第3話 計画
鏡を見て制服を袖に通って、髪型を整えて、できる限り元気を出して新しい一日を迎えに行く。
「よし、これじゃ」
「気をつけてね!」母さんは玄関で僕を見送てくれた。
昨日は早く寝ったから今日は異常ほど元気だ。教室に付いた時、
「早いね、上辻さん。」
「おはよう。」無表情で彼は返事した。
委員長としての上辻さんは人に冷たいけど、クラスの件には逆に熱心的なんだ。
「そういえば、合宿の件だけど。目的地は決めた?」
「またないよ、ていうか新学期はまた一ヶ月しか経ってないくせに合宿のことを考えてきたのか?高校入学はもう大丈夫のか?」
説教が得意もこの上辻さんの特徴。
人数が少ないから毎学期合宿みたいな活動がある。いいことと聞こえているかもしれないけど、帰ってからの授業はいつも付けなくなって退学される危険があるから、それほどいいこととも思えないんだ。だから、クラスの皆は退学されるへの恐れを抱えて、勉強精一杯でやっている。前クラス成績第一のやつが退学されたあと噂は攻めなくても自ら破滅したけど、クラスの雰囲気がもう変わらないんだ。おかげで勉強はよくできたので、噂も珍しくいいことをやったなと感じられた。
だから朝から参考書を読んで知識の海に打ち込んでいる上辻さんの姿はこの学校
ではおかしくないか?
知らぬうちに石井が教室に来た。
「今日羽原早いね、珍しい」教室に入るとこの言葉。
「読ませたことは面白過ぎて眠れなかったからね」
学生は次々教室に入って、いつもの騒がしさもここに戻ってきた。石井も僕も今は話す時期ではないと一致に分かっていて、両方も話を中止した。
「つまり、立花さんは『支配者』であることを疑っているわけか?」昼ご飯の時、単刀直入に僕は石井に話をかけて本題に入った。
「賢いね、さすが羽原くん!」妙な微笑みはまたこいつの顔に浮かんでいた。
「本当に褒めてる?」
「もちろんそういう気はない」
「殺すぞ」
「いや冗談だって」
「おや、こちらには何の面白いことを話しているのかね?」僕と石井の間で、高野の頭が突然現れて驚いた。
「高野くんか!驚いたよ…」大げさに石井は胸をなでおろす。
「って、何話している?僕参加してもいいな?」
「別にいいじゃない、機密じゃないから。高野、『精霊の力』って知っている?」僕は提案する。
見間違ったかもしれないけど、一瞬で高野は歪な顔をして、また朗らかさに戻した。
「聞いたことあるよ。」と高野は返事した。
「この件をめぐる調査、協力してくれる?」石井も会話に入った。
高野は頷いた。
「ならば部外者じゃないね。聞くのは構わんが、人に言わないようにね。」石井も同意した。
そして三人組の僕たちは教室を出て廊下で秘密会話をしてきた。
僕はまず、前にあったことを全部高野に知らせて、高野も真剣な顔で聞いていた。
「つまり、」顔を石井に向かって僕は言った、「今、警察は立花さんは支配者のを疑っているわけ?」
「確かに。」石井は頷いた、「調査結果から見れば、最近全ての事件には彼女がいた。偶然の可能性があるから、今はもっと確実な証拠が必要なんだ。ところで、立花さん元の学校の事件は『第二次都心暴走』と呼ばれたらしいぞ、つまり警察の方はもう立花さんを支配者の容疑者と扱っているんだ。」
「証拠ってどんな?」と高野は聞いた。
「一番のはもちろん、彼女が人の意志をコントロールしている証拠。ビデオとか写真とかどっちもいい。その場では、支配者は意志を操るため、呪文を語るとか、無意識状況に入るとか、明らかな行動を取る必要はあると、古書に記載されたんだよ。その一瞬を撮って警察に渡すと、皆は少なくとも十数年じゃ支配者がいない平和な生活が過ごせるんだよ!」
「前の支配者もこうやって捕まえたのか?」と僕も気になった。
「そう。涼司くんが昨日読んだこの資料が『都心暴走』の本当の犯人を捕まえるには相当の役が立ったんだぞ。」石井の口調からほんの少し誇りが感じられた。
「えーすごい。」
「協力って、立花さんを監視する、ということだね。」
「うわ、さすが賢い高野くん!そういうわけなんだよ、監視。でも難しいことでもないんだ、ただ怪しい行動を取る時写真とか撮れば十分なんだ。でもね、そいつは教室の一番の後ろに座っているから監視ぐらいのことも難しくなっちゃった。わざわざ選んだだろう!」
「でもやっぱ立花さんはこんな目立つ状況で能力を発動するわけないだろう。隠れたとこ、例えば女子便所でやる方がもっと合理的じゃない?」と僕は疑問点を明らかにした。
「そう…なのか?」
「確かに、つまり監視は時間を無駄するわけなんだ。」
「ならば他の何かができるのか?」高野は機嫌悪そうに言った。
「接近して、そして百戦殆うからず。っていうか茂は立花さんと友達じゃないか、僕が勇者になりたかったってそんな恥ずかしいことも言ったじゃない。」
「なんだそれ、知らないわ。そもそも僕は涼司くんは勇者になりたいってさっき初めて聞いたの。」
「まぁいいか!涼司くんのいう通り、接近する方がもっと現実的だ。こりゃお前の提案だから任せたね、涼司くん!」
「ならば文句なし。涼司ちゃん頑張ってね。」
「えええええええ?」
気づいたらやばい仕事を引き受けた。
あいにくか幸いか、その日立花さんは早退した。
「お前って運がいいね」
「そりゃ褒め言葉じゃないだろう。」
帰り道には僕と石井しかいない。
「今日花宮来なかったよね、どうしたって知っている?」
「あ、
「ならば彼氏の石井くんはなぜ見舞いに行かずにここにいるんだろう?」僕は笑いを我慢している様子をふりして石井の目を見つめていた。
実は、心から石井と花宮さんの恋愛関係を納得できないんだ。昨日はまた友達同士の二人は突然そんな関係になっちゃったなんてマジでショックだった。そのショックは今までも続いた。だから時々この件で石井をからかうこともあった。
「今は行く途中だ。おかしい勘違いをしないでくれ。」
つまんない、この石井はこんなことには全くユーモア感覚ない。
あれから十分ぐらい、誰も言わずに歩いていた。沈黙を破るのはまた僕だった。
「そういえば、その資料には、『石井和子』という名前が出たよ。まさかお母さん?」
先ほど無表情で歩いていた石井くんは、急に足を止めて、頭を上げた。
「そうよ、だからどうした?」怒っているような口調で石井くんが言い返した。
「いや別の意味はなくて、ただ気になって確認したい…」普通にこんな顔しない石井にびびっちゃって声も震えてしまった。
「気になったら教えてあげよう。おふくろは、もう死んじゃったよ。」石井は恐ろしい顔をしているまま。
「そうか…それは…」
混乱中で適当に返事しちゃった。
石井が呟いた、「危うく忘れちゃったよ。そろそろ、おふくろの誕生日だ。お墓参りしなきゃ。」
「まぁ、大したもんじゃないさ。話は長いけど、今暇だし。聞きたいなら言うよ。」
石井くんは顧みずに話を始めた。
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