落し物
あなたは見たこともないメーカーのスマホを拾った。と、いうかあなたが友人と何気なく来た駅前にある有名チェーン店のカフェに座り着いた、その席のソファー椅子にそれは寂しく置いてあったのをつい、手に取ってしまった。
全く見たことも無いあなたの知らないスマホで、メーカー名だけでなく大手携帯会社のキャリアロゴすら書いていない。が、スマホだということだけは裏手上部のカメラレンズで分かり、無機質で真っ黒な薄っぺらな四角いモノが暗く、あなたの顔だけを反射して映してくる。
「・・・あれ?スマホ替えたの?」
向かいに座っている友人が手にしてただ眺めているだけのあなたに気がつき、まるで髪を切った女子に気を使って話しかけるかのように聞いてきた。
「・・・え?いや、ここに落ちてたんだ」
そう言ってあなたは元にあった場所へとそのスマホを戻した。
「え、ちょっと見てみようよ」
友人は席から立ち上がり、あなたの隣に置いたスマホを拾い上げてその流れで隣に座り込んでくる。
「置いとけよー、どうせ直ぐに持ち主が取りにくるって」
少し、色々と邪魔臭くなってきた。
「いやいや、これ落としたのがもしかして可愛い娘かもしれないじゃん」
友人はまぁまぁの遊び人ではあるが、ここまで見境が無いのかと逆に関心した。
「自尊心が高い系でさ、かわいい子ならトップ画面は自分と友達とか彼氏にしてるだろうし、先ずはそれを見てからだろ?」
あなたも少し期待というか、面白がってきてしまっていた。
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