第九話
「ンァ・・・?」
俺は自分の部屋のベッドから起きた。
(あ、なんでベッドで寝てんだ?確か、婆様に呼ばれて・・・?)
記憶が曖昧な事を不思議に思っていると、部屋に沙耶香が入ってきた。
「っ⁉︎隆貴‼︎目が覚めたの‼︎良かったぁ〜。」
安堵している沙耶香が続けて言った。
「もう。お婆さんに会いに行く途中で突然気絶するなんて、ゲームのし過ぎだよ‼︎」
沙耶香に怒られたが気にせず聞いた。
「そうか。婆様の用件は何だったんだ。」
沙耶香は不機嫌そうに答えた。
「ムゥ。私凄く心配したのに。お婆さんが隆貴の様子が気になったんだって。最近、外に出てないから。」
婆様が心配ねぇ。少し怪しいが、心配させたのなら追求しないでおくか。
「済まないな。文句ならあのゲームを作った爺さんに言ってくれ。正式リリースまであと何日だ?」
「こんな時でもゲームの心配なのー‼︎はぁ。四日後だって。隆貴ずっと寝てたんだよ。お婆さんは外で運動しなさいって。」
「なら、一緒に買い物にでも行くか?嫌なら一人で行くが。」
沙耶香が信じられないものを見たように驚愕した。
「えっ!?も、もしかしなくてもデートに誘ってくれてる‼︎行くに決まってる‼︎」
そう言うと沙耶香は急いで部屋を出て行った。その後、沙耶香と買い物をしたり、【Revolution World Online】の話をしたりなどしてあっという間に四日が経った。
「私はカルメシア帝国のシルティカって言う街に居るからそこで集合しよう。」
沙耶香が一緒にゲームがしたいと言ってきたので、適当にあしらった。
「出来たらな。今いる場所すらよく分かってねぇから約束は出来ん。」
「そっかぁ。じゃあ後で現在地教えて。会いに行くから。私のゲーム内の名前は
「分かった。」
【Revolution World Online】が正式リリースされ、俺と沙耶香は結局先行プレイ時のキャラを使用することにした。
沙耶香が帰ったのを確認して、俺は早速ゲームを始めた。
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俺は前にログアウトした場所とは全く違う場所にリスポーンした。爺さんから聞いた話だが、アポカリプスモードの俺は例外的にリスポーンする時もリス地が初期よりはマシだがランダム化するらしい。今回は街に続いていそうな街道にリスポーンした。
「うわぁ、マジか。どんな確率だよ。」
安心したのも束の間。俺の目には豪華で家紋らしき模様を掲げた馬車が20人以上の盗賊に襲われている光景が写っていた。騎士と思われる者達は意外にも苦戦していた。流石に見て見ぬ振りはできなかつた。なので昔から使っている言葉で場を制することにした。
「おい‼︎道のど真ん中で何やってやがる‼︎通行の邪魔だ‼︎退け‼︎」
怒鳴るように言った。場が直ぐにしーんとなった。すると盗賊の頭っぽい奴が近づいて来た。
「なぁ、坊主。どういう状況か理解してるのか?」
そんな事を聞いてきたので冗談めかしに言ってやった。
「えっ、ただ場を和まそうかと。」
そう言った後、直ぐに俺はそいつの首を剣で刎ねた。その場の全員が呆然としている中、俺は盗賊と思われる奴に斬り掛かった。慌てて武器を構えていたが、直ぐに首を刎ねた。ものの数分で盗賊を全員殺した。近くにいた騎士らしき人間が慌てて話しかけてきた。
「あ、あの。助太刀感謝します。私は騎士のアリアと申します。」
名前や声からして女だ。全身甲冑姿だから分かりづらい。
「俺はロストだ。見ての通り旅をしている者だ。あんた達は貴族の騎士か?」
アリアは肯定した。
「はい。サリバキア王国サリナーア公爵様の私兵です。主人に代わり、お嬢様を御守り頂きありがとうございます。」
礼をしてきたので、こちらも礼をした。
「サリナーア公爵様のお嬢様が。それは良かった。それに礼を貰う程の事はしていない。ただ不意を突いただけだ。」
謙遜するとアリアは感動したように熱弁を始めた。
「何を言いますか‼︎あれ程の剣術、剣聖様を彷彿とさせられました。さぞ高名な剣士とお見受けします。」
俺はアリアの問いに対して正直に答えた。
「そこまで有名ではない。ただのしがない旅人だ。それでこの盗賊達はどうする?」
俺は盗賊の死体をどうするか聞いた。
「燃やすつもりです。アンデットになられても面倒ですから。」
「それは少し待ってくれんないか。」
アリアは不思議そうに聞いてきた。
「構いませんが。何かありましたか?」
「いや。ただ盗賊から金品を剥ぎたいだけだ。」
それを聞いたアリアは驚いていた。
「えっ⁉︎死体から物を盗るんですか‼︎」
「当然だろ。こうでもしないと旅は出来ん。」
死体を漁り出した俺を見て、アリアは興味深そうに呟いた。
「旅をするのも大変なのですね。」
俺が盗賊の死体を漁りだして少しすると、青色の髪をした女が俺の前に立った。
「私の名前はセルフィア•サリアーナ。貴方が盗賊を倒した者ね。私の騎士になる名誉をあげるわ。私に忠誠を誓いなさい。」
女は俺に命令するように冷たい口調で言った。俺は悟った。これ、面倒なやつだ。
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作者です。主人公だって最低限度の人情と礼儀くらいは持っています。現実編は書く気ではいますが、多分当分先になると思います。(一応報告)
主人公が強いと思う方は★と応援お願いします。
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