100%彼女。 「ねえ、エッチしよ!」

猫野 尻尾

第1話:ホログラムの彼女。

理想的最上級彼女の近未来バージョンと言ったとこです。

今回はちょっとエッチいかも・・・そういの嫌いな人はこの先、進入禁止。(=^x^=)



俺はバイク屋のメカニックの仕事とバイトがあればバイトを掛け持ちしながら

安アパートで彼女と暮らしている。


丑三 刻生うしみつ ときお」それが俺の名前。


バイトは斡旋だからどんな仕事を紹介されるか分からない。

だからヤバそうな仕事も時々やったりする。

犯罪的な取引現場の見張り役とか・・・。

俺は裏社会の連中とは関係ないけど、それでも捕まったら仲間とみなされて

前科者にされてしまう。


だけど、今の暮らしを否定したり嘆いてたら生きていけないからね。

現状維持で楽しんでいくしかない。

それでも俺には唯一の癒しである愛しい彼女がいるからやっていけるんだ。


その彼女の名前は「ネル」って言う。


ネルはAIを搭載した実態を持たないホログラム。


以前は人間の女性とも付き合いはあったけど人とのコミュニケーション

は難しい。

お互い感情があるから必ずと言っていいほど、どうでもいいことで揉める。

精神的負担が半端なくて、お互い傷つけあって結局一緒には暮らせなくなる。

だから俺は人間の女性を彼女に持つことはやめた。


だからホログラムを買ったんだ。

ガイノイドでもよかったんだけど、けっこう値段が張るからね。

まあ頑張ればローンで買えないこともないんだけど、とりあえずホログラムで

いいやって思った。


で、バーチャルショップを覗いてみた。

お目当のAIは実態を持たないから、擬似的パートーナーになる訳で、まあ

だから当然恋人仕様のホログラムになる。

顔の種類はそれこそ、めちゃ豊富で既製から選ぶこともできるし器用な人は

自分のタイプの顔を自分好みで作ることもできた。


俺の好きなタイプはだいたい分かってたから顔のパーツをいろいろ組み合わせて

この子って子を作っていった。

って言うか、まあ、どうしてもいいなって思うアイドルとかに似てくるよね。


たしかに俺が作ったホログラムの顔は若干誰かに似ている気もした。

まあ、そんなもんだろう。

最初っから好きじゃないとはじまらないし。


ホログラムの設置機器と端末を買って帰って装置を部屋の壁に取り付けた。

一応、トリセツを読んで、恐る恐る起動してみた。

さ〜て初起動・・・ちょっとドキドキする。


すると装置からファ〜ンて、わずかな起動音が鳴ったあと俺の前にフッっと

一人の女の子が現れた。


「お〜来た来た」


現れた彼女は俺を見て、


「はじめまして、今日からお世話になります」


そう言うと彼女は俺に近づいてハグした。

だけど、すり抜けた。


「まず最初に言語についてですが敬語で話すのいがよろしいですか?

それともタメグチがいい?」


「え?タ、タメ?・・・ああ・・・じゃ〜タメグチで」

「敬語なんて他人行儀だし彼女から丁寧にしゃべられてもな〜」


「分かった、じゃ〜タメで・・・」

「よかったら、あなたの名前を教えて?」


そう言って彼女はちょこんと首をかしげた。


お〜めっちゃ可愛いし・・・どうしたもんかな。

この子とこれから毎日暮らすのか?・・・いいな〜うらやましい・・・。

あ、俺か。


「ああ、俺の名前ね・・・えと俺は「丑三 刻生うしみつ ときお

「よろしく」


「うしみつ ときお?・・・インプット、インプット」

「あとで漢字表記で教えてね」

「とりあえずトキオさんまたはトッキーって呼ぼうと思うんだけど?」


「ああ、どっちでもいいよ・・・君がいいと思った方でいい」


「じゃ〜親しみを込めてトッキーで・・・」

「あとは、私の名前をつけてくれる?」


「え?・・・名前?・・・名前ないの?」


「既成の名前って言うか、番号だね・・でも番号で呼ばれると機械みたい

でヤダ」

それに個性ないし・・・でしょ?」


「ああ・・・そうだね、つうか案外主張するね」

「じゃ〜なんて名前にしよう・・・いきなりだから考えてないし・・・」


さっき俺をハグしに来た時、彼女からかすかに甘い匂いがしたな。

あれはハーブの香りだな。

俺はすぐにフェンネル「茴香ういきょう」ってハーブを思い浮かべた。


「そうだ・・・君の名前はフェンネル・・・フェンネルにしよう」


「フェンネル?・・・それでいいの?」


「うん、それでどうかな・・・フェンネルだから俺は君のことこれから

「ネル」って呼ぶから」


フェンネルは、甘い香りを持つハーブ。

多年草で日本では「茴香ういきょう」と呼ばれている。


「じゃ〜今日から私はネルね」

「あと・・・」


「まだあるの?」


「あとひとつだけ・・・」

「あの私、セックスできないけどいい?」


「ああ・・・たしかに、そりゃネルはホログラムだからね、分かってる

ことだけど・・・」


「それが分かってない人もいるの」

「オーナーさんの中にはなんでセックスできないんだって会社にクレーム

言ってくる人がいるみたいだから・・・」


「あ〜バカだね〜、そんなにやりたいかね〜」


「トッキーもしたくなったら、どうぞ私に構わず風俗でもどこでも行って

いいからね・・・責めたりしないから・・・」


「ふ、風俗って・・・」


「適当に処理してね」


ネルはあるあるだってふうに笑顔でそう言った、


つづく。




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