第25話 再燃する危機

八甲田山の朝霧が晴れ始めた日、町は再び不穏な空気に包まれた。水松つぼみは緊急の電話を受け、急いで警察署へ向かった。そこで彼女が受けた報告は、新たな犠牲者が発生したというものだった。町の外れ、人目につきにくい古い工場の跡地で、再び一人の身元不明の遺体が発見されていた。


現場に急行したつぼみは、慎重に周囲を観察しながら、警察とともに遺体の検証を始めた。遺体の状況はこれまでの犠牲者と同様、首が精密に切断されており、ギロチン仮面の犯行とみなすには十分な状況だった。しかし、今回の現場には前回とは異なり、一枚のメモが残されていた。「正義は我々の手で」と書かれたそのメモは、ギロチン仮面が一段と大胆になっていることを示唆していた。


つぼみは、この新たな事件が、町の住民たちとの結束を固めたばかりの彼女たちの努力を試すものであることを感じた。彼女は事件現場のさらなる調査を指示し、同時に技術班にメモの筆跡や紙質の分析を依頼した。これまでの犯行との繋がりや、新たな手がかりを見つけ出すことが急務であった。


その後、つぼみは町のコミュニティリーダーや地元メディアと会議を開き、事件についての情報共有と、住民の安全確保のための対策を再確認した。彼女は住民たちに対し、不審な動きを見かけたらすぐに警察に通報するよう呼びかけ、警戒を強化するよう促した。


この事件の影響で、町には再び恐怖の影が差し、夜の外出を控える住民が増え始めた。つぼみはこの緊張を和らげるために、地元の自警団と協力し、夜間のパトロールを強化することを決定した。また、彼女自身も夜間の巡回に参加し、住民と直接対話を持つことで、その不安を少しでも解消しようと努めた。


事件解決に向けての圧力が高まる中、つぼみは自身の使命感を再確認し、この困難を乗り越え、町に平和を取り戻すために全力を尽くすことを心に誓った。ギロチン仮面の次なる動きが何であれ、彼女はそれに立ち向かう準備ができていた。

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