私の太陽とあなたの星
雨野 天々
第1話 分岐
死にたいと何度か思ったことがある。
学校の授業をサボっては、屋上で飛び降りる真似をした。度胸のない私はいつも決心がつかずに、結局、そのまま屋上で授業をサボる。
空は残酷なまでに綺麗だ。
雲ひとつない。
そんな空に対して妬みに近い感情が沸きあがる。
もっと淀んでればいいのに…
生きることがめんどくさい。
そう思ったのはいつからだろう。
私(
新学期が始まり、クラスも変わり、教室も変わった。
教室が1階上に上がったので、窓から見える校庭が遠く見える。前は近すぎて、体育の音がうるさくて授業中にイライラしていたのでちょうどいい。
変わらないことといえば、1年生の頃に仲良くなった、
昼休みに舞が近くにやってきた。
「星空!1限目またサボったでしょ?どこ行ってたの?私も今度一緒にサボりたい!」
彼女は軽くそんなこと言った。いつも長い髪をお団子にして頭の上に乗せていて、見た目は明るく、性格もガサツでお調子者だ。
一緒じゃなくてもサボっていそうな性格だ。
「ちょっと、体調悪くて休んでた」
私はめんどくさいと思いつつ、相手が嫌な気持ちにならない言葉を選ぶ。
「1年生の頃からサボりがちだから今日もかと思った」
ひどい…
たしかに、1年生の頃からをサボる日が多々ある。
理由は簡単だ。
飛び降りれそうな気分の時に、屋上に行く。
この気持ちは、誰にも打ち明けたことはない。
友達も家族も…
私が授業をサボっても先生から怒られないのは理由がある。
授業をサボっても成績が学年1番だからだ。
前に、成績が良くて、妬んでくる人達に1回いじめを受けたことがある。
「滝沢さんさぁ、ちょっと偉そうじゃない?みんな真面目に授業受けてるのに平気で戻ってきて何してるわけ?」
「もしかして、誰かとあってるとか!学校の先生とイケナイ恋とか好きそうな顔してるもんね」
「わかるぅ!大人しそうな顔して男遊び酷そうw」
今考えればただの八つ当たりだったのだと思う。3.4人くらいに囲まれて居たが、多分同じ学年の子だと思う。私がサボっているのがわかるから同じクラスかもしれない。
興味は無い。早く終わればいいと思った。
「ちょっとなんか言ったら?!もしかして、否定しないってことはほんとなのか。先生たちにバラしたら学校退学とかになるかもね」
キャッキャと喜ぶ声が聞こえる。
めんどくさい。
嵐が過ぎ去るのを黙って待つのは慣れているがとにかくめんどくさいと思った。
「あなたたち何してるのー?」
聞いたことの無い声が聞こえた。
それは、同じ学年の
なぜ、人に興味の無い私がこの人のことを覚えているかというと、遠藤さんは学年の中でかわいいと有名だからだ。
前に舞が遠藤さんと通り過ぎた時に小声で教えてくれた。人に興味のない私でも一回見ただけで忘れられないくらい綺麗だった。
整った眉毛、綺麗な二重、雪が降れば雪が乗っかりそうなほど長いまつ毛、高い鼻、薄くも厚くもないキリッとした唇。2.5次元という言葉が似合うだろう。
本の世界から出てきたのかと思うくらい整った顔をしていた。
しかし、今はそんなことを言っている場合では無い。そんな有名な人を仲間に取り入れられたら、さすがの私も学校に居ずらくなる。
まいったなぁ……
頭を抱えたくなるこの状況にもっと頭を抱えたくなることが起こった。
「私の友達に酷いことしないで」
は…?
わけがわからない…
次の瞬間、私は腕を掴まれて引っ張られた。遠藤さんに手を引かれたままその場を離れる。
彼女の勢いに何も言えずその場を立ち去るが、私を囲んでいた人たちの顔色が若干悪く見えた。
あいつらのことはどうでもいいが、この状況はよく分からない…
「あの…」
私は動揺を悟られないように話しかけた。
「あっ、ごめんね。痛かった?」
私を掴む腕が離れた。なぜ助けたのかと聞きたいが、微妙な空気が流れ話しかけにくくなった。
「滝沢さん、だよね?」
彼女に苗字を呼ばれ、ドキッとした。なぜ学校で有名な遠藤さんにいじめの現場を目撃されたのに、助けられ、私の苗字が呼ばれるのだろうか。
「覚えてないよね…」
誰かと勘違いしているのでは?
いや確かに彼女は私の苗字を呼んだ。
滝沢なんて学校にはほかにも居そうだけど…と考えていると遠藤さんが少し低いトーンで話てきた。
「あーいうことする人たちってほんと最低!見てられなかったからつい声掛けちゃった。ごめんね?余計なお世話だったね」
私は首を左右に振り
「大丈夫…」とだけ伝えた。
話は聞いているが人の顔を見ない癖がついて居て、下を俯いたまま答えた。
そんな私に彼女がぐっと距離を詰めてきて、
「ほんとに?」と聞いてきた。
助けてくれたのに今の態度は良くないなと思い顔を上げる。
「ありがと…」
言葉を発しながら彼女を見た。
校則にギリギリ違反しない程度の茶髪に、健康的な肌の色、目は茶色でとても綺麗な色だ、唇は少しメイクしているのかピンクのリップクリームが塗られている。制服は規定のブラウスに赤いネクタイが縛られている。こっちも校則にギリギリ反しない程度に緩められ、第一ボタンは止めていない。少し短めの紺色のスカートに指定の白の靴下と黒の靴。
改めて見ると色々とすごい人だと驚いてみていると、
「そんなおびえなくてもいいのに…」と少し悲しそうな顔で告げられた。
彼女はじゃあと笑顔を向けてその場を離れた。
「ありがとう……」
いつもと変わらない学校の雑音に私の声はかき消された。
そんなことを思い出していると舞の声が聞こえてきた。
「ねえねえ。放課後、パフェ食べに行かない?」
すごく自慢げにスマホの画面を見せられる。
「ここ写真映えで今1番有名なカフェ!彩りも飾りも何からなにまでかわいいし綺麗なの」
舞がすごく嬉しそうに見せてくるが、私は興味がなかった。
舞にはすごく感謝をしている。
大した取り柄のない私のそばにいつも居てくれる。仲良くなったきっかけは、たまたま舞の隣の席だった私が宿題を見せてくれと言われ見せたのがきっかけだったと思う。ただ席が近かっただけだ。たぶん、私でなくても舞は仲良くなっていた。
しかし、それから彼女は懐いてくれている?
ただ、何をしても楽しくない私はあまり彼女のしたいことに興味が無い。
「ちょっと今日は体調悪いから…」と嘘をついた。
「あ、そうだよねごめん。また誘うね!」
舞は優しい子だ。多分内心ではすごく悲しんでいるし、行きたかったんだと思う。そんなことを表に出さず私に接してくれる。
私がこんな性格じゃなかったら、舞と仲良くできたのかな。
たまにそう思うことがある。
お買い物やご飯食べに行こうと誘われるので、行きはするが、関心がなくていつもぼーっとすごしてしまう。
結局、私は教室に居るのが辛くなり午後の授業も屋上に居た。
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最後まで読んでいたたぎありがとうございます!
読者さんに読んでいただけたり、作品フォローしていただけたりすることがいつもモチベになってます!
評価いただけると泣いて喜びます、、、
連載中の作品他にもあるので、時間ある時に覗いてもらえると嬉しいです!
今後も頑張りますのでよろしくお願いします!
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