魔法を使えるようになった現代で目指すのは彼女との生活
涼梨結英
入学編
桜の舞う道を今年から一般魔法高校にに入学する新入生たちが歩いている。
そのうちの一人である神座達は幼馴染の宮咲雫と一緒に入学式の会場へと向かっていた。
「せっかくの入学式だって言うのに周囲を敵視する空気が肌にピリッとくるわね」
「しょうがないさ、ここにはDS式とU式がいるんだから。異なるもの同士が相容れないのは今に始まったことじゃない」
魔法が発見されてから今年で97年、現代において魔法を使用できる人間をDS式、魔法を使用できない人間をU式と呼んでいる。
この一般魔法高校にはそのどちらもが属している。
この世界において魔法使用能力の有無は生まれた瞬間に決まる、確率は二人に一人といったところか。
「それより・・・・どう?私の制服、似合ってる?」
「似合ってるよ」
「ありがと、、嬉しい」
そう言って雫は笑顔で透の腕に抱きついた。
そして二人がそのまま歩いて行くと係の声が聞こえた。
「DS式の方はこちらで、U式の方はあちらで受付を済ませてください」
言われた通りそれを済ませて式場の席に着く。
そしてすぐに式が始まった。どうでもいい挨拶や長話が透の耳に入り耳から出ていきそうあまりの退屈さにあくびをした。
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「透、透、起きて・・・・もうみんな教室にっちゃったよ、そろそろ私たちも行かないと」
「そうだな」
いつのまにか眠ってしまっていた彼は彼女に起こされた。
誰もいない式の会場はとても静かだった。二人はそこから外に出た。
「誰か助けて!」
二人の耳に少女の叫び声が響いた。
声の方には一般魔法高校の制服を着た少女が覆面の二人に連れ去られそうになっていた。
そのうちの一人が二人に気づいた。
「お前はそいつのことをどうにかしとけ、俺はあの二人を何とかする・・・・そっから出てきたってことはSDの奴らか、雑魚が」
覆面の一人が発動させた魔法を二人に向けて脅した。
「今すぐ両手を後ろで組んでその場にうつ伏せになれ!」
「拒否したら?」
「ああ?なら殺すしかないだろ」
魔法は放たれたが透と雫はすでにそこにはいなかった。
「バタッ」
魔法を放った覆面の後ろで音がし、それを聞きいてすぐに振り返った。
そこには先ほどまで少女を捕まえていたもう一人の覆面がその場に倒れていた。
「お前、何をした!」
「ただの魔法だ、見てわからないか?」
「そんなのはわかってる、それより俺が聞いてるのはU式のお前たちがなぜ魔法を使えるのかってことだ!」
透は黙ったまま手のひらに浮かべた魔法を覆面に向けた。
「やめっ」
バタッ。
男は言葉を言い終える前にその場に倒れた。
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