貞操逆転世界に転生したから無自覚な振りしてハーレム作ろうと思ってたのに最初に攻略した幼馴染がそれを許してくれない!
シャルねる
早速踏み抜く地雷
自分が男女比1:10の貞操逆転世界に転生している、と気がついたのは、14歳になり、前世の記憶を思い出すのと同時だった。
「え? マジで?」
真っ暗な部屋の中、俺は喜びという感情を隠しきれず、上擦った声でそう呟いた。
そして、ベッドから立ち上がり、部屋を出た。
記憶が曖昧ではあるけど、俺が引きこもりになっていた、ということは覚えているからな。
まずは母さんに謝らないと。
謝った後は、ハーレムを作ろう! せっかく貞操逆転世界なんかに転生したんだから、ハーレムを目指さないわけが無い!
「母さん! 引きこもっちゃってごめんね!」
そんな楽しい未来を思い浮かべていたからか、思いのほか元気な謝罪をしてしまった。
こんなつもりでは無かったのだが、まぁ、母さんが嬉し涙を流して、俺をゆっくりと気遣うように抱きしめてきたし、別にいいか。
そう思いながら、俺の方からも母さんをゆっくり抱きしめた。
「ゆうちゃん、それで、もう大丈夫なのね?」
……ゆうちゃんって。
いや、別にいいんだけどさ。まだ中学一年生だし。俺の名前、優斗だし、全く間違ってはないんだけど、なんか、むず痒いな。
母さんが嬉しそうにしてるし、文句なんて言えるわけないんだけどさ。
「うん。もう大丈夫だよ。さっきも言ったけど、引きこもっちゃってごめんね」
「大丈夫よ。……こうやって、勇気を出して出てきてくれたんだから、そんなこと、大丈夫に決まってるわ」
勇気を出したわけではないんだけど、俺は適当に話を合わせた。
余計なことを言って、母さんを困惑させる訳にもいかないからな。
「取り敢えず、今日は夕飯にしましょうね。ゆうちゃん、何か食べたいものはある? なんでもいいわよ」
「んー、じゃあ、ハンバーグでお願い」
「えぇ、分かったわ」
子供っぽいけど、今の俺は完全に子供だし、ハンバーグでいいよな。
実際好物だし。
そうして、その日は母さんが作ってくれたハンバーグを食べた。
そして、次の日。
母さんに無理して学校に行く必要は無いと言われたけど、俺は学校に行きたいと押し通した。
「ゆうちゃん、本当に大丈夫? やっぱり、私が仕事を休んで、学校まで送って行きましょうか?」
「い、いや、大丈夫だから、信用してよ」
昨日まで引きこもっていた息子の言葉なんて信用出来ないかもだけど、中学生にもなって親と学校に行くなんて、羞恥心でどうにかなってしまいそうだから、なんとしてでも、それは阻止しなければならない。
「……じゃあ、私は行ってくるけど、いつでも学校なんて帰っても大丈夫だからね」
「分かったよ。ありがとね、母さん」
そうして、母さんは仕事に向かっていった。
ふぅ、良かった。行ってくれたな。
「よし、俺もそろそろ行くか」
家で適当にテレビでも見ながら過ごしていると、もうそろそろ家を出ないとまずい時間になっていたから、俺はそう呟いて、家を出た。
それと同時に、隣の家の扉も開いていた。
その瞬間、思い出した。
そういえば俺、8歳くらいの頃までは仲良くしてた幼馴染が居たな。
……確かその子は隣の家の子だったはず。
「……あ」
そう思って開いてくる扉を見つめていると、綺麗な白髪の少女が出てきて、俺と目が合うなり、そんな声を漏らしていた。
まだ相手も中学生だから、体は成長しきっていないはずなのに、めちゃくちゃ俺の好みだ。
「ゆ、優斗、もう、出てきて大丈夫なの?」
そうして未だに見つめていると、俺の幼馴染はそう言いながら、俺に近づいてきた。
正直、タイプすぎて、緊張してしまい、ハーレムを作ろうとしている身だというのに、一歩下がってしまった。
「あ、ご、ごめん。嫌、だったよね」
……やばい。このままじゃあ、ダメだ。
これは、どうしたらいいんだ? 直ぐに謝って、大丈夫だと言うか? いや、それじゃあただ俺が気を使っただけのように見えてしまうかもしれない。
ここは貞操逆転世界だ。
逆の立場になって考えよう。
前世だったら、こういう時、女の子にはどうされたら良かった? そもそも、どういう子がモテてた?
単純に可愛い子か? ……そうだな。それは間違いない。
たた、この世界での俺の顔ってどんなレベルなんだ? 知ってるはずなのに、記憶が曖昧で分からない。
仕方ない。
一旦それは置いておいて、あれだ。この世界の男っていうのは、みんなガードが固い。
つまり、無自覚な奴がモテると思うんだよ。
……よし、やってみるか。
確か、名前は
「嫌って、何が? それより、久しぶりに一緒に学校に行かない? 真奈」
正直前世がある俺からしたらかなり気持ち悪かったけど、子首を傾げながら、俺はそう言って真奈に近づいた。
さっきは緊張して一歩下がってしまったけど、よく考えたら、この世界は貞操逆転世界。
つまり、主導権を握っているのは俺ってことだ。
そう考えると、さっきまでの緊張なんて直ぐにどこかへ飛んでいってしまっていた。
だからなのかもしれない。
今この瞬間、自分から距離を取ってくれていた危険地帯に足を踏み入れ、地雷を踏み抜いていることに気が付かなかったのは。
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