〜記憶のカケラ〜

巫女乃

【第1話】告白と忘れられない人

「あーっ!梨南、帰ってきたー!」


教室に戻ると、パキッと音を鳴らしてポッキーを咥え、

椅子の上で三角座りをしていた朋花が、大きな声を上げる。


「また、告白の呼び出しくらってたんでしょー!?」


「う〜〜ん、まぁ、そんなとこ……かな?」


私は苦笑しつつ、歯切れ悪く答える。


「もぉぉぉ、ホント、モテるよね〜〜梨南は。

1人ぐらい、分けろっつの」


朋花は、明るくサバサバしている、クラスで一番仲のいい友達だ。

ぱっちりした目、ミディアム位の長さに切り揃えられた髪。ストレートヘアーながら毛先を外ハネに巻き、遊ばせたオシャレなスタイル。

小柄だが、そこが可愛らしいと思えるのに、

なぜか、朋花には、浮いた話がない。


(なんでも、ズバズバ言っちゃう性格だから、なのかな………笑)


心の中ではそう思っているが、口に出すと絶対に怒られる。シメられる。

だから、言わない。


「………んで?今回の人は、どーだったの?」

次のポッキーを取り出しながら、朋花は言った。


「うーん…………、

優しそうな人だったけど、

お断りしちゃった」


「優しそうとか、超いいじゃぁん!!!勿体無いっっ」

ばんっっと、机に両手を打ちつける朋花。


「………やっぱり、初恋の人のこと………、

忘れられないんだ?」


「………うん、そうだね…………」


私は答えつつ、

昔の記憶に、想いを馳せた。

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