最終破壊兵器
@yoshitak
第1話 プロローグ
それは穏やかな初夏の宵だった。カナダのカルガリー郊外に住む少女は12歳になったばかりで、誕生日のパーティーを中座し、自宅の庭でぼんやりと夜空を眺めていた。Tシャツにホットパンツでちょうど良い気候だったこともあり、パーティーの喧騒から逃れてぼんやりと空に目をやっていた。まもなく新学年がスタートする。いよいよ中学生だ。少女の目は夜空に向けられていたが、頭の中は新たな中学校生活への期待や片思いの男の子のことでいっぱいだった。
「あっ」
少女は思わず声を上げた。南の空高くに金色の輝きが突如現われ、長い尾を引きながら天頂から地表に向けて、それはまるでスローモーションのように落ちてきた。
「流れ星…」
思わずつぶやきながら、少女は小さな声で願い事を唱え始めた。「両想いになれますように」「家族みんなが元気でいられますように」「カーリングチームのスキップになれますように」-流れ星は少女が三つの願い事をするまで、花火のように鮮やかな火花を散らしながら輝き続け、やがて地平線の向こう側に消えていった。
「願い事がたくさんできちゃった」
少女は満足げな表情で微笑んだ。しかし、その願いは何一つ叶うことはなかった。
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