化物
七星北斗(化物)
1.普通
流れ星はただ通りすぎ、その瞬きは死を運ぶことになるだろう。
この世界には、化物が住む。
そう、私は化物だ。
祖父の形見の日本刀を、肌身離さず持ってるヤバイ奴?大事な人の大切なものって、失くしちゃ駄目ですよね?だから持ってます。
「日奈都さん、今日のレポート出し忘れてますよ」
「ヒィッ」
「ヒィッって何!ふざけてます?」
突然だったので、ついおかしな声が出てしまった。クラス委員長の田中冴子だ。委員長って付くだけで、陽キャみたいで怖い。
「でも、レポートなら期限まだ大丈夫だった気が」
「とっくに過ぎてますけど、それって貴女の感想ですよね?」
「ごめんなさい、明日出しますから」
「私が怒られるんです。今日中です」
何でこんなことで、こんなに怒れるんだろ。人間って不思議だな。
「聞いてます?」
「はいっ」
教室に残り、レポートを進める。どのくらい時間が経っただろうか?外を見ると夕日が差していた。
静かな校舎にキュッキュッと、上履きの擦れる音が響く。だんだん音は近づき、教室の前でピタリと止まった。
教室のドアが開き、現れたのは田中さんだった。
「まだ終わらないんですか?」
「はい、すいません」
そういって、一歩一歩近寄ってくる。彼女から血の匂いがした。
「貴女、私のために死んでくださる?」
彼女が背後で握っていたのは、大きなハンマーだった。
ハンマーを振りかざし、大きな動作で下ろす。それだけ時間に余裕ができる。後ろに一歩下がって避ける。ハンマーは、教室の机をバラバラに破壊した。
「どんな力してるんだよ、メスゴリラ。」
「避けるなよ」
「痛っ」
「骨がごりっと逝っちゃいましたね♥️」
横脇腹に痛みが走る。大きなハンマーを捨て、小さなハンマーで横から殴られたのだ。
「殺す」
「おお怖っ、殺すって。貴女に何ができるんですか?無能は死んでくださる?私って役立たずな人、どんくさい人、頭が悪い人見ると殺したくなるんです~♥️」
竹刀袋から刀を抜く、見惚れるほど美しい刀身は、田中の驚く表情を映した。
刀を一振り、斬られたことも気づかぬほどの切れ味。
「斬れてませんよ?」
田中は、ハンマーを手に…そこで首がずるりと落ちた。
「ツマラナイ」
「流石でしたね」
手を叩き、白衣の男性が教室に入ってくる。
「またあなたですか」
「私の名前は、白猫です」
「その白猫さんが、何の用ですか?」
「ちょっとしたお茶会にご招待したいなと、思いましてね。それと死体の方は、私の方で処理しときますので、ご心配なく」
「それは助かりますが、何故お茶会?」
「そこのファミレス、期間限定パフェがとても美味しそうで」
「はっ?」
とりあえず、ついてくことにした。着いたのは、本当にファミレスだった。
…帰ろうかな。
化物 七星北斗(化物) @sitiseihokuto
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