第38話 六十三日目 1
昨日の狩りが終わった後から、佐藤は洞窟近くに腰を下ろし気配探知とマッピングを使いながら警戒しつつ休憩を取っていた。
だが、未だに攻撃性の高い魔物は出現していないために、念の為の処置と行った所だった。
そして朝方、佐藤の元へ一人の全裸の男性が近づいてくるのだった。
「お早う御座います。
私は高橋という者です。
今お時間大丈夫でしょうか?」
「はい、大丈夫ですよ。
何か御用ですか?」
無難な挨拶から始まる高橋と佐藤の会話。
「いえ…、貴方は周囲の人達と違い服を着ているので、それが気になりまして」
「これは、新しい概念が適用されてからレベル上げをして取得した職業で獲得出来る魔術スキルで作った物ですよ」
佐藤は高橋の質問に正直に答える。
「そうですか。
そうなると作ろうと思えば何時でも作れますか?」
「そうですね、材料とMPさえ余っていれば何時でも作れますよ」
「差し出がましいようですが、貴方が着ている服というか、鎧でしょうか。
それを私達家族にも作って貰えないでしょうか?」
ここで佐藤は周辺で裸になって狼狽えている人達を眺める。
「そうですね。
何か対価を差し出して貰えるなら作っても良いですよ」
「…、見ての通り私達は何も持っていません。
対価となる様な物はご用意出来ません」
佐藤は少しの間考え。
「でしたら、私の奴隷になるのでしたら作っても構いませんよ?」
「奴隷って、貴方本気ですか?」
「え~、本気です」
高橋は徐々にテンションが上がり声が張り上がっていく。
「この日本で奴隷になれと!
貴方は巫山戯ているのですか!!」
「巫山戯ている訳ではありません。
本気も本気です。
私の奴隷になればレベルアップの助けを致しましょう。
正し、私の命令に従って行動する事を強制しますが」
「そんな条件のめる訳がないでしょう!」
「では、交渉は決裂ということで」
「全く話にならん!」
そう言って、ズカズカとした足取りで佐藤の元を去って行く高橋と名乗る男。
佐藤はその後ろ姿を一瞬だけ眺めたが、オッサンの後ろ姿を眺める趣味は無いため、直ぐ様視線を逸らして考える。
さて、結構な大声で言い争った訳だが、これで周囲の人達はどういう反応を示すだろうか。
奴隷になってでも私の元に来るか。
それともさっきの高橋と名乗った人同様の感情を持つか。
将又、自分でレベル上げに励み、装備を自前で用意する様になるのか。
はてさて、どうなるものやら。
佐藤と高橋の問答を見ていた周囲の人々の大半が、奴隷という言葉に怒りや困惑の感情を持った。
これにより大多数の人々が自信でどうにかするしかないと考えたり、佐藤に何かを頼むことはリスクが高いと考えた。
だが、この世の中にはマイノリティの存在もいるものだ。
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