結成!地獄の拷問チーム!
第15話 かしまし三人娘
一体どうしてこうなった?
自分よりも2回りほど大きい重量級フレームの胴体を羽交い絞めにしながら自問自答する。
『うおーーっっ!!消毒!消毒!道路の清掃を行うであります!いざ行かんロイ!薙ぎ払えーーッッ!!』
「ラジャー、ボス!ヘイヘイヘーイ!道を開けなガイズ!炎城様の御視察だーーーっ!」
私の腕の中で、僚機の
ロイの右腕部ではバカでかい半魔力式の火炎放射器が縦横無尽に暴れ狂っており、左腕部には見るからに危険な爆雷投射機までマウントされていた。
いや、なんでそんなモンの持ち込み許可が下りてるんだよ。協会仕事しろ。
重量機の頼もしいパワーが、今だけは恨めしい。
そして、それを操縦しておられるのは、お嬢様と同じくA級探索者にしてバーチャル配信者である、
つい先日、お嬢様のご同僚となられたお方だ。
現在ライブ配信は行っていないが、私の視界の右端では、真っ赤な軍服を纏ったちんちくりんなお姿で、お嬢様のアバターと並んでいる。
『うっきゃぁぁぁーーーっ!?やっ、やめっ!やめろォォ!!炎!パーツ!熱!カネ!うおーっ!うおーーっっ!!』
あかん、只でさえクソザコなお嬢様の語彙力が、ショックのあまりチンパンジーのそれと化している。
電子部品は単価が高いが、熱に弱い。
その集合体ともいえるガーディアンを、こうも盛大に燃やすなど、お嬢様の狩りであれば考えられない事だ。
『びゃはぁぁぁーーーっっっ↑www絶対やると思ったwww絶ぇッッッ対やると思ったぁwwwあ゛ひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃwwww』
「主様、はしたのうございます。」
いや、バカ笑いしてないで収拾つけて下さいよ!附子島様!
こうなると知っていて黙ってたあなた様にも責任はございますでしょうが!
そうそう、詳細は後述するが、かねてよりお嬢様の推し探索者であった
こうしてドレス姿の可愛らしいアバターがけたたましく哄笑を上げる光景も、ここ数日ですっかり見慣れてしまった。
彼女の愛機
貴機のそのご立派な逆関節レッグフレームは飾りか?
もう蹴ったれ。蹴って止めろ。
「だーもう!どないせーっちゅーんじゃ!」
私自身の悲鳴を添えて、ボイスチャットはいよいよ阿鼻叫喚の様相を呈している。
そうこうしている内に、ロイがようやく火炎放射を止めた。
運悪く視界に入ったソーサーヘッド20機をドロドロの燃えカスに変えた事で、炎城様もようやく満足されたようだ。
いや、多いて。
どんだけ燃やすの好きなんですか。
他機事ながら、これを清掃しにくる施設維持ワーカーに同情を禁じえない。
『うぉぉい!レディアさんッ!なんでガーディアンに火炎なんてぶっかけるの!?ねえ、なんで!?燃やしたらカネになんないでしょッ!!カネにッ!!』
『あっ、やつざきさん、本名呼びはNGです…あ、いや、NGでありますよ!それに、此度の炎城たちのミッションは、ハイデラバード最深部へのASAP到達であります。狩りはまた今度でよいのでは?』
『ホムちってホント割り切りがバッサリしてるよねーwwwあたしよりリーダー向きだわwwwwいや、皮肉じゃなくてマジwwマジな話ねwww』
こんなんでも一応はA級探索者が3人も揃った怪物チームだ。
三者三様、かしましくキャイキャイと騒ぎながら、お嬢様たちはハイデラバード・ダンジョンの危険な大深度エリアを凄まじい速さで突き進んでいる。
現在の深度は既に900。
慣らしのために地上入口から潜り始めたと言うのに、ここまで2時間と経過していない。
今回の目的地である同ダンジョン最深部、深度1200のメイン動力炉まで、残す行程は四分の一だ。
収支に目をつぶりさえすれば、恐ろしく順調な探索と言って良い。
では一体なぜ、その一番大事な収支を度外視してまで、こんな珍道中を行う運びとなったのか?
事の始まりは数週間前に遡る。
あ、こっから回想シーンです。
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