精霊樹 【進化の実】
フェルとエリザは世界樹爺さんと俺の住居の事や転移魔法の事をああでも無いこうでも無いと話してる
俺と言えばセッセとキングサーペントとクィーンサーペントの肉を唐揚げにしたりソテーしてアッサリ目のスープ何てのを作ってた
「エリザ!料理が出来たから運ぶの手伝ってくれ!」
『ハ~イ!一寸と待って、直ぐ行くわ!』
祠の中に料理を運び遅い晩飯、唐揚げをヨダレを垂らし見つめるフェルさんや?
エリザと言えばちゃっかり運ぶ時に摘まみ食いしてた!
「キングサーペントの唐揚げとクィーンサーペントのソテーだよ、後はフェルが沢山食べると思ったから焼肉も作った、さぁ食べてくれ」
『これはウグッ┅初めての味だなガツガツ┅旨い!なんだこの食感は!』
『これがあのキングサーペントねぇ?こんなに美味しかったの?料理って凄いわね┅┅』
『ククク、普段は生で喰っておるのじゃから違いが分かるじゃろう?料理とは魔法のようなモノじゃな』
フェルはひたすら口の回りをベタベタ脂やソテーのソースまみれで食ってる
エリザは味を確かめる様に一つづつ噛み締めて黙々と食べてる
サーペントの肉質はヘビ特有で白身の淡白な味、でも上質の脂が肉に絡まり唐揚げにするとそれは高級トリの味わいになる
ソテーにしたのはステーキよりも繊細な肉質を堪能出来るから
焼肉はオークロードの肉を少し甘いソースを絡めた奴で、柔らかい肉質がたまらない!
『この様に焼いたりする方が旨いのはわかった、しかしこのソースとか言うのが有るから旨さが増してる、そして油で揚げるとは┅』
『ジョウはどうして料理なんて知ってるのよ、普通の男は知らないでしょうに、スキルとか持ってるから?』
「俺はずっと一人暮らしだったから食べるのに料理するしか無かったんだ、店で食べてたら金が要るだろ?」
『ずっと一人暮らしって?』
「まぁ家族を持ってた時期は嫁さんが用意してくれたりだけどそれも失くなった、一人暮らしは35年くらいかな┅」
娘が事故で死んで女房は精神が病み挙げ句に男と失踪した┅
❨アンタなんかと一緒になるんじゃ無かった!1人で寂しくしてりゃ良い!バカ!❩
なんて置き手紙してなぁ┅┅
別に惚れて一緒になった訳じゃない、不憫に思って優しくしたら男と女、自然とそんな関係になって子が出来て結婚したんだ
まぁ良くある話であくせく家族の為に働いて家庭を疎かにした罰なんだけどね
商社務めは出張ばかりで家を空けてばかり、だから嫁は寂しかったのか金遣いが粗くなって浮気?とかに走り、娘と言えば反抗期で夜の街を徘徊する様になる
そして深夜、不良グループ同士の争いに巻き込まれビルから転落
敢えなく15になる命を失った
俺は┅35年間1人で暮らし老い先僅かで死んだんだ、そしてこうして新しく生きてる
それも俺の運命なのかな?フッ┅
『ジョ┅┅ジョウ?なによ?ぼんやりして、良い?この唐揚げの作り方は教えなさいよ、わかった!』
アハ、考えてたらなんだか┅
「良いよ、でもそんな時間有るのか?」
『そうだぞ、食べたらエルフの国へ行くぞ!』
『そうね┅仕方ないわ、今度教えて貰うわ』
「おいおい!こんな夜に出るのか?明日の朝じゃ駄目なのか?」
『夜の方が良い、空を駆けるのに邪魔がいないから速く行ける』
『そうよ、ワイバーンのバカが邪魔するの、その点夜は何もいないからスイスイ飛べるわ』
ほう?確かに!空にはあの2つの月が明るいし?フェルも飛べるのか?
「フェルは空を駆けるってのは魔法なのか?」
『そうだ、風魔法の結界で足場を作り駆けるのだ、陸を走ったらエルフの国へは半年もかかる』
『空からなら4、5日で行けるのよ』
飛行ってスゲェ!
『速く行かんと全滅するやも知れん、なんとしても巫女を救わねばならん!』
『フフ♪しょうがないのよ、エル巫女には助けて貰った恩が有るからね、帝国の奴等は許せないけど今は助け出すのが優先なのよ』
この2人が暴れたら帝国とか国事潰せそうだけど?
そう行ってサッサと出て行く
エリザはフェニックスに戻りフェルは上手に風の結界?を足場に空高く駆けていった
「なんとも言えないよ、あの切り替えの速さ!」
『フフフ、それだけ心配なのじゃろう、本当は明るい内に出るようじゃたがな?ガァハハ』
「でも連れて来てからの事は考えて無かったようだし、結果として良かったんじゃないか?」
『そうじゃな、ジョウは町へ行くのじゃな?』
「うん、フォーリアさんからの命令みたいなもんさ、確かガルディラ王国のリビラ町って所らしいよ」
『フォーリア様からの神命なのじゃな?それなら絶対に行かねばならん!あの国は帝国と違い亜人種を粗末にせん、多種族国家じゃ、豊かな国で広い領土を持っておる、帝国も迂闊に攻められん国でな、大国じゃから他の国とも友好的だった筈じゃ』
「ホント、なんで行かなきゃならないか教えてくれないんだ、迷惑な話だよ」
『そうバチ当たりな事は言う物じゃない、そうじゃな、精霊樹がお前さんに会いたがっておるでな?明日行くと良い、精霊が案内するじゃろう』
そして精霊達に案内されて精霊樹の元へ来た、世界樹程ではないが巨木に代わり無い
幹周も100m以上、樹高は見上げても先が見えない
200、300?もっと?高い!
『フフフ、ソナタがジョウだな?世界樹が言った通りだ┅┅独特のマナを出してる、それと魔力も清らかだフフ、ヒト族では無い┅』
「人間って奴さ、まぁ異世界人と言ったが良いか、体は女神様から貰ったが頭の中は前世のままだから慣れるのに苦労したよ」
『そうか、それで?ソナタはこの世界でどうするのだ?』
「どうもしないさ、のんびりと穏やかに楽しく生きるだけだよ」
『じゃがな?周りが放って置かんだろ?ソナタの能力を欲しがる物も出ると思うが?』
「そんな大した能力は無い、それになるべく目立たず大人しくしとくよ、生活に困らない程度に能力は使うけどね」
『フフ┅ハハハ!そう上手く行けば良いのだが?』
それはそうなんだけど、自重と加減、派手な事は慎む、そしてなるべく田舎暮らしが良い
「精霊樹ってのはその名前通り精霊達に何か恩恵を与えたりするの?」
『その通り、儂の実は【進化の実】と言って精霊が食べれば進化するのだ、精霊だけでは無いぞ、だから困った事にヒト族などは競って得ようとする、愚かな事だとまだ気付かん、精霊も条件が揃わねば進化など無理なのだよ、実を食べれば進化すると早とちりするモノばかりでなぁ┅』
進化の条件、それはかなりハードルが高い、精霊だと魔力量と進化に耐え得る器が必要で、そこらの精霊では無理、ヒト族などは所詮無理な話で膨大な魔力量と精神力を必要とする
ヒトが進化して何に成るのやら?
『丁度実が成った、それは全部ソナタが持って行くと良い、どうせ腐って落ちるだけだしな』
「世界樹の爺さんと同じ事を言うんだな、旨いのか?」
『ん?食べた事が無いからなんとも言えん、面白い事を聞くものだな、進化よりも味と来たか┅アハハ!気に入った!ジョウと呼ばせて貰うぞ、ならば儂のモノを特別に贈ろう、そこの横に扉がある、その中のモノを全てソナタに挙げよう、持っていても何の役にもならん、自由に使うが良い』
この扉だな┅って?宝箱?
「なぁこれは宝箱を縦にしたものだよな?」
『そうだ、引っ張り出せるだろ?その箱は中々面白い物で収納箱なのだよ、マジックバッグと同じじゃ』
「中身より箱の方が欲しいと思うけどね、ヨイショっと、大きいな、罠とか無いよな?」
『そこまでは洒落てはおらん、普通に箱だな』
上手い返しだな、ユーモアが分かる木って?フフ♪ファンタジー世界ってホント面白い!
「これは後でゆっくり見るとするよ、それでだけど、精霊ってのはこの世界ではどんな役目があるんだ?」
『精霊はこの大地と大気を作り出す神の下部だな、創造神ガルルーダ様が御作りに成った、神は下界に干渉しては成らぬ決まり、だから代わりに精霊が星の安定を守るのだ、そして進化の果てに天子として天上界へと上り神となる、その役割の一端を我輩の実で賄うと言う訳だ』
「だから精霊樹なんだな、精霊が見放した大地は荒み死ぬと本には書いてあった、あながち正しいのか」
『この世界の知恵あるモノはその事を知っておるからな、愚か者は無闇に精霊を捕らえ欲を掻く、妖精も少なからず同じじゃが天使にしか成れん、格の違いなのだよ』
「妖精と精霊は仲良しだけど、あの子等はそんな格とか関係無さそうだよ、一緒に寝てるし」
『なんと!ソナタは精霊に触れる事が出来るのか?』
「そうだよ、だからか精霊と妖精が寝てると床に潜り込んでくる、潰すかとヒヤヒヤだよ」
『ウ~ム┅凄く稀なモノなのじゃな、では大精霊達とは会ったのか?』
「大精霊には会ったことは無い、精霊達が言うにはフォーリアさんが禁じてるらしい」
『フォーリアさん┅それは全智全能神様の事か?』
「そうだよ、なんでも大精霊達は勝手な事をするとかで俺とは会わない方が良いってさ」
そんなに大精霊達って言う事を聞かないのかな?まぁ精霊の子達を見てれば納得するけどね
『フフフ、そうか神とそのような関係なのか、我はソナタと末長く仲良くしたいぞ、暇な時は是非来てくれんか?』
「世界樹の爺さんもだけど精霊樹からも色んな話を聞きたい、言われ無くても来るから」
『何時でも待っておるぞ、世界樹とは繋がっておるから何か有れば連絡するとしよう』
精霊樹の実を驚く程に収穫してやっと滝壺の住まいへと戻ったんだけど、帰って早々ラファから一月で町へ向かう様に言われてしまった┅┅
これから精霊の実を確認しようと思ってたのに!
それにあの宝箱もだよぉ!
後一月って早くね?
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