~マッチング・ゲーム~ 後編 【全十一話】
友人
あなたの友人は、あなたとカラオケの後に別れて隣町の二駅分ほどに距離がある”例の公園”へと車を走らせていました。どうしてもあの公衆トイレはあの公園のだと確信を得たかった・・・いえ、間違いだったという確証が得たかったのもあり、友人は自分の感情や気持ちをなかなか表には出さない性格のようで、内心、もしかして・・・という不安と疑問で頭が一杯だったのです。
30分ほど車を運転していると、交通規制が敷かれていて前へと進めなくなっている。
別のルートへと回り込むが、また警官が車や通行者をはり込み道行く人たちをその場で事情聴取を取っていて、なんだか面倒くさそうでもあり友人にとって今は何となく場が悪く感じ警察は遠慮したい心境だ。
友人は、この日は諦めて帰路へと着き少しがっかりしたような、なんとも言えない気分でもあった。
《まさか、そんな訳はない。あれはゲームだろ・・・少女が銃を乱射し、捕まった。それを、俺が?・・・いや関係ねぇよ。俺はゲームをしただけだ。女の名前も知らねぇし、関連がねぇ。それにあれを拾ったのも俺じゃねぇ》
必死に認知バイアスを曲げて他責へと持ち込む。友人はそういう人ではあるが悪いやつではない。自分の感情や気分に実直なだけだった。
昨日の残りのカレーが、またカレーライスにするには少し量が足りない。友人は冷凍庫を開けてカチカチに凍って固まった冷凍うどんを一つ取って、適当な出汁と水を足してカレーうどんにしてそれを夕食とした。
友人の性格は、内心は繊細ながらも大雑把でガサツな部分が多く、うどんを啜り食べているテーブルの横に開いたままで置いてあるノートPCは、電源もつけたままずっと放置されていた。咀嚼しながらマウスを操作し、面倒くさいのが嫌いなようでロックすら常備解除をわざわざしている。再生された動画は有名なグループで、定番のテーマで動画を配信している様子が映し出されていた。
食べ終わった食器類はそのまま片づけることもなく放置され、PCの動画も再生されたまま、友人はシャワーを浴びにいく。
ピロリロリン♪ピロピロリン・・・ピロリロ・・・・・・・
スマホのコール音が鳴っている。
しかし友人は入浴中のため電話の呼び出しには気づくことも無く、コールは切れてしまう。数秒後、また同じコール音。友人が持ち歩いていた鞄の中から聞こえるが、一定時間が鳴ってまた切れる。
浴室のシャワーの音が止まり、友人は身だしなみには気を付けているようで、乳液か化粧水を顔につけながら戻ってくる。スマホを持ってベッドへと横になると、先ほどの着信を気にせず何かをスマホで見ている様だった。
・・・ピロン♪
何かの通知音が、友人の手元からではなくまた鞄の中から聞こえる。友人は玄関に置かれているだろう鞄の方へと向かった。
戻ってきた友人の手元には両手にスマホを持っていて、カフェで拾った真っ黒いスマホは友人が持って帰っていたようでした。
友人は自分の物であろうスマホをベッドの上に置いて、黒スマホの方へと集中しだす。
・・・ピロン♪
今度は友人自身のスマホから通知音が鳴る。
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