もふもふ邪神に懐かれた少年は腹黒聖女様のお気に入り
卯月二一
第1話 俺の日常
「何チンタラやってんだ
「がはっ!」
俺は鉱山
「す、すいません……」
「役立たずが!」
監督官は俺を見下ろし俺の泣きそうな顔を見ると、興味を失ったのかそのまま行ってしまった。
「ヒロト、災難だったな。監督官殿は朝から虫の
日焼けした太い腕が俺を立たせてくれる。この人はグランさん、この鉱山で労働者たちをまとめているリーダー的なおじさんだ。
「最近、『
「キノ爺、
「ふおっ、ふぉっ。
この鉱山で最長老のキノ爺は物知りで、いろんな事を俺に教えてくれる。いつも余計な事を言って俺同様アイツらに殴られている。ここの監督官という
遠くでガンガンと
「
「うん。そうするよ」
ここは
「ねえ、キノ爺」
「なんじゃ?」
俺は食事の配給の列に並び、前にいるキノ爺に質問する。
「穴の中でとれるあのキラキラした石って何なの?」
「それは『魔鉱石』のことじゃな。とても長い長い時間をかけて
「ふーん、そうなんだ。それって何かの役に立つの?」
「そうじゃな。魔道具を動かしたり、様々な物の素材にされておるはずじゃ。
「だったら、俺たちの仕事って人の役にたってるんだね」
「そうじゃ。儂等の仕事にも意味があるんじゃよ」
「坊主、それだけじゃないぜ。戦争用の人殺しの武器にも使われてるぞ。どっちかと言えば、そっちの目的で国は俺たちに掘らせてるんだがな。俺たちが頑張ればそれだけたくさん人が死ぬってことさ」
「おいおいシルバー、子どもにする話しでは無いじゃろうに」
「俺は正直者なんだよ、爺さん」
「何が正直者じゃ。シルバーお前は、
「ははっ、そう言えばそうだったな。俺忘れてたわ。そんな爺さんは王都でも有名な『
「へ、へんたい?」
「坊主、キノ爺はな偉い学者様だったんだけどよ。自分の孫くれえの女子学生の着替えやらを
「美しいものを
「こんな変態だけど国への貢献があったからとかで、首は
「そ、そうなんですね」
何か凄いんだかそうで無いのか分からないのがキノ爺だ。基本的にこの強制労働施設にいるのは、犯罪者の男たちばかりだ。強盗や殺人で
「えっと、グランさんも何かしたんですかね?」
「あ、ああ。あの人は……」
詐欺師の兄ちゃんが
「奴は英雄様じゃよ。知りたければ覚悟して自分で聞くことじゃ。儂の口からは言えぬな、そんな話しを教会の人間にでも聞かれたら……、最悪
キノ爺が小声で俺だけに聞こえるように言う。
「死罪!?」
「しっ、声が大きいわい。もうこの話しはお
気になるけど命を賭けてまで聞きたいとは思わない。まあ、人にはいろいろあるということなんだろう。
俺たちの順番が回ってくる。木の
「ヒロト、どうしたんだい? 怪我してるじゃないの、またアイツに
ミランダさんが俺を見てそう言う。彼女は教会から
「いえ。
「駄目よ。ちょっと、セレス! ヒロトを診てあげて」
俺はミランダさんに引きずられて医療用テントに放り込まれる。ミランダさん、そこら辺の男たちより腕っ節は強いんじゃないだろうか。
「いらっしゃーい。君がヒロト君ね。可愛い男の子は大歓迎よ。お姉さんが張り切って治療してあげるわ」
このセレスさんも教会のシスターさんだ。一週間前にここに
「ミランダさんが
「この鉱山には人類の知らない未知の病気もあるらしいのよ。小さな傷口から
「ま、マジですか……」
「嘘よ」
うっ、
「あ、あの。全部脱がす必要はないんじゃないかと……」
「君のことは、念入りに調べないとね。うふっ」
俺は
この異世界にはハラスメントの
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます