1169 眞子が起こした奇行の真実を紐解くには

 東京ドームで、眞子との待ち合わせをしていた倉津君だったが、いつまで経っても眞子は来ず。

その代わりに飯綱ちゃんから渡された眞子からの手紙には「ある衝撃の事実」が書かれていて……驚きを隠せない倉津君。


一体、何があったのか?


***


 ―――サイド眞子。


 『おはようございます。お疲れ様です。……って私、こんな所で、なにやってんだろ?』


 ……ホント、なにやってるんだろうね私?

今の状況……全然、意味が解らないんだけど。


なんで、廊下を慌しく行き交いするライブスタッフの皆さんに。

いつの間にか習慣付いてしまった、好感度UPの媚びた挨拶しながら、廊下を歩いてるんだろうね?

それになんで2本のベースを詰めたソフトケースを、ワザワザ2個も抱えて、東京ドームの関係者以外立ち入り禁止の場所を平然と歩いてるんだろうね?


大体にして、なんで私、此処に居るんだろうね?


そりゃあ、確かにさぁ。

私自身、今日は奈緒ネェ率いる【奈緒グリ】のライブを楽しく見に来る予定だったから、東京ドームに来てる事自体は、なにもおかしくはないんだよ。


けどさぁ、それって、観客席側での話だよね。

この、今、歩いてる関係者以外立ち入り禁止区域は関係ないよね。


なのに……この有様。


ホント、なんで、こんな事に成ってしまったんだろうか?



まぁ……その答えは、自業自得の上に、明確に有るんだけどね。

それを語るには少し時間を遡るって、昨日あった事を、まず話さなきゃ成らないんだけど……


ホント、最初は、こんなつもりじゃなかったのになぁ。


***


 12月2日水曜日。

私は昨日の火曜日と、今日の水曜日の両日、学校を休んだ。


……っとは言っても、別に風邪を拗らせて高熱が出た訳でもないし、これと言って体調が優れなかった訳でもない。

ただ単に12月1日にオープンした崇秀さん(←早速『~さん付け』している)のお店『N`s F』の仕事を、出来る限り邪魔になら無い様にしながらも、お手伝をしていただけの話だったりするんですよ。


勿論、これはオープン日を聞いた時から計画を立てていた事なので。

受験勉強の件を含め、クラスメイトには、既に、全員に通達済み。

だから、このお手伝いをする期間は、クラスメイトの受験勉強に支障が出ない様にしている事は言うまでもない。


……さてさて、そんな崇秀さんのお手伝いを、昨日今日と2日間。

出来もしない也にも、必死にお手伝いさせて貰ってる訳なんですが、昨日のオープン日を含めて、兎に角、忙しい。


現にSTAFFの皆さんが必至且つ、全力でお客様を捌けど。

前以て予約して頂いてから来店して下さってるお客さん方が、まずにしてエンドレスに押し寄せて下さって止めどがない。


そんな状況な元、予約して頂いた方だけでも、現段階のSTAFFだけでは手が足りずテンテコ舞なのに。

表で『予約無し』で待って下さっているお客様の数が、無限増殖したマリオの如く、減る事を知らずドンドンと増える一方。

そんで、いつの間にか、この寒空の中、お待ちになっているお客様の数は、既に1000人を越えている。


まぁ普通、こんな状態を一目見たら、直ぐにでも諦めて帰るもんなんだろうけど、その帰宅現象すら一切起こる気配すらない。


……恐らくは、私が、此処を推測するに。

そこまでしてでも歴戦のGUILDの美容STAFFに髪を弄って貰い、女性は綺麗に成りたい生き物なのだろう。


まぁ、それに付け加えるなら。

世間で話題になってるGUILD管理の下。

その中に有るランキング・システムから、これだけ厳選された猛者を集めたら……こうなってしょうがないと思う。


GUILDが経営してる『N`s F』の噂を聞いただけでも、一見さんが、様々な地域から集まってくるんだもんなぁ。


これじゃあ、表に長蛇の列を成していようとも、此処まで来て諦める気にもなれず。

意地に成っちゃっても、なにもおかしくはないもんね。


まぁそんな事実だけを見れば。

既に、店の在籍しているSTAFFの皆さんの人数から言っても、表で待つ事自体が無駄な様相を呈してきているのも事実なんだけどね。


だって、どう見たって、こんな大人数、とても1日や2日で捌ききれた数じゃないだもん。


大体、昨日オープンしてからね。

用意した客席250席が、ズッと満席のまま継続してるって……どうよ?


これだけ大きな美容室なら、普通は手空きの人が1人や2人出ても、おかしくないんじゃないの?


本当に有り得ないし。


まぁ……だからね。

こうなる事を予め予測していた崇秀さんは『N`s F』全般の予約を担当してくれている西野菜摘さんに表廻りを任せ。

表でお待ちに成っているお客様に直接お交渉を行い。

優先的に、後日の予約をドンドンと埋めて行き、帰宅を促しているみたいだね。


これって、一見地味に見える作業だけど。

長蛇の列の解除をさせるには、意外と持って来いの作戦だと思える。


まぁ、そんな感じでね。

増えては、減るお客様を、エンドレスに捌きながらも。

今日のカット出来るお客様を、STAFFの皆さんが一丸となって、親切・丁寧、それでいて満足頂けるサービスを提供しながら、お客様の対応に当たらせて貰ってる訳なんですよ。


それにしても……ホント、いつまで経っても終わらないね。


寧ろ、こりゃあ終わる気配すらないね……


なんじゃね、これは?


それに私……ただのお手伝いさんの筈なのに、なんか異様に忙しいしね。



「オイ、眞子。悪ぃけど。至急オシボリ2枚持って来てくれねぇか?ちょっと手が足りねぇんだよ」

「あぁ、はい!!すみません!!只今お持ちします!!」


……ホントに忙しいや。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


さてさて、眞子がなにかをやらかした様子なのですが。

「楽器を持って東京ドームに居る」って事は、倉津君達が驚いた理由は、そう言う事なんでしょうね(笑)


ですが、現状では、そうなった経緯は不明のまま。

寧ろ、今回のお話では、学校を休んでまで崇秀の店を手伝っていた事しか解りませんでしたしね。


なので次回も『眞子が、東京ドームに楽器を持ってウロウロしてる理由』について解明していきたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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