第21話 断片の真実

八甲田山の朝は霧に包まれていたが、その静けさは長くは続かなかった。爆破されたケーブルカーの事件後、地元の緊張は最高潮に達していた。水松つぼみは、事件の影響で一層警戒を強めながらも、真実を解明するための手がかりを求めて山中をさまよっていた。


その日の午後、つぼみはケーブルカーの近くで、爆破された機械部品や破片を調査していた。彼女は破片の中から、何者かが事件前に設置したと思われる小型の記録装置を発見した。装置は損傷していたものの、データを部分的に回復することが可能だと判断し、すぐに技術班に持ち帰って分析を依頼した。


分析の結果、装置からは爆破計画の詳細と犯人と思しき人物の声が録音されていた部分が確認された。声の断片から、つぼみはこの計画が単なる嫌がらせ以上のものであること、そして背後には八甲田山を巡るより大きな陰謀があることを確信した。


深夜、つぼみは自宅でこの新たな情報をもとに、事件と関連する人物の繋がりを再調査していた。彼女は地元政治家、企業幹部、そしてこれまでの一連の不審な行動を起こしていた人物たちの情報を照合し、彼らの関与を疑った。


突然のノック音が彼女の集中を妨げた。ドアを開けると、そこにはかつて彼女が信頼していた元同僚の刑事が立っていた。彼はつぼみに対し、この調査から手を引くよう警告すると同時に、もし続けるならば彼女自身が危険にさらされる可能性があることを告げた。


つぼみはこの警告を真摯に受け止めつつも、真実を見つけ出す決意を新たにした。彼女は、この事件がただの事故や単独犯によるものではなく、深い闇と腐敗が渦巻く八甲田山に関わる計画の一部であることを感じ取っていた。


決意を固めたつぼみは、さらに証拠を集めるために再び現場へ向かった。彼女は八甲田山での新たな発見が、この謎を解く鍵になると確信していた。そして、彼女はこの困難な調査が、ただ事件を解決するだけでなく、地元コミュニティに平和をもたらすための戦いであると心に刻んだ。

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