第4話

 女の子十人以上の所に男一人いた所で彼女達にとってはいないのと同じ事らしい。

 ましてや、アルコールが回った彼女達にとっては僕の存在は酒の肴みたいな物で、只々面白可笑しく楽しければそれで良い様だ。   おかげ様で、僕の特技は彼女達にとってはピスタチオやサラミソーセージ位には盛り上がってくれたらしい。

「凄い!!3曲連続百点は凄いわ」

「決めた!!次も百点なら私も脱ぐーー!!」

「うぇーーい!!私もーー!!」

 大騒ぎに大騒ぎを重ねて、もうヤダ疲れた……。


「どうしたの?疲れた顔して?」隣に聞いた様な声を感じて隣を見ると、水玉が隣に来ている。


「お前……もうかなり飲んでるだろ?」隣の美人は真っ赤な顔をして、俺の肩にもたれ掛かる。


「飲んでるわよ!!飲んでますとも!!飲まなきゃやってられないってーの!!」はい、酔っぱらいの誕生ー!!


「駄目だ、この酔っぱらい」僕は手元にあったコークハイを軽く飲みながら、水玉に聞く。


「うるしゃい、ほっとけりょ」


「で?何があったんだ?」僕と同じで酒もあんまり強くないし、普段、こんな飲み方はしない。まぁ、酒の席も僕がいないと来ないし、女子会に行っても、帰りに僕を呼ぶ様な奴だけどさ。


「……たかったの」


「は?」ここはカラオケパーティー中、辺りは大騒ぎ、小さな声が聞こえる訳が無い。


 僕が聞き返すと、


「謝りたかったの!!何度も言わせるな!!」切れた様に大きな声で謝罪してくる水玉。怒鳴り声の時点で謝罪じゃねぇなと思いつつ。


「何の?」謝罪の理由が分からなかった。


「何のって、この前別れた話聞いたじゃん」


「ん?あぁ……それで?」


「それでって、こころが別れた理由ってさ、私のせいじゃないか?って、歌川さんが」


「えっ?部長が!?」ちなみに歌川って言うのが僕らの所属しているカラオケサークルの部長だ。


「あのなぁ、違うって!!」思わず誤魔化してしまうが、


「違うの?」


「いや、違わないんだけどね」


「どっちよ!!」凄い勢いで、僕の顔の間近まで水玉の顔が近づいてきて焦る。


「いや……まぁその……どっちでも良いだろ!?」


「良くないわよ!!」そりゃそうだよな~、謝りたい位、思い詰めてたんだもんな~。


「まぁ、そうとも言うけど、しょうがないだろ?向こうが寂しくて電話掛けたら、お前や皆の楽しそうな声が聞こえて来て誤解されたなんて!!」


「でも、やっぱり、私のせいで別れたってのは、私が悪いし……」何だ?妙に歯切れが悪いな?


「別にもう良いよ結局、遠距離恋愛って奴の難しさが身にしみたってだけの話だ」もう一口コークハイを飲む。


 喉に炭酸とアルコールの刺激が熱く残った。


「ねぇ、もしも……もしも……だよ」


 何だよ?歯切れ悪いな。


「何、二人でコソコソヤッてるの〜!!」


 僕と水玉が話していたら、僕らの間に割り込む様に入って来た美術部の一人が僕らの肩を抱いて話し掛けてくる。


 うん、酒臭い。


「相当、やってます?」


「うん、やってりゅ〜」酔っぱらいモード全開だ。マズイなコレは。


「ねぇねぇココロ君、ココロ君ってさぁ〜」何か危険な言葉でもぶち撒けそうな雰囲気にドキドキしていると、


「童貞?」


「はっ?」思わず聞き返す。聞き返さなきゃ良いのに?


「だから、童貞?」ほら、こう言う事言う〜。


「お好きに思ってくれれば良いですよ」相手にしてらんない、適当にあしらっておこう。


「ほほぅ、これはこれは……皆さん!!ココロ君は、結構ヤッてますよ!!」




「チョッまっ!!何でそうなる!!そんな事無いですよ!!」大慌てで否定すると。


「だって、好きに思ってくれれば良いですよって、言ったじゃん!!」え~~!!と美術部員さんがブーイングをしながら、抗議すると、「他の人達もそうだ、そうだ〜」口々に言い出す。


「あんまり、変な噂は流さないで下さいよ!!」


「水玉〜お前からも言ってくれよ〜」隣をみると消えた水玉……逃げやがった〜!!


「じゃあ、本当の所、どうなのさ~!!」


 躙り寄ってくるお姉様に、タジタジになりつつ、


「いや、どうだって良いじゃ無いですか〜!!」

 少し、投げやり義理に言うと、

「良くな〜い!!」


「なんで!?」

 僕は思わず、突っ込んでしまう。


「うちのサークル、ほとんど処女だから!!」そう言って、ギャハハと笑う。自虐を込めたギャグだったのだろうか、ひとしきり笑うと、あたりから啜り泣く声がする。


 何だよ~!!一体……。いつの間にか林田さんが近くに来て、泣いている部員の女の子の肩をポンと叩くと、

「私達美術サークルは、悪評ばかり高まってしまい、男達が近寄って来ないんだよ」


「え?そうなんですか?皆可愛いのに?」そうなのだ、美術部員は皆綺麗な方が多い。


「嬉しい事言ってくれるね〜そうなんだよ~私達、結構イケてると思うんだけどさ~。いつも酒の席で大騒ぎしているせいで、皆怖がっちゃって」いつの間にか隣に来ていた林田さんが、チューハイ片手にウンウンと頷く。


「しかも、皆理想だけは高くて、妥協はしないしさ〜」そうそうと、皆が頷く。


「でもさ~私、初めては天プリのマッキーみたいな人が良いな~」人気のあるアイドルの事を夢見心地で言うと、「ハイ先生!!私はハイテンションのヨンハ見たいな人が良いです!!」韓流アイドルの名前を言う人もいたり、「私はアニメの〜」とか「俳優の〜」とか口々に言い始める。


 何だかな〜と思いつつ聞いていると、


「ココロ君ってさ、まつ毛長くて可愛い顔してるよね?」ぇ゙?僕は、その時、確実に空気が変わったのを意識した。




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