美少女オークション ~美少女は国の武器として人々に売られます~
@penpedenohana
第1話 美少女と戦争
「全体!!対ヨーハ殲滅装置、起動!!」
ただただ広いだけの草原とその緑を美しく照らす月の影。
少なく見積もっても、約2000人の体がでかい男たち。その先に立つのは小さく細い一人の女の子。
「おりゃぁっっ!!!」
最前線にいる隊長が一人の女に近づき、心臓へ一撃。は当たらずひょいとよけられ、作業のように体を炎で包まれる。
「あが、あがあ」と声にもならない声を漏らし、ただただ苦しみを全身で味わうだけ。
後ろにいる2000人は恐怖により一つ後ずさりをする。だが、次の瞬間には隊長の死を無駄にさせたくないのか全員が全員、美少女に突撃していく。
「おりゃぁっ!!」
「どぉりゃぁっっ!!」
「ああああっっ!!!」
アリのように行列を作り、死にゆくかのように剣を持ち突撃する。
だが、美少女には一ミリも届かず、かすれもしない。剣から炎が流れ、肉へと伝わり無様にもバタバタと膝を折り倒れていく。
機械のように人は動き、一太刀も当たらない。
ふと気づけば、美少女の周りには人であったであろう灰が山のように積み重なっていくだけ。それをも美少女は炎で燃やし、その人がこの世に存在していた証拠をなくしていく。
「っ、!!っ全体!!撤退!!死にたくなけりゃ、急いでてっ
殲滅される光景を視界にとらえると、汗をにじませて最後列で指揮を出す人物。その周りでもうすでに逃げ出している人物。指揮を出されても戦う意思を見せる人物。
それらが
首に少しの炎の焼け跡を残して。
「何をしておる。汝ら」
美少女の前ではなく、後ろから聞こえてくる声には呆れの感情も怒りの感情もこもっていない。ただただ言葉を発しているだけのようだ。
「誰でしょうか。この人たちの仲間ですか?」
「どちらかというとじゃがな。お主、美少女か?ならば殺す」
美少女が振り返ると、緑の髪、緑の浴衣を着た女の人がいる。
体は小さいが魔力の気配が満ち溢れすぎている。感覚器官がマヒするほどに。
緑の少女が殺す、と口にした。その瞬間緑の瞳が紅に染まり、大地が揺るいだ。
□ □ □
対○○殲滅装置
ただの人が、美少女に対抗するために大陸の西でつくられた装置。○○には美少女の名前が入る。また、この世に存在する約130人全員の美少女の装置がすでにつくられている。
左腰にあるボタンを押し込むと、美少女が使う魔法、癖などを分析し最適と判断された動きを、身体中に設備された機械が体を動かし再現する。
だが、戦いなれした美少女にとって、その魔法や癖もわざとしていることも多く、全くもって効かない場合がある。
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