パキラのひみつ 祭りの夜に…

部屋の片隅にある、その黒い木組みの椅子には、パキラがお気に入りの薄茶色を色調にした身体で頭にはワインレッドのベレー帽を後頭部へと業とずらして被ている、テディベアが置いてあった。


エルフ族にとっては何十年を掛けてやってくる、大切なお誕生日。そして、パキラのお誕生日は年に1度の冬のお祭りの日でもある。


賑やかで楽しい日の筈なのだ。


だからこその、パキラの家、ルフテンス家に居る人たちは取って置きのサプライズを、パキラ にプレゼントしてあげたい。その計らいでの事でなのだか、まだ、幼い子供である パキラ にとっては、家族やメイドさん達から爪弾きにされた気分と、屋敷の中には沢山の人たちが居ても、心細さと寂しさが募っていた。


パキラはゆっくりとテディベアの座る、黒い椅子に近づくと、そこに居るテディベアへと手を伸ばし


「一緒に遊ぼうベアちゃん……」


と、淋しげに呟きテディベアを手に取った。それはパキラが自らベアトリーチェと名付けたそのテディベアで、パキラは優しくその[ベアちゃん]を胸に抱くと

木組みの椅子へと腰を降ろした。



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