来てくれる。


けど……魔法ですか?


まぁ、それについてはですね。

元祖『時の魔術師である崇秀さん』が使った上位魔法ですので、弟子の私如きでは一切合切、その詳細は解りません。


唯一解る事があるとしたら、その速度にビビッて、私の足がプルプル震えてた事位ですかね。


……ってか!!ちょっと待って!!

この段階でも、まだ少し早い到着なの?


私、この東京ドームの入り口で捕まって中々中に入れなかった上に、その件で奈緒ネェと結構な時間喋ってた筈だよ。


あっ、あり?


いやもぉ、怖いから、いつも通りこれは考えないでおこう。



「鞍馬♪」


なんて思ってたら。

今度はエリアスさんがニコニコしながら、ステージからピョンっと飛び降りて抱きついて来た。

それで、いきなりホッペにチュってされた。


これはまた、中々アメリカナイズされた挨拶ですね。


ってか、エリアスさんは、アメリカ人ですね。

はい、そうですね。



「はわわ……」

「待ってたわよ、鞍馬。ようこそ我が【奈緒グリ】のリハーサルへ、歓迎するわよ」

「あっ、ありがとうございます。でも、エリアスさん」

「うん?」

「こうやって歓迎推して貰って嬉しいのは嬉しんですが、ステージから飛び降りるなんて危ない真似はしちゃいけませんよ。急にそんな事をされたらビックリするじゃないですか」

「大丈夫、大丈夫。あの位の高さなら、いつもやってる高さだからさ。平気平気」


う~~~ん。

この人も、大概、自覚の足りない人だなぁ。

ステージからピョンって飛び降りた時に、下手な落ち方をしちゃって、本番前に怪我でもしたら、どうするつもりなんだろうね?


貴方は有名人なんですよ。


それに此処は日本。

広大なアメリカとは違い、エリアスさんの代役を勤められる代役なんて、そんなに多くは居ないんですからね。


敢えて、直ぐに浮かんで来る知り合いの人と言えば、遠藤さん位のもんですよ。


本当にもぉ。


だから、南極のペンギンみたいに、ピョンピョンとステージから飛び降りちゃダメですよ。


メッですよメッ!!



「もぉ、ダメですよ。怪我でもしたら、どうするんですか?怪我でライブが出来なくなってしまったら大変な事に成っちゃうんですからぁ」

「怪我?私が怪我したら、鞍馬が替わりに演奏してくれれば良いじゃない。ハイ、それで終了。問題なし」

「なっ!!『ハイ、終了』じゃないですよ。そんな理不尽な理由でした怪我なんかじゃ、私、代役なんて勤めませんよ」

「なによ、鞍馬のケチ」

「ケチじゃないんですよ。危ないんだから、本当に辞めて下さいよ」

「そんなに言わなくても……けど、ねぇ、鞍馬。ひょっとして、それって、私を心配してくれてるの?」


当たり前じゃないですか!!


大体ですね。

私如きが来た程度の事で、そんなに慌ててコチラに来なくても良いじゃないですか。


別に今更、逃げも、隠れもしないんですから。


それにですね。

ステージの脇には、ちゃんと客席に降りれる様に、スタッフさんが階段を設置して下さってるんですから、これからはちゃんとそこを使いましょうね。


無茶するんじゃありませんよ。


危ないんだから、もぉ、このペンギン娘は!!



「当たり前じゃないですか!!なにを考えてるんですか」

「なんか怒られた」

「そりゃあ、怒りますよ。ペンギンじゃないんだから、本当にピョンピョンとステージから飛び降りないで下さいよ。折角STAFFの方が、ステージの脇に階段を付けてくれてるんですから、これからはちゃんと、その階段を使いましょうよ」

「はいは~~い。ごめん、ごめん」


なんか本当に解ってるのか微妙な反応だけど、一応は解れば宜しい。


もうしちゃダメですよ。



「なにを揉めているんだ、眞子?」

「エリと、なんかあったのかい?」


もぉ……だからなんで、そうやって直ぐにステージから飛び降りるんですか!!


注意されなくても、ちゃんと階段を使いなさいっての!!


このペンギン達わ!!


あれ?

でも、それはそうと俺ちゃんマンさん事ディックさんが、ドラムに座ったままでコッチに来てくれる様子がないですね。


どうしたんだろうね?



「奈緒ネェ……もぉ帰って良い?なんかドッと疲れた」

「ふふっ。まぁまぁ、そう言わずに、ちょっとだけ付き合ってよ。どうしても眞子には相談したい事が有るからんだからさぁ。もぉちょっとだけ我慢して」

「相談ですか?……あぁ、はい、じゃあ居ますけど。なんですか相談って?」

「奈緒。ひょっとして、あの件?」

「そぉそぉ、あの件」


お2人さんが話す『あの件』とは、一体なんぞや?

そりゃあまぁ奈緒ネェや、エリアスさんの頼みとあらば、私に出来る範囲の事であるならば、全力を尽くして頑張りますけども。


なぁ~~~んか、言葉の節々が胡散臭いですよね。


嫌な予感が……


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


ステージから飛び降りるのは危険だから辞めましょう(笑)


まぁ街中にあるライブハウス程度なら、そんなに危険な行為ではないのですが。

こう言う大型ライブともなると、街中にあるライブハウスとは高さが全然違う場合があるので、結構危険なんですよね。


特に大物アーティストともなれば、普段より、ちょっと高めに設定されてますしね。


……どうでも良いですね。

はい、無駄な話をして、すみません<(_ _)>


さてさて、そんな私の謝罪はさておき。

最後の最後で、なにやら「あの件」っと言う不可解なキーワードが出てきましたね。


このキーワードが、明日の本番、眞子を関係者以外立ち入り禁止区域に導く事に成る原因となるのか?


そして「ある事」とは、一体、なんなのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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