第十二話 宣言
「どうしようかな。」
阿黒賢一は自身の手札を見て思考する。
「3を選択するよ。」
阿黒賢一の回答は3の場のカードのオープンであった。
場に裏でセットされているカードのうち、一番右側のカードがゲームマスターの叡山の手によって表になる。
表になったカードには10の数字が刻まれていた。
(ほう、無難にきたな。)
「これにより阿黒さんのターンから赤坂さんのターンへとうつりました。」
(ここは阿黒賢一と同じ選択で良いだろう。)
「僕も3を選択だ。」
阿黒賢一と同じく赤坂晨人も3を選択した。これにより、このゲームではもう3は選択することができなくなってしまった。
ゲームマスターの叡山は場にセットしてあるカードの中央を表にかえす。
表になったカードには4の数字が刻まれており、これによって二人は手札の3枚と場の2枚、合計5枚のカードの情報を手に入れた。
「これにて赤坂さんのターンは終了しました。続きまして阿黒さんのターンになります。」
(さぁ、君はどんな選択をする?)
またもや阿黒賢一は数秒のあいだ思考する。
「5を選択しよう。」
(5、つまり相手プレイヤーへの質問か。)
「5を選んだ阿黒さんは赤坂さんに1つ質問をすることが可能です。」
再び数秒の間があく。
「赤坂さんのセットしたカードは奇数かい?」
(まぁ、そうだろうな。)
「あぁ、奇数だ。」
これにより阿黒賢一にまた1つ新しい情報が入る。
「阿黒さんのターンは終了となり、赤坂さんのターンとなります。」
(ここは阿黒賢一と同じ質問をするのが無難だな。)
「5だ。」
赤坂晨人は阿黒賢一とは反対に間をあけずに数字を質問をなげかける。
「君のセットしたカードは奇数か?」
「奇数だよ。」
これにより赤坂晨人にも阿黒賢一と同じ情報がはいる。
(相手も奇数か、僕の手札には9と5、場に偶数しかない。阿黒賢一のセットしたカードは1、3、7のどれかか。)
「続きまして、阿黒さんのターンです。」
「俺さ。赤坂さんのセットしたカードが何かわかっちゃった。」
(なっ!?。そんな馬鹿な。)
赤坂晨人は一瞬心の中で驚愕したがそれがブラフの可能性の方が高いと考え、冷静に対処する。
「じゃあ、宣言でもしてみたらどうだ?」
そう、阿黒賢一の先程の言葉がブラフだったら宣言できるはずないのだ。
「俺は1を選択する。」
(馬鹿な。1を選択するだと!?まだ、僕の数字を確定させる情報はでていなと言うのにか、解答権は2回しかないんだぞ。)
「赤坂さんのセットしたカードは、」
赤坂は、いや赤坂だけではない。このゲームを見ている全員に緊張がはしる。
数秒の間、阿黒賢一は思考する。阿黒賢一がどんなことを考えているのかは赤坂晨人ですらはかりえなかった。
そして、阿黒賢一は自信満々に宣言をする。
「7。」
その数字を聞いた途端、赤坂の心に安堵が訪れる。なぜなら、赤坂のセットしたカードは7ではなく、5なのだから。
「残念。ハズレだ。」
『ハズレ』という答えがかえってきたのにも関わらず、阿黒賢一は平然としていた。
だが、赤坂晨人はそれが演技であることを見抜いていた。本当は心の中で失敗したと嘆いているということを。
(馬鹿が、これで僕の勝利は確定した。)
赤坂晨人は内心でほくそ笑んだ。
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