【新】弱小人類 世界がゾンビだらけになったので、俺達兄妹が救ってやるよ!
崔 梨遙(再)
第1話 この物語へ、ようこそ!
僕は相馬瞬。
平均的な容姿の高校3年生だ。
特に進学校というわけでもなく、特にすさんでいるわけでもない、ごく普通の高校に通っている。
すこぶる平均的な高校だ。
僕は中学の時に平均点ばかりとっていたので平凡なのは仕方がない。
僕は高校の成績もほぼ平均点だった。
彼女はいない。
バレンタインではチョコをもらえることもあればもらえないこともある。
告白したことは1度ある。玉砕した。
告白されたことも1度だけある。お断りした。
帰宅部だ。
友人と遊ばない日の帰宅は早い。
家まで30分。
帰ると高校2年生の妹が家にいる。
妹も帰宅部だ。ちなみに、僕と同じ高校だ。妹は成績が良くて、もっとレベルの高い高校に進学することが出来たのに、何故か僕と同じ高校を選んだ。
妹は菫という。ハッキリ言って超可愛い。モテモテだ。
だが、連日告白されてもまだ誰とも付き合っていない。
理由を聞いたことがある。
“好きな人がいて、その人としか付き合わない”
とのことだった。
僕と菫に血の繋がりは無い。
僕の両親は再婚同士。僕は父の連れ子で菫は母の連れ子だ。
僕達が家族になったのは僕が中学1年生の時で。菫はまだ小学6年生だった。
僕は突然妹が出来たので、どう接したら良いのかわからなかった。
というか、未だにどう接したら良いのかわからない。
「ただいま」
「お帰り」
「晩飯まで部屋にいるから」
「ゲームするの?」
「うん」
「ゲームばっかり」
「菫も一緒にやるか?」
「そんなつまらないゲームなんて私がやるわけないじゃない」
「無理はしなくて良いよ。ジャージに着替える」
部屋に入って黒いジャージに着替える。
着替え終わると、僕はスグにTVの前でゲーム機のコントローラーを握る。
「入るわよ」
菫が紫のジャージで現れた。
相馬家の家着はジャージなのだ。
菫は僕の隣に座って、もう一つのコントローラーを手に取る。
「菫もやるのか?」
「少しくらい相手をしてあげないと、お兄ちゃんが泣くでしょ」
「泣かねえーよ」
「あっ、そう。じゃあ、自分の部屋に戻る」
「あーっ! 嘘だよ。泣く! 泣いちゃう!」
「しょうがないわね。最初から、そう言いなさいよ」
「はいはい。ありがとう」
なんだかんだ言って、菫は僕と毎日ゲームをしている気がする。
ゲームがあるから、菫とコミュニケーションがとりやすくなっているようだ。
ゲームがなかったらどうなっていたのだろう?
「スタート、スタート」
急かす菫。
「始めるぞ」
ゾンビがゾロゾロ出て来るので、ぶっ飛ばすゲームだ。
僕は何かと平均的な人間だが、ゲームだけはメチャクチャ上手い。
僕は高速剣士のキャラを選んで動く死体共を斬り飛ばす。
大体、頭を潰すか首をはねるかだ。そうじゃないと死なない。
菫は魔法使いのキャラを選んでいる。
手をかざすと、白い光が出てゾンビ達を吹き飛ばす。
このキャラは、防御にも向いている。
僕が突進して、僕の背中を菫が守ってくれる。
相馬兄妹はゲーム内では無敵の存在だった。
その時。
画面が白く光った。どんどん輝きが増していく。
やがて、画面に吸い込まれるような感覚に包まれた。
“まさか、そんなはずはない”
と思ったのを最後に、僕は意識を失った。
気が付いたら、街の中だった。
ゲームやアニメの世界で目にするような市街地だった。
側に菫が倒れている。
「菫、起きろ」
「うーん」
菫が目を覚ました。
「お兄ちゃん、ここどこ?」
「市街地」
「何それ? 冗談じゃないわよ」
「でも、ゲームの市街地みたいだろ」
「マジ、ここどこ?」
「わからないんだ」
「悪い冗談はやめてよ! こんな街、あるわけないじゃない」
「僕だって驚いてるんだ」
「もしかして、私がいつも冷たいから嫌がらせしてる?」
「嫌がらせって何だよ」
「ドッキリとか?」
「馬鹿、こんな大規模なドッキリ仕掛けられるわけがないだろ」
「お兄ちゃん…」
「ん?」
「あれ!」
菫が指さす先。ゾンビの大群がこちらへ向かってくるのが見えた。
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