1167 必死過ぎて引くわ

 奈緒グリのライブを観る為にやって来た東京ドーム。

されど、思った以上に早く到着してしまった為、眞子を待つ羽目に。


そうやっても待ち惚けしていたら、何故か真上さんが現れ。

彼女も奈緒グリのライブを観に来たと言うのだが、そう言うミーハーなイメージを持てない倉津君は(笑)


***


「あぁ、はい、良く聞きますよ。今までに、お出しになられたアルバム3枚。全部、発売日に買わさせて頂いてます」

「えぇ~~~っ!!そうなんッスか?」

「はい、そうですよ」

「そうなんッスね。けど、なんか意外ッスね。真上さんって、クラシックとかしか聞かなさそうなイメージなのに」


ほらほら、想像してみ。

椅子に座った真上さんが、優雅に紅茶を飲みながら、クラッシックを聞いてだな。

仕事であるグラフィック・デザインのインスピレーションとかを、ゆったりと浮かばさせてる様なイメージをよ。


滅茶苦茶良くねぇか?

……って言うか。

真上さんのイメージから考えたら、寧ろ、そう言う光景が浮かんでも、おかしくはないだろ。


けど……こうやって本人が、奈緒グリを聞いてると公言してる以上。

どうやら、これは、俺の妄想に過ぎないらしい。


まぁ、真上さんだから、どんなイメージであってもOKなんッスけどね!!



「私が……クラッシックですか?はぁ、まぁ確かに、全く聞かないと言う訳ではありませんが、どちらかと言いますと、あまり聞きませんね。私、こう見えても、結構ミーハーなんですよ」

「えっ?えっ?そうなんッスか?なんか、真上さんにミーハーなイメージなんか、全くないッスね」

「あぁ……そうですか。それは、ご期待に沿えず申し訳ありません」


いや……そんな深々と謝られてもなぁ。

これは俺が勝手に持ってる、真上さんに対する願望且つ、幻想にすぎないんッスから……


けど……そうは言っても、この人な。

基本的な話し方や、立ち振る舞いが上品だからよぉ。

勝手に『お嬢様』なイメージを、植えつけられちまうんだよなぁ。


まぁ実際の話で言えば、お嬢様などころか、一般家庭の生まれで。

親の手伝いとかを一生懸命してる、スゲェ頑張り屋さんな子なんだけどな。


ついつい、無意識の内に、そんな幻想を持っちまう。


ホント、勝手な幻想バッカリ持って、すんません。



「いやいやいやいや、なんで謝るんッスか?こんなもん、俺が勝手に持ってる真上さんのイメージなんッスから、真上さんは、なんも悪くないんッスよ」

「そうですか?ですが、折角、持って頂いてるイメージを壊すのも、どうかと」

「いやいや、なに言ってるんッスか?そんなの全然大丈夫ッスよ。真上さんは、今の真上さんのままで十分魅力的なんッスから。誰かのイメージに影響される必要なんてないんッスよ。そのままで良いんッスよ。そのままで」

「あぁ……ありがとうございます。そんな風に見て頂けて、本当に嬉しいです」


だから真上さん……本当に、その強烈な笑顔光線を俺に浴びせるのだけは辞めて下さい。


貴女は、極々自然に、そう言う事をしちゃってるから。

男共が変に真上さんに期待して、勘違いして、誤解しちゃうんッスよ。


ダメっすよ。



「いやいやいや、とんでもないッス。真上さんは、素で素敵な人なんッスから、これは褒めてる訳でも、なんでもないんッスよ。自然に出た言葉なんッスから。けど、ホント、いつ見ても綺麗ッスね」

「そうでしょうか?ですが、私なんかよりも、他のお知り合い方の方が、ズッとお綺麗な方ばかりではないですか?その方達と比べれば、私なんて見劣りするばかりだと思うのですが」


あぁまぁ確かに、俺の知り合いの女性のレベルは高いですよね。

実際、芸能人でやってイケてる様な人が大半なので、その「レベルが高い」って認識自体は間違っちゃいないと思うッスよ。


ただですな、真上さん。

そんな芸能人ばかりの中にあっても、一般人である筈の貴女が「ベスト5」に入っている事だけは間違いないですよ。


まぁ、そんな風に女性の容姿にランキングなんて付けたら、それこそフェミ二スト集団に怒られそうではあるんですがね。

奈緒さんを筆頭に、椿さん、ステラ、真上さん、素直って位に貴女の容姿はレベルが高いです。


その上で『性格まで良い』っと来たもんですから、貴女が他の女性から見劣りする様な事は、なにがあってもないと思いますよ。


なので、そこを理解して貰う為にも、少し力説してみるか。



「いやいやいやいや、馬鹿言っちゃいけませんよ!!真上さんは、誰がどう見ても超可愛いッスよ!!これだけは間違いないッス!!」

「はぁ……そうですか」

「……ってか、オッサン。さっきから、なに道端で大声出しとんねん。やかましいわ。それにオッサン。アンタなぁ。タダでさえ、奈緒姉ちゃんって言う分不相応な彼女が居んのに、なに、必至こいて真上まで口説こうとしとんねん?必至過ぎて顔がキモイねん。……引くわ。寧ろ、ドン引きじゃ」


ゲッ!!チビ太!!


この女郎だけは、いつの間に……

あまりにもチッコ過ぎて、此処に来た事にすら、全然気付かなかったぞ。



「ちょ、オマ!!俺は、なんも口説いなんてねぇ……って、ブッ!!」


……あのなぁオマエ。

人が必至に言い訳しようとしてる時に、なんか知らねぇが、モノを顔面に投げ付けるなよな、このミクロウーマンが!!


ちょっと必死に成って力説してたもんだから、変に汗を掻いて。

投げつけられたものが、顔面に、お札が付けたみたいに張り付いちまったじゃねぇかよ!!


俺はキョンシーか!!


……ってか、なんじゃこりゃあ?

この糞チビ、一体、俺になにを投げつけやがったんだ?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


真上さんの良さを本人に伝えようとして、必死に力説してたら……真上さんの待ち人である飯綱ちゃんが現れましたね。

そして更に、ドン引きまでされた上に、何やら顔面に投げ付けられる始末(笑)


まぁまぁ、そうは言っても、倉津君にしたら、こんな程度の事なら日常茶飯事。

しかも、その相手が飯綱ちゃんともなれば。

彼女の性格をよく知る倉津君なら、そんなに怒る事もないでしょう(笑)


……っとは言え。

投げ付けられて、倉津君のキョンシーみたいにした物の正体は、未だに不明のまま。


果たして飯綱ちゃんは、なにを投げ付けてきたのか?


次回はその辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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