1174 通せんぼ

 奈緒さんが待つ東京ドームまで崇秀に送って貰った眞子。

その後、その場で少しイチャイチャしてた貰ったので、ウキウキ気分で奈緒さんの元を目指して行くのだが……


***


 ……なんて事がございましてですね。

私、向井眞子は、非常に気分上々で、ご機嫌な訳なんですよ。


その証拠に、自然と鼻歌交じりに成りながら『関係者の入り口』まで歩いて来てる自分がいますからね。


……ってかもぉ、これ以上の幸せなんて、この世には存在しないですよ。


いや、する筈がない。


えへへ……えへへ……


……っと、そんな感じで此処まで、人がニヤけ顔に成りながらも機嫌良く来てたって言うのに。

関係者専用の入り口付近に到着すると同時に、なんと~~~なくダラシナイ感じがする警備員の人に止められた。


あり?おかしいなぁ?

この様子だと「HELPが来る」って連絡が入ってないのかな?



「あぁ、そこの人。此処さぁ、悪いんだけど関係者以外立ち入り禁止の区域なんだわ。だからなぁ。それ以上はコッチ寄って来ないでくれる。俺も面倒臭いのは嫌いだからさぁ。……って言うかさぁ。ほらほら、此処の看板に書いてある漢字、小学生でもなきゃ、誰にでも読めるっしょ。それとも読めない?」


あぁ、やっぱり連絡が入ってないみたい。


それにしても、なんだろうね?


この究極的にダラシナイ感じの警備員さん。

凄く高圧的で、横柄で、声を聞くだけでも鬱陶しい感じなのに。

何故か、それでいて、なんか妙に懐かしい感じがして笑えて来くるんだけど。


ホント、なんでなんだろうね?

この警備員さんから感じる『白日夢ッポイ、既視感みたいなもの』は?



「あぁ、はい。一応、ちゃんと漢字は読めますね」

「あっそ。読めんなら、わざわざ、こっちに来ず、そのまま帰ってくんない?こっちまで来て問題起されんのは、俺的にNo-thank youなんだけど。解るNo-thank youなんだよね」

「あぁっと、そんなにNo-thank youって、ワザワザ2回も英語で言って頂かなくても十分な程に貴方の意思は伝わってますけど。でもですね。私も、奈緒ネェに呼ばれて此処に来てるので、このまま帰る訳にも行かないんですけど。……それじゃあダメですかね?」

「そんなもん、ダメに決まってるっしょ。大体にして、そんな見え透いた嘘、誰が信じるんよ?……さぁさぁ、ファンなら、誰でも言いそうな見え透いた嘘なんか言ってないでさ、さっさと帰った、帰った。シッシッ」


あぁ!!このなにもかもが面倒臭そうな態度をとる警備員さん。

誰かと思って考えてたら、漸く思い出したよ。

あの、奈緒さんが初めて真琴ちゃんを連れて行ってくれたスタジオに居た、国見さんの所の甥っ子さんじゃない。


通りで、初対面で知らない警備員さんの筈なのに、このやり取りに妙な懐かしさを感じる筈だ。


なるほどねぇ……なんか、納得いった感じ。



「シッシッって……あの、嘘じゃなくて、本当に頼まれてHELPに来たんですけど」

「オマエなぁ。奈緒グリの誰が、オマエみたいな餓鬼を呼ぶって言うんだよ?そんなの有り得ないっしょ。だから、いつまでも、そんな面倒臭い嘘バッカリついてないで、早く帰れよ。そう言うの、マジで邪魔臭いんだからさぁ」

「だから、帰れって言われてもですね。……あぁ、じゃあ、誰かに確認を取って貰っても良いですか?誰でも良いですから」

「うん。そんなもん確認を取るまでもないな。だから帰れ。もぉマジで帰れよ。あぁもぉ、なんだよ、マジで面倒臭いなオマエ」


ドンだけ面倒臭がりなの、この人?

こんな無駄な問答を続ける位なら、さっと連絡を取って、さっと確認したらすべてが丸く収まる話なのに……それでも尚、自分の意見を通そうとするなんて。


ってか、国見さん、こう言っちゃあなんなんですがね。

このアナタの甥っ子さん、人間的にも色々問題があり過ぎて、社会に出しちゃいけない人種の様な気がするんですが……


ある意味、子供である私から見ても、更生が不可能なぐらい終わってますよ。


完全に『社会不適合者』じゃないですか。



「あぁ、もぉ、じゃあ、そこまで言われるんでしたら、此処で誰か知り合いが出て来るまで待ってますよ」

「あっそ。だったら、そこで待つのは勝手だけどな。絶対に、それ以上はコッチには来んなよ、嘘吐き一般人。これ以上の面倒は、お断りだからな」

「はいはい、間違っても行きませんよ。でも、こんな事をして、後で怒られても知りませんよ」

「あぁ~~~っ、怖い怖い。嘘吐きを止めただけで、誰に怒られるのかは知らないけど、怖い怖~~~い」


この人ダメだ。


でもね、こんな風に扱われてる私なんだけど。

それでいて、怒るって感情が湧いてくる前に、どちらかと言うと、このやりとりには笑けて来た。


ホント、この人だけは、誰がどう見たって、あの奈緒さんが国見さんのスタジオに連れて行った頃と、何も変わってないんだもん。


これだけ再現度が高かったら、流石に笑っちゃうよ。


まぁそんな訳でですね。

この寒空の中、奈緒ネェが私の到着を待ってくれてるであろう東京ドームを目の前にしながらも。

何故か、この国見さんの甥っ子さんのせいで、此処に誰か知り合いが通るまで「とおせんぼ」を喰らう羽目になってしまったんだけど。


流石に、もうこんな時間だから、ステージの設置をして下さってる職人さん以外は、誰も通ってくれない。


そこだけは、本格的に困りましたね。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


そして前回の後書きで書いていた『懐かしいキャラクターの正体』は!!

国見さんの甥っ子さん事『桜井和樹さん』でしたぁ♪(笑)


えっ?なになに?

誰も、そんな誰からも忘れられた様な屑キャラクターの復活なんて望んでない、って?


いやまぁ、確かに仰る通りなんですけどね。

この物語のキャラクター達って、一癖も二癖もある割には、ほぼ全員が屑ではないので。

本当の屑と言うものも、眞子には体験させないといけないと思い、この桜井さんを復活させた訳なんですよ(笑)


まぁまぁ、そうは言いましても。

勿論、最初から、このシナリオに組み込んでいた事なので、思い付きだけで桜井さんを出した訳ではありませんので、そこだけは誤解しないで下さいね。


ちゃんと彼には彼の役割と言うものがありますので(笑)


さてさて、そんな屑の桜井さんに通せんぼを喰らった眞子なのですが。

果たしてこの後、眞子は、この桜井さんが放つ通せんぼを突破する事が出来るのか?


次回はそんな2人の攻防を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾


もぉ……要らないって、そう言うの(´Д`) ('ω'*)そう言わずに

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