第28話

義姉視点 過去編


家に初めて来た時は、余りにも絶望しきっていた。


私は事情を聞いた感じだともっとやばいやつだと思っていたのに、


話しかけるにしろ何がどう刺激するか分からない。


だからとりあえず、様子を見ることにした。


それからは、優はやっぱり別に悪いところはなく、普通に顔が死んで、私や他人に怯えてるだけの子どもだと感じた。



ある日、私はトイレに行こうと夜に歩いていると優の声が聞こえた。


そして、私は優の部屋で扉をこっそり開けて、中を開けると


布団にくるまって泣きながら、


「死にたくない、死にたくない」


そう怯えていた。



余りにも衝撃的だった。


私だってみんなだって死にたくないのは当たり前だろう。だけどあんなふうに泣きながら怯えたことはあっただろうか、


それも私が知らないだけで、何度もあんなふうに怯えていたんだろう。




「・・・」


あの子は、私達と生きると重みが違う。この平和な日本で、死の経験を嫌な程既にして来たんだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る