うどんに転生したオレは触手的な才能でこの世界を生き抜く ~うどん転生からの現代生活(ほぼ不可能)~

相生蒼尉

第1話 暗闇からの脱出! そして転生!?



 ああ、そういや、明日は夏実と連絡、とらないとな……。


 ――そう思って昨日の夜はいつも通りに、寝た、という記憶が、オレ――香川敬多の中には、ある。それは間違いないはずだ。


 そして、今、たぶん、起きてると思う。


 ……意味が分からない? 知らない天井、とかじゃないのかって?


 いや、ネタじゃねーし。寝た、だから。


 まあ、ビワパパってペンネームでネット小説、書いてるから。知らない天井とか、そういうフリも分からなくもないんだけどさ。


 ……今は起きてると思うんだけど、なんか、真っ暗な感じ。起きたってことは朝だろ? そんなことってあるか? すっげぇ大雨とかなら音もあるはずだし。


 あと、なんか、身体の動きが、変な感じ。うまく、動かせない。


 ……え、重大な病気の可能性? マジですか⁉ やっべ。それもありうるのか。


 脳関係とか、神経関係とかだと、身体が動かせなくなったりとかもあるのか……わぁ、怖い。そりゃやっべ。


 ……あ、金縛り? なるほど、オカルト的な? あれって視力にも影響、出るんだっけ? どうなんだろ? 気合で動けば治る? え? 金縛りって、気合なの? そういうもん? 物事はたいてい気合で解決できるって? いや、そういう面があるのは否定しないけどさ。


 ……あ、ダメダメ? こんな感じでふざけてると時間がなくなる? はい? それはいったい、なんの話?


 ていうか、あなた、誰? なんでオレはまともに動けないのに、こうやって話しかけてきてんの? いったいどこから? オレ、一人暮らしなんですけど?


 ……あん? とにかく、思い切って動いて、暴れて、脱出しろ、と? 急げ? いや、急げって言われても?


 え、オレ、どっかに閉じ込められてる感じ? ナニソレ? 意味わかんないんですけど? まさかの誘拐事件に巻き込まれたみたいな? そんなんある?


 ……いいからやれ? 時間がない? あと3秒って? 何? いきなりそんなに慌てられてもな?


 まあ、やってみるけどさ。


 そこで、とにかくオレは頑張ってみた。言われた通り、気合で。


 とりゃああああああっっっっ!


 どっしん。ぱたっ……ひゅ~っ、ぽてん。くしゃ。


 うわわわっ、なんか、落ちて、いた……くはない? 何って、え? なんか、明るくなって?


 ……え? 時間がないから手短に? アンタはうどんにてん……って。


 あれ? なんか、つながりが切れた感じが、する……? プツって? まるで電話が切れたみたいな……?


 うどんに、てん……?


 てん……てん……天ぷらとか? 天かすとか? うどんにてん……って、いったい何が言いたい……って。


 あれ?


 よく見たら、ここ、オレんちの、キッチンじゃん?


 なんで冷蔵庫、扉、開いてんの? 電気代のムダだろ? 寝る前に冷蔵庫、開けたっけ? 開けてないよな?


 ちゃんと閉めろよ、もう。誰だよ、まったく……って、一人暮らしだから犯人はオレしかいないけど。


 うん? 手が届かん。あれ? なんか、ちょっと見えにくいっていうか、袋? ビニール袋か? オレ、頭にビニール袋、かぶってる⁉ 何それ? どんな状況?


 いや、かぶってるっていうか……手を動かしたら……なんか、白いもんが動いて、袋を突っつく感じなんですけど……これは、いったい?






 それから、しばらく。


 いろいろと考えてみた。行動しながら。


 結論。


 どうやら、オレは、うどんに転生したらしいと判明。


 ……いや、もう。どういうこと?


 転生って、まず異世界だろ? なんでウチのアパートのキッチンの、しかも冷蔵庫の中なんだよ? あそこから落ちたんじゃないかと推測できる状態だったし。


 ……まあ、そこじゃない。


 なんで、うどん?


 よりによって、うどん?


 いやいや、無理だろ、それは。どう考えても、無理ゲーだろ? WEB小説には確かに、いろいろなものに転生する物語があるっちゃ、あるけどさ。

 人間以外なら、杉の木とか、自動販売機とか、蜘蛛、なんてのもあったか。中にはアニメ化までした作品もあるよな、うん。


 しかも、オレはさっきまで、ビニール袋の中に入ってた。マジで。


 大暴れして、なんとか袋の中からは脱出したけどさ。


 ……普通はまず、トラックとかで事故にあって、神様んとこでスキルとかギフトとか、めちゃくちゃすんげぇ何かをもらって、それから中世ってぽくて剣と魔法な感じの異世界へ行くって話だろ? で、ハーレム。とにかくハーレム。またはチーレムともいう。


 なんで、転生先がオレんちのアパートのキッチンの冷蔵庫の中で、しかもうどんなの? とどめに袋いりとか。


 現代社会でうどんに転生して、いったいどうやって生きていけ、と?


 ……どう考えても無理ゲーだろ、これ。


 しかも、どうやら、説明不足のまま、放り出されてしまったらしい。さっきまで話しかけてきてた謎の声、たぶん、神様的な存在のはずだ。


 なんか、無駄話ばっかりしてて、突然、時間がないとか言い出したと思ったら、プツってつながりは途切れたし。いや、あまりにもサービス、悪くないですかね?


 うどん転生、ハードモード。


 ただでさえ、うどんとして生きるなんて、想像もできないのに……。


 いや、そもそもの話、だ。


 うどんって、生きてんの?


 マジで、これから、どうしろと……?


 この日。

 どういう訳か、うどんに転生していたオレは、ただただ途方にくれたのだった。


















――――

どうも、相生蒼尉です。

新作公開、始めました。なんと、人外転生もので、しかも、うどんに転生です。


これは、『第6回ドラゴンノベルス小説コンテスト』に応募予定の作品となります(2万字を越えたら応募するつもりです)。

要項を見たところ、「読者選考」が入っているようです。


お読みになった上で、おもしろいかも、と感じたら、ぜひとも☆やフォローでの応援をよろしくお願いします!

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