灯台

もう少しおそばにいてください

抱きしめて離れないように

その温かな胸の中に閉じ込めて

私をそばに置いてください

人の温度が欲しい

生きていると思い知らせて

人の肉の柔らかさを知らしめて

生きていると教えてください

安心したいのです

一瞬でも良いから

人間のように泣いてみたい

温かさを知って信じたい

期待をしてみたい

きつく抱きしめて大丈夫と

確信を持って教えてください

愛し方を教えてください

まだ遅くないと身をもって証明してください

もう嫌だと泣いても立ち上がらせて

歩いて行こうとする私を信じて見守って

灯台のようにその先にいてください

暗い海にいてもそこがたとえ嵐でも

輪郭の滲んだ光は遠いところからよく見える

あなたはきっとそんな器じゃないと言うでしょう

けれども見えるんです

眩しくて仕方ないんです

北極星にはなれなくとも

地に足をつけた灯台は

陸に戻ってきた船乗りを

陸の生き物へと戻してくれるのだから

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