時の揺りかご 命の揺りかご

街の中で大変な騒動があった事を りるる 達はまだ何も知らない。


そんな中のメイド学校では、まだまだ厳しい実習の授業が続いていた。


「はいはいはい、りるるさん、貴女はテーブルのセッティングに何時間を掛ける積もりですか?」


と教師のベルマルは手をパチパチと鳴らしながら、そうやって、りるる を急かし付けた。

なんとかミスをしないで頑張ろう。その思いが徒となり、りるる は慎重になり過ぎて、ぎこちなく、ベルマル意外の人の目からも酷くギクシャクとしていて、そして、機敏さが無くのそのそとしているなと映る、そんな姿だった。


「は、はい、気をつけます。先生!」


そう りるる はベルマルに返すも、その声は上擦り 焦り を滲ませていた。


そんな、りるる の様子をパキラは横目で見ながら


『果物屋の娘にしては、何処か清楚でなんか気品のある、お嬢様かと思っていたけれども、やはり庶民は庶民ですわね。全く呆れてしまいますわ』


と、ため息を吐きながら、心の中で呟いた。

可能は何処かで、りるる を良きライバルになる、そう見ていて、尚かつそうなる事を望んでいた。


エルフと言う長寿の種族として生まれたが故に様々な経験値があり過ぎ、そして、数え切れな位に人族の シナモン や りるる、そしてけもの族の みなな の現代の年齢の15歳をずっと過ごして来た、パキラはその時を楽しく分かち合える誰かをずっと待ち望んでいた。


だから、今の15歳の内にメイド学校へ入りそんな人と出会いたい。

そして、りるる やその友人達と出会えたのに、歯ごたえを感じない。期待はずれだった。そんな落胆の気持ちが今のパキラの中にはあった。


だが、それはパキラ自身の誤った考えであり、エルフで長寿で りるる 達よりも私は上なんだ。と言う思い上がと、妙なプライドと嫉妬が 自分から歩み寄る と言う言葉を忘れさせ、自らを孤立させている。


パキラはまだ、気付いてはいなかった

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