第7話 遺された警告
カイの新たな発見が、彼の任務と研究に新しい方向性をもたらした。地の精として崇拝された存在が現代に襲来する巨大ナメクジである可能性は、ただの生物学的な謎を超えた深い意味を持っていた。
その夜、カイは再び謎の声に導かれるように、かつて「地の精」が崇拝されていたとされる古い神社へ足を運んだ。月明かりの下、草木に覆われた石段を登り、彼は神社の最深部にある、古びた石碑の前に立った。
石碑には古い言葉で何かが刻まれていたが、カイにはそれが何を意味しているのか読み解けない。しかし、その瞬間、謎の声が再び彼の心に響いた。「歴史を忘れた民は、過ちを繰り返す。」
カイはその言葉を深く心に刻み、石碑の前で長い時間を過ごした。そして、彼は石碑に触れると、不思議な感覚に包まれた。まるで、過去の記憶が彼の中に流れ込んでくるようだった。彼は人々が自然と調和して生きていた時代、地の精が自然のバランスを保つために存在していたこと、そして人間の行いによってそのバランスが崩れ、地の精が姿を消したことを感じ取った。
翌朝、カイは防衛軍の仲間たちにこの経験を共有し、彼らと共にこの警告を現代にどう生かすべきかを考え始める。彼らは、ナメクジの出現がただの災害ではなく、自然界からの警告であるという仮説を立てた。そして、このメッセージを都市全体に伝える計画を立てることにした。
カイは、フリースクールの子供たちともこの話を共有し、彼らが未来の世代として自然との共生を学ぶことの重要性を強調する。子供たちはこの話に深い関心を示し、彼ら自身で小さな環境保護プロジェクトを始めることを提案する。
この頃、都市では巨大ナメクジに関する研究が進み、その生態系への影響が徐々に明らかになってきた。カイと彼の仲間たちは、科学的なアプローチと古代からの警告を組み合わせることで、新たな解決策を見出すことを目指していた。
だが、ナメクジとの戦いはまだ始まったばかりであり、カイはこれからも多くの挑戦に直面することになる。しかし、彼はもはや一人ではなかった。謎の声、仲間たち、そして次世代の子供たちとの絆が、彼に力を与えていた。
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