不穏

@maisung

第1話 スーパー

職場からの帰り道、すでに帰宅して料理中の夫から足りないものがあるから買い足してきてくれないかと連絡があり私は最寄りのスーパーに寄った。


調味料コーナーで頭を抱えているとふとななめ後ろに気配を感じた。

振り返るがそこには誰もいない。


気のせいかと向き直る直前、目の端に違和感を感じた。

目線を送ると棚の下部、人間の脛くらいの高さに中年男性の顔半分がこちらをじっと覗いていた。


不審者か万引きGメンがしゃがんでいるのかと思ったがおかしい。

首から下が確認できない。

首だけ出してこちらを見るなら顔の角度が多少傾くはずだが床に対して垂直なのだ。

まるで顔だけがそこに浮かんだいるみたいだった。


声も出せない中私は早足でレジへ向かい急いで会計をして駐車場へと走った。

妙なものを見た緊張感はあったが気のせいかもしれないと言い聞かせ鍵を開けようと車に近づいた時、バンパーの影からこちらを覗くさっき見たばかりの顔と目が合った。

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