狂気的な彼女6
「ペネロープ様……」
ゾフィーは蒼白だ。ペネロープは元恋人だという。
「え、それってレズ○アンじゃない」
「ゾフィーさんって女とつきあってたの?」
「外人さんってすご〜い……」
ギテルベウス、さくら、こゆきの三人娘は他人事として騒ぐ。
落ち着かないのは当人であるゾフィーと、そして凱と翔だ。
凱にいたっては全身に汗をかいていた。初めて遭遇する恋愛イベント、彼女の別れた元恋人が復縁を迫って現れる……
そんなイベントに遭遇するとは、凱は夢にも思わなかった。
神代から伝わる武術を受け継ぐ神社に産まれ、大学では元応援団団長にして学内最強と呼ばれた男。
そんな凱が女の修羅場を前にして萎縮するとは。蛇に睨まれた蛙とは、この事か。
「俺がガツン!と言ってやるぜ!」
翔が前に出た。彼は凱の遠い親戚にして弟分だ。
凱と翔の祖父同士が兄弟なのだ。
「おい、アンタ!」
「何よ」
翔はペネロープの豊かな胸に目を奪われた。
身長百七十センチ前後の翔には、身長百八十四センチのペネロープの胸が眼の前にあった。
「おっぱいでけえなあ!」
「ふあああ!」
ペネロープの右フックに翔は吹っ飛ばされ、アスファルトの上で二転三転した。
「何よ、あのおっぱい…… 中華街で見た特製ぶ○まんよりでかいわ……」
「小さなメロンみたいよね……」
「あんなに大きいのはヤダな〜……」
ギテルベウス、さくら、こゆきも傍観するしかなかった。個性強い彼女らですら、ペネロープの前では見劣りした。
「さ、ゾフィー。わたくしの元に戻ってらっしゃい」
「い、イヤです!」
「ダメだゾフィー」
言ったのは凱だ。彼の気配は変わっていた。ペネロープすら驚かせるほどに。
「ペネロープさん、悪いがゾフィーは俺の恋人だ」
言った、言い切った。凱はレベルアップした。
ケンカは強すぎるが、女にはからっきし――
そんな凱が変わった!
「ぬっはあー、いい男だわー!」
ペネロープは鼻血を吹いた。二十代半ばの長身妖艶欧州系美女が、まさかのギャグだ。
「気に入ったわ、二人ともお持ち帰りするわ!」
「ダメです、ペネロープ様ー!」
「は、離せー!」
ペネロープ、ゾフィー、凱、ここに新たな三角関係が誕生した。
翔、ギテルベウス、さくら、こゆきは完全にモブキャラだった。
また、ペネロープは帝都にメイド喫茶「ブレーメン・サンセット」を開店しているという……
バーチャルゲーム「バトリング」。
来たるべきイベント「ビッグファイト」に向けて、世界中でプレイヤーが燃えていた。
その前夜祭的なイベントにて、アーマー騎兵と機甲ハンターとの試合が組まれていた。
「え、マジで?」
ゴヨウすら注目する試合とは……
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