第20話 混沌の序章
清々しい朝の光がまだ八甲田山を照らす前、突然の爆発音が山を震わせた。水松つぼみは自宅での準備中、その衝撃的な音を聞き、直感的に何かが大きく間違っていることを悟った。急いで現場に向かうと、かつて多くの観光客や登山者が利用していたケーブルカーが炎に包まれていた。
警察と消防隊が迅速に駆けつけ、火はすぐに制御下に置かれたが、ケーブルカーは完全に破壊されており、使用不能の状態になっていた。幸い早朝のため乗客はおらず、人的被害はなかったが、この攻撃は八甲田山とその周辺地域に大きな衝撃を与えた。
つぼみは現場調査を行い、爆破の痕跡を詳しく調べた。初期の調査から、爆発には専門的な知識を必要とする高性能の爆薬が使われたことが判明し、これが単なる嫌がらせ以上の計画的な犯行であることを示していた。事件現場からは、「誰も山に踏み込むな」と書かれた脅迫メモが発見され、これが犯人のメッセージとみなされた。
つぼみはこの新たな脅威が、これまでの一連の事件とどのように関連しているのかを追求した。地元警察との協力を得て、ケーブルカーの運営会社の従業員や近隣住民への聞き込みを行い、事件の背後にある動機を探った。また、事件に関連する可能性のある監視カメラの映像が分析され、不審な動きを示す数人の影が捉えられた。
この爆破事件は、地元コミュニティに恐怖を植え付けるとともに、つぼみにとってはより広範囲にわたる陰謀があることを確信させるものだった。彼女はこの事件を通じて、八甲田山を巡る利益とその保護という二つの側面が、どのように衝突しているのかを深く理解し始めた。
事件の混乱の中、つぼみは自らの立場と彼女が追求する真実がいかに危険であるかを再認識した。しかし、彼女は地元の自然を守り、真実を明らかにするためにこれまで以上に決意を固め、次なる行動へと移った。事件はますます混沌としていたが、つぼみの覚悟は固く、彼女はこの挑戦を通じて、真実を世に問うための闘いを続けることを誓った。
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