冒険者ギルドと商業ギルド Ⅰ

ウワーッ!並んでるよ!

こんな朝早くから?


「なんだ知らないのか?何時も暗い内から並んでるんだよ、まぁ冒険者が多いから早く通されるさ」

「それにしても多いですね?」

「この辺りの村から野菜とか売りに来てるし集荷場が1ヵ所なんだよ、だから色んなのを届けに来るのさ」

「その1ヵ所って全ての物を集めてるとか?」

「そうさ、麦や豆とかもだし材木とかも全部集荷場なんだ、だから早く行かないと向こうでも時間が係るからな、不便だよハハハ」


そりゃ不便極まりないだろ、何でもかんでも集めてそれから分配するのか?バカなのか?


順番が来た┅┅ドキドキ


「次!身分証かカードを」

「すいません、初めてこの町へ来ました、冒険者になる為です」

「じゃあ他の身分証とか無いのか?」

「ハイ、何も」

「じゃあ通行税、銅貨5枚だ」

「あっ、ハイ!」

「これが仮の身分証だが早く冒険者登録しろよ、身分証無しが町にいたら捕らえられ犯罪奴隷送りだからな」

「ハイ!ありがとうございました」


ヒャア!通れた、でも身分証無しで奴隷送り?酷くないかい?それも犯罪奴隷って!容赦無いなぁ


門を潜り抜け町の中へ入るとそこはファンタジーの世界!

町並みは予想通りの中世の田舎町、石畳の道路に馬車が行き交う、歩いてるヒトは?

おおっ!毛耳!獣人さん!尻尾も!やっぱそれだけなんだな、狼男みたいに毛むくじゃらじゃ無くて耳と尻尾がなけりゃヒトだよ!


でもあの毛耳は不思議だなぁ┅おっ!おぉぉお!エルフ!

エルフの女性!なんて綺麗な顔立ち!それにペチャパイじゃ無い!ボイン!耳が尖りだぁ!


しかし?皆さん?美男美女で外人さん?西洋風ってのが正しいのか?


背も高いね、平均180cmくらい、女のヒトも背が高いね

それにスタイルが良い!女性は皆ボインだよ!お尻もデカイ!

獣人さんなんてデカパイのデカ尻!尻尾がエロイ!


華奢で細いのを探すの難しい、小さめもいるけど少ない、日本人体型で平面顔はこの世界では無理だな!

きっと変な目で見られる、そうに決まってる、黒髪もいるにはいるんだな、でもあの顔立ちに似合ってミステリアスですかぁ


キョロキョロとお上りさん状態、でもしっかりマップを拡げ町の様子を見てる


この先に広場があってそこが中心地、放射状に道が走り地区へと繋がってる

大通りが交差して門から向かって左手に冒険者ギルド、右手が商業ギルドがある

商業ギルドへの途中に薬師ギルドがあるみたいだ


だから左へ向かう、早速冒険者登録だよ!道には色んな屋台が美味しそうな匂いを漂わせてる


「オジサン、その串はなぁに?」

「おう!コイツはオーク肉だ、それに特製タレをかけて焼いたのがこれ!この町の名物オーク肉のタレ焼きってんだ!嬢ちゃんこの町は初めてか?それならオマケだ!2本で銅貨1枚を3本で1枚で良いぞ、どうだ!」

「へへ、じゃあそれで、ハイ銅貨1枚」

「まいどあり、又来てくんな!嬢ちゃん可愛いから男には用心しな!ハハハ!」


嬢ちゃん?俺を?でもマケテくれたから良いか

銅貨1枚で2本が正規料金で通行税が5枚だったな┅┅

銅貨1枚は1000円くらいか、串焼き1本500円なら分かる、通行税は5000円も妥当なのか?高くないか?


じゃあ銀貨は1万円で金貨は10万円!それと大銀貨と大金貨とかあったな、それは大銀貨は5万円で大金貨は50万円、白金貨は?100万なのか


鐵貨 100円 銅貨 1000円

銀貨 1万円 大銀貨 5万円

金貨 10万円 大金貨 50万円

白金貨 1000万円 聖金貨 1億円って事らしい


あの盗賊からの戦利金の中に聖金貨とか大銀貨、大金貨はあるのか?宿を取ったら調べよう

白金貨が1000万円とは!はぁ~


串焼きを食べながら歩いて行くと看板に剣が重なったのが見えた、あれが冒険者ギルド!遂に!


ドキドキしながら中へと入る、奥にはやっぱり酒を飲んでる冒険者達が┅┅定番だな

食堂兼居酒屋なのはしょうがない、そう言う物だ

右手にカウンターが並んでる、受付けみたいだ、3人の受付嬢が各々カウンター毎にいるが?奥は獣人さんで茶髪の美人さんの多分Fカップ、胸がシャツから溢れてる!


真ん中はエルフ嬢かぁ、いやぁホント美人だよなぁ、深い緑色の長髪で胸もしっかりD+はある、スタイル抜群!そして目の前にはヒト族の美人さん!超カワイイ!胸もEカップ確定!セミロングの金髪が更に顔を引き立たせてる


「あのぉ┅登録宜しいでしょうか?」

「ハイ、冒険者登録ですね?」

「ええ、今日この町へ来たばかりです┅」

「それでしたらこの用紙に必要事項を書いて下さい、代筆は?」

「大丈夫です、この住所はどうしましょう?」

「そちらは任意でして来たばかりならリビラ町と記入して下さい、下の属性とか専用武具等も任意です、記入しなくても問題ありません」


フムフム、名前、年齢、種族と┅後は任意ばかりって?こんなで良いのか?身分証って大丈夫かぁ?


「ハイ、これで大丈夫ですよ、カードを発行しますけど手数料が銀貨1枚必要ですけど?」

「銀貨ですね?はいどうぞ!」

「あら、手持ちがありましたか、珍しい┅┅ってご免なさい、じゃあカードが出来るまで説明しますね」


内容は殆ど知っていた事ばかり、G級から始まってS級へと昇る、G級は一月で10件の依頼を完了しないとカード失効で1年間は見習い

冒険者として証書を渡されカード無し、F級は3ヶ月で20件の依頼完遂、E級は半年でD級だと3年間の間に依頼を1件でも良いから受ければ失効しない

E級からの昇給には護衛依頼を必ず1件受けないと駄目だとか、F級からE級へは討伐依頼を5件完了とか聞いた



冒険者しおりってのを貰って良く読むようにと念を押された


目指すはD級だな、それで昇級は止める、C級だと使命依頼や護衛依頼が増えるらしいし、その護衛も貴族とかも有る、あの盗賊に殺られたのもC級冒険者達だ


「買い取りとかはどうなってますか?」

「買い取りは常時です、あの売店で魔石や小物素材の買い取りをします、魔物は下の解体場へお願いします、薬草等はこのカウンターで精算します、あちらの受付けの子が鑑定して査定しますから、えっと、ラディ!ちょっと来て!」

「なに?」

「ラディが鑑定のスキルで薬草やポーションを査定します、こちらは登録されたジョウさん、G級からのスタートよ」

「初めましてジョウです、薬草の時は宜しくお願いします」

「┅┅┅┅初対面の挨拶なのにフードを取らないの?失礼じゃないかしら?」

「あっ!すみません!緊張してて忘れてました、えっと貴女は?」

「あっ!私はメリルって言います」

「メリルさん、ラディさん、ご免なさい、フードしながら失礼しました」


そうしてコートのフードをパサッと背中へと外した


「メリル┅┅この子女の子なの?」

「それが┅男のヒトなの┅┅┅」

「「えっえぇぇええ!」」

「ジョウさん!直ぐにフード被って、早く!」

「ええ!それが良いわ、早く!」


なんで?


「おい!今の見たか?あの新人さんスゲェ!ベッピンだったぜ!」

「ねぇねぇ!見た見た!スッゴい可愛い子よ!私達のパーティーに誘おうよ!」

「久しぶりの上玉だぜ、1人ならパーティーに入って貰おうぜ」

「「「なによあの銀髪!」」」

「長い銀髪に真っ白な綺麗な顔、スラリとして!胸は!どうだった!」

「あんなコートしてたらわからん、それにしてもヒト族なのか?エルフの間違いだろ?」


凄い誤解、男の子ですぅ!


「ねっ?分かったでしょ?でもご免なさい、私とした事がうっかりだわ、それにしてもアナタ?これから大変よ」

「もう、ラディったら、貴女が悪いんでしょ、用心してフードで隠してたのよ」

「なによ、メリルだってジョウさんがこんな美少女とは知らなかった癖に!」

「フフフ!私を除け者かニャ!混ぜろニャ!」

「ロミィが加わると面倒なのよ!それにそのニャ!は仕事中は駄目でしょ!」

「ラディは私に厳しいのだニャァ」


「 ご免なさいね、この子はロミィ、見ての通り猫獣人よ、仲良くしてやって」

「宜しくニャァジョウ!メリルに飽きたら私が面倒見るニャン」

「はぁ?宜しくお願いします」

「良い子だニャ、好きになったのニャァ、良い匂い!好き!」


っとまぁ大変でした


「じゃあ買い取りに解体場へ行ってみます、あの奥に行けば良いんですね」

「ええ、階段の下です」


ザワザワとした中を歩くのは恥ずかしい、どうやらG級だからパーティー参加は規則で駄目らしい、助かった!


下に行くとガッシリとした強面のオジサン?がオークを解体していて俺を見る?


「なんだ?買い取りか?」

「ハイ!オークとか良いですか?」

「ほぅ?お前が狩って来たのか?じゃあここに出せ」

「では始めにオーク5体です」

「オイオイ!5体だって!他にも有るのか?」

「まぁこの町へ来る途中に仕留めたのが有ります」

「それって1人でか?」

「そうですけど?不味いですか?」

「イヤ、そうじゃない、しかし1人でオーク5体だと?」

「こんなのも良いですか?」


イノシンさん!小ぶりだけど


「おい!こりゃバディボアじゃ無いか!良く仕留めたな」

「ええ、コイツは何故か突進して来て避けたら木にぶつかって気絶した所をブスっと、運が良かっただけです」

「コイツは品薄で人気なんだ、肉が旨いからな、これで終わりか?」

「それがこのマジックバッグがいっぱいで、出しても良いんですか?」

「だせだせ!肉が足りなくて困ってたんだ、方々からせっつかれてなぁ、どうにかオークが少しは入ってるが少ねぇんだ」

「どうして?冒険者達が依頼を受けてるでしょ?」

「実はなぁ、A級やB級冒険者はダンジョンや護衛で出てしまってる、残ったのはC級とE級だからオークしか討伐出来ねぇんだ、それにアイツらケガばかりで頼めねぇし」

「そうでしたか、じゃあ遠慮なく出せますね」

「願ったりだ、オーイ!おめぇら!仕事だ!気張れよ!」


「「「「「オッオオオ!」」」」」


部屋から続々と職人が出て来てオークを解体し始めた

そしてこの際だからと出すわ出すわ!


ワイルドボーン 牛15頭

キラービー ハチ23匹

ブルボア イノシン3頭

ワイルドウルフ 12匹

そしてオーガジェネラル1体


「┅┅┅┅┅これで終いか?」

「まだ有りますがこれで止めときます」

「アハハ!コイツは傑作だ、ワイルドボーンなんて待ちに待った奴だぞ!今日は旨いステーキが食えるってもんだ

俺はこの解体場を仕切ってるボイスだ、査定は任せろ後で受け付けに査定書を届けるから精算すると良い、全部買い取りだな?」

「それがあのバディボアとブルボアの肉を少しとワイルドボーンの肉もお願いしたいんですが」

「そうか、旨いからな、ボアは3kgくらいでボーンは10kgで良いか?」

「それでお願いします、ありがとうございます」

「良いって事よ、こっちは大助かりだからな、これからワイルドボーンを肉屋に売り付けるぞ!高く売るから期待しとけよ!ガァハハ」


大分バッグが減ったな、後は小出しで良いか、そうだ!依頼を見てみよう、暫くは時間が係るだろうし┅┅



▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽



「おい!メリル、アイツは男なんだろ?」

「ガイスさん?あの解体場へ行ったヒトですか?ええ、男ですよ」

「だろうなぁ、あんな顔をしていても歩きはしっかり男だった、それにかなり鍛えてる様だ、体幹が半端ねぇ、俺はアイツの獲物を見に行くから悪いがここを見といてくれ」

「あっ!私も見に行きます、だって気になるもん」

「アハハ!そりゃそうだ、あんなナリでいきなり解体場だろ?興味が沸くってもんだ」

「あのジョウってヒト、何者なんでしょうか?」

「フフ、ラディは鑑定したんだろ?なんて言ってた」

「それが極普通のステータスだって、魔力も普通でF級と同じくらいか少し上だって」

「そんなのが解体場で何を出すのやら?年は何歳だ」

「20歳でした」

「成人してから5年┅┅┅┅何故今頃冒険者なのか?なれなかったのか?良いかメリル、ギルドでは新規登録者は全てG級だがアイツみたいに歳を重ねた奴もG級だ、まぁ小僧達は良いとして、歳を食ってる奴がG級なんてのはおかしいんだ、よ~く見てるんだぞ?アイツは凄い奴だと俺は感じてる」


「そんなですか?」

「獲物を見れば俺の話が分かる」


階段から覗いてた2人は驚く事ばかり、終いにオーガジェネラルを見た時はメリルは悲鳴を必死に堪えてた┅┅


「分かったか、1人でジェネラルを倒してる、そしてどれも素材が最高の状態だぞ、そんな奴はA級でも中々いない、お前が担当者だろ?しっかり捕まえときな、ハハハ!」



▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽



G級依頼┅┅殆ど雑用かぁ、ん?このドブ掃除って5件も?気になる、マップで確認┅┅成る程!

じゃあこれを全部と┅┅他は倉庫の片付け、これもOK、果樹園の手伝い?これは1日仕事だから明日かな、これもOK、後3件┅┅これは面白い、これなら全部で11件


「メリルさん、この依頼を受けます」

「これ全部ですか?ちょっと!無理はダメですよ?達成出来ないと違約金が発生するんです、それを承知で?」

「ええ、達成可能と思ったので、果樹園は明日向かいます、朝早くだから」

「じゃあこの残りを今日?」

「夕方迄には終わりますよ、その時に解体した精算金を受けとりますけどそれで良いですか?」

「ええ┅┅┅┅でも大丈夫?」

「アハハ、心配してくれてありがとうございます、無理な依頼は受けませんよ、待っていて下さい」


(そんな目で見詰められたら駄目じゃない┅ハァン♪)

「ハイ♪待ってますよぉ♪」

「じゃあ行って来ます、色々とありがとうございました」 ペコリ




颯爽と冒険者ギルドを出たんだ!





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