第十一話 数当て
『数当て』そう書かれた紙が封筒から出てきた。二人しかいない空間で阿黒賢一は二つ折りにされていたその紙を机の上で広げる。
紙には以下のことが書かれていた。
『数当て』
・用意するもの
1~10の数字の書かれたカードをそれぞれ1枚ずつ用意する。(トランプで良い。)
○ゲームの概要
相手の隠したカードの数字を当てた者の勝利。
○ゲームの準備
10枚のカードを裏でシャッフルし、その中から1枚を誰にも見せずに端に置いておく。(ゲームマスターはそのカードを把握する。)その後、両プレイヤーに3枚ずつカードを配り、残りの3枚を裏で置く。
○ゲームの流れ
まず初めに自身の手札の中から一枚カードを選び裏で自身の手前に置く。(このカードが相手に当てられたら敗北。)その後、先行後攻を決める。
プレイヤーは自身のターンに以下のことを行うことができる。
1.相手の隠したカードの数字を宣言する。(ゲーム中に二回まで行うことができ、両者共に宣言出来なくなった場合、再び二回の宣言を行うことができる。)
2.自身の裏で置いていない手札を一枚公開し、場に表で置く。そうしたら、相手も裏ではない自身の手札を一枚公開し場に置かなければならない。(各プレイヤー一回まで。)
3.3枚の裏のカードを一枚まで選択し、表にする。(各プレイヤー一枚までしか表に出来ない。)
4.ゲームマスターに質問をする。(その数字は奇数or偶数ですか?、その数字は○以上or以下、その数字は○ですかなどの質問を行うことができる。)
5.相手プレイヤーに質問をする。(その数字は奇数or偶数ですか?、その数字は○以上or以下、その数字は○ですかなどの質問を行うことができるが各プレイヤー一回まで。)
・ゲームの勝敗
先行のプレイヤーが相手のセットしたカードを当てた場合まだ後攻のプレイヤーが宣言をできるのなら勝利とはならず、後攻のターンとなり、そこで後攻のプレイヤーは宣言を行う。もしその宣言で相手のカードを当てることができたのならばこのゲームはドローとなり、封筒に入っていた他のゲームで勝敗を決める。
後攻のプレイヤーが相手のセットしたカードを当てた場合はその場で勝利が決定する。
「把握した。」
赤坂晨人ましてやゲームマスターの叡山にすら聞こえないであろう小さな声でつぶやく。
「トランプが使えるのか。」
赤坂はまたもや鞄に手を突っ込み今度は新品のトランプを机の上に出した。
「これでゲームをやろう。」
阿黒賢一は机の上に出てきたトランプをまじまじと観察する。
「安心しろ。細工はなんもしてない。」
「信じるよ。」
ゲームマスターである叡山にトランプを手渡たす。
叡山はビニールをトランプから外し、箱を取り、そこかはスペードの1~10のカードを取り出した。
「このカードを使って数当てをやります。」
10枚のカードを両プレイヤーに見せ、二人には見えないように工夫してしっかりとシャッフルをし、ルールに従いトランプを配っていく。
両プレイヤーに三枚ずつ、場にも三枚そして、ゲームマスターの手前にもカードを置く。
「まず初めに自身の手札から一枚裏でカードを置いてください。」
(どうするか。)
そう思考する赤坂晨人の手札には5、6、9のカードがあった。
(質問がある以上端の数字より、中央の数字の方がバレにくいが、それは読まれやすい手でもあり、最も安直な手でもある。だが、安直な手だからこそこういう奴らにはキく。)
こうして考えた後、赤坂晨人が選んだカードは5であった。
「両プレイヤー裏のカードが決まりましたので、次は先行後攻を決めてください。」
「じゃんけんでもして決めますか?」
阿黒賢一が赤坂に提案をする。
「そんな事しなくても良い。君が決めていいぞ。」
「本当にいいのかい?」
「いいぜ。」
阿黒賢一は顎に手を当てて数秒沈黙する。
「先行にしようかな。」
「それではこれより『数当て』を始めます。」
叡山の宣言によって赤坂晨人と阿黒賢一の戦いが幕をあげた。
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