変態達の歴史〜ヘンタイんの過去①

※ちょっと長くなります。ナスビンファン(居ない)は少々お待ち下さい。


 俺はヘン一族という暗殺者集団の一家に生まれ、タインと名付けられた。

 自分というものが芽生えた時に気付いた。


 ―俺は別の世界の記憶がある―


 前の世界では引きこもりだった、ただしメンタルをやられたとかではない。

 ある程度稼ぎのある家の長男で、弟と、妹は結婚して家を出た。

 しかし俺はずっと部屋で趣味に走っていた。

 死因はオンラインゲームのし過ぎで栄養失調…親はさぞ嘆いたであろう…いや、肩の荷が降りた…か。


 多分、天罰なんだろうな…次の人生、俺は物心付く前から既に暗殺術を叩き込まれた。

 この世界では職業、そして魔力とスキルがものを言う世界だった。

 前の世界の俺だったら『やった!漫画みてぇだな!』とでも言うだろう…しかし実際に暗殺者一族なんて生まれたらマジで地獄。

 ブラック企業というか、経験した事ないけど、多分、近いのは戦時中だな。


 とにかく身体と心を鍛える、そしてその技術で殺しまくる。

 マジで繰り返し、なまじ才能ある良い家に生まれたから耐えられちゃう身体…しかし心はすり減る毎日。

 それでも6人いたキョウダイが姉だけになった。


 そんな毎日で世相には多少詳しくなった。

 俺が育った暗殺者一族か所属しているのはヤマタ帝国という独裁国家の暗部だった。

 

 ヤマタ帝国は俺が生まれた時からサウザント王国と戦争していたが、和平が結ばれたのは俺が10代後半…まだ十年も経ってない。


 その和平の立役者が貴族の子女ばかりいる乙女騎士団【スピカ】騎士団長のアザスだった。


 一度暗殺しに行った時は騎士団の女侍らして酒池肉林してる所を殺そうと思ったが…背後を取られてこう言われた。


『アレは私の影武者だ…私はするんじゃない、見るのが好きなんだ。腐ってるだろう?』


『お前、腐女子か?なら、俺の天敵だ…』


 何故なら前世界でオンラインゲーム内でフラレたからだ。


――私は、BL厨だから―


『BLは漏れなく殺す事にしている。見えない穴が見えるからだ』


 俺がこの世界で生き残れた理由、暗殺スキルの【後の先】というチートに近いスキルだ。

 相手から攻撃の意思を感じると自動で環境に合わせた行動を3回取れる。

 


『君は転生者か!?素晴らしい出会いだ…なぁ私と組まないか?そして私の配下の男衆と褌姿で組体操してくれないか?』


『嫌です』


 アザスは攻撃の意思無く、同じ趣味じゃなくて良い、日本の話が分かるだけで充分と早口ですり寄ってきた。

 元ネタが分かるだけで価値があると歩み寄ってきたのだ。


 そんな縁もあり、秘密裏に王国の中枢であるアザスと繋がった。

 アザスは殺し合いではなく抱きしめ合いが見たいと言った。

 内容はともかく熱い気持ちは伝わった、俺はロリコンだったからだ。


 そしてヤマタ帝国の初代ヤマタ帝が病気で死んだ。

 戦争とは領土を広げる事ではない、奴隷を増やす事だを実践した外道が崩御し、跡継ぎが娘…ツルペタロリの女の子だった。

 2代ヤマタ帝シルビアことツルペタロリが言った。


『私はサウザンドと和平を結びつける、この戦争を終結させたい』

 

 20席はある幹部の3分の1、主戦派は反対した。

 数で勝っていても主戦派は頭がおかしい。

 主戦派は武官から文官まで【戦闘狂】だ。

 本当にその一言。

 

 『どーする?わだじはどっちでも、いい。おまえがおもしろいはなし、するなら』


 幹部で単体の強さが5本の指に入る、左右違う魔眼を持ち腕が4本あるセクシーな姉さんの一言に応えた。

 

『俺は戦争したくない、死にたくない。それより姉さん、良い情報が…』


 姉さんは異世界の話が好きだ。

 どんな話でも良い、大好きなのだ。

 特に好きなのは簡単な話、昔話とかアソパソマソとか、そんなんが良い。

 脳みそが前世界で言う所の幼稚園児で止まっているが、最近、俺の知る話に慣れてきて新しさを欲している困った姉さんだ。

 ちなみに帝国の主戦派の武官は大体同じ知能だ。


 俺はアザスを売った、正確にはアザスという異世界の小説や漫画書ける奴と知り合ったと。


『小説♥漫画♥でもドレイにすればよぐない?』


『異世界の芸術は奴隷では書けないんだ、先生って呼んで褒めないと…』


 嘘ではないが本当でもない話で釣った。


『分かった♥じゃあ、コイツラころそう、せんそうおわり』 


 喧々囂々としている会議の場でそんな話をしていると後ろから死んだ親父の側近、常識人のマーダが口を挟んだ。


『首領、そして若、この場でその話はどうかしています。』


 安心して欲しい、幹部連中の彼らは異形であったり人の形をした厄災かも知れないが総じて頭が悪い。

 姉さんがオマエを殺す、と言ったが返事が勇者を殺すのは俺だ、と返していた。


 そんな話をツルペタロリ帝が聞いていたのか、こちらをガン見していた。

 その夜、ツルペタロリに呼ばれた、俺はとうとう脇汗を舐めれるのかも知れないと早足で呼ばれた場所へ向かった。

 

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