準備中
とりあえず今度の和歌山行きは6月最初の土日に決めた。
父さんの部屋で難しい本めくりながら兄貴とラインして決めた。器用なので。
妹も行けたら行くってさ。まあ子供次第かな。母さんは連れて行かない。こっちで兄貴とか妹の家族になんかあった時に動ける人は残ってて欲しいし、ウルトラの世話もあるでしょ。
ウルトラ、ちゃんと元気は元気なんだけど最近たまにちょっと食欲無い日があって困ってるんだよね。吐いたりはしてないけど、なんかご飯残したり、いつもより食べぐずりする感じ。赤ちゃん返りか?動物病院には一度連れてって特に問題は無いから様子見って言われてる。ゴールデンウィーク辺りから急に暑くなったから、ペットでも体調左右されることはあるみたい。
タカハシさんは「この何冊かが初心者には読みやすいかも」という本を引っ張り出しておいてくれて、いくつかのページに付箋をつけて帰って行った。
あんきょ。暗渠?川の一部に蓋をすること。
多分あの山の、家の周辺にそういう風になってるとこがあるのかな。だから寝てる時とか静かな時にゴォーゴォーって音がしてたのかもしれない。耳鳴りとか家鳴りとかポルターガイストと間違えるような、どこかの音。
水の強く流れる音。
井戸を知るには水回りの事を勉強しないといけないんだな。門外漢なのでなかなか頭に入ってこない。大変だ。
夜中の0時近くになってりゅうからラインが来て、おじさんの残したノートは意外と量が多くてどこをどうピックアップすれば良いかわからない、先にこっちを送るよ、と、日記らしき物のデータを送って来た。結構容量あるっていうからラインじゃなくてGmailの方に誘導したんだけどね。
字が細かいからスマホだと見辛くて、邪魔になるかもしれないけど保険のつもりで持ってきてたタブレットで開いた。なんなら父さんの部屋に数泊しても良いように仕事用のパソコンと着替えは少し持って来てる。でも仕事用のパソコンでそれを見るわけにはいかんでしょ。
蔵に残されてた日記。
2階から身を投げて死んだ娘、アヤネちゃんの日記。
それをPDFで送ってくれた。
達筆で少し読みづらかったけど、りゅうがざっくりとした翻訳?みたいなのをつけてくれてた。仕事早いな。
達筆なの家系なのかな。私はとても字が汚いけどね。
恋人のシュウジが死んでから緩やかに気が狂って行ってるんだけど、でも案外内容は筋が通っているというかわかりやすかった。
本当に恋でおかしくなってしまっていた思春期の女の子の日記の方が読みやすくて、なんでその子孫は意図的に怪文書を残さないといけないんだよ。許せない。
その中に「私の髪でお前らの首を絞めて殺す」ってはっきり書いてあってワロタ。
直球すぎんだろ。
あと文章流し読みすると妊娠してたようにも見える。
初潮が来てからずっと月の物が不安定、という記述があるんだけど、シュウジが死んでから月の物が来ないし気持ち悪い気持ち悪いって書いてあって、それがつわりなのか今で言うPMSみたいな奴なのかわからん。
でも妊娠して死んだなら役所のアダチさんの資料にも記述が残っててもおかしくないと思うんだよね。
やっぱり若いけど生理不順、子宮の病だった可能性の方があるのかな。
この時代に子供を産めないかもしれない若い女。
無価値と思われててもおかしくないね。
しかも良いとこのお嬢さんなのに、自分より立場が下の、義理の弟との自由恋愛。
当たりは強いだろうなそりゃ。
血は憎むためにある。
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